不正加担先に架空外注費を計上した法人税法違反事件

不正加担先に虚偽の領収証を作成させ、架空の外注費を計上する方法により所得を秘匿し、法人税を免れていた法人税法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

Aさんは、エアコンの設置工事等を行っている会社(A社)の代表をしていますが、友人Xと共謀して、Xが経営している会社(X社)と取引事実がないにもかかわらず、X社に虚偽の領収証を作成させ、架空の外注費を計上する方法により、所得を秘匿し、法人税を免れていました。
A社には東京国税局の査察調査が入り、AさんとA社は法人税法違反の容疑で東京地方検察庁に告発されました。
(令和5年6月東京国税局査察部発表の「令和4年度査察の概要」に記載の事案をもとに作成したフィクションです)

架空外注費

外注費とは、外部の法人や個人と契約を結び、業務の一部を委託する際に発生する費用のことです。
外注費は経費として計上することで、法人税が課税される所得の額を低くすることができ、支払うべき法人税の額が減ることになります。
そのため、税金を安くしようとして存在しない架空の外注費を計上してしまうことが起きます。
架空外注費を計上する手口として多いのは、参考事件のように取引先などと通謀して虚偽の請求書や領収証を作成してもらい、それにより実際には存在しない外注をあったかのように偽装して経費計上する手口です。
このような手口については、税務調査によって発覚してしまいます。
外注の場合には、外注先の会社が確定申告をきちんとしているのかを調べたり、金銭の流れが実際にあるのかを口座情報などをもとに綿密に調べていきます。
また、外注費として計上する場合、消費税についても仕入額控除がなされることになるため、消費税の脱税についても問われる可能性があります。

仮装隠ぺい

架空外注費計上の手口として、取引先等と通謀して虚偽の領収証等を作成して行うものであった場合、仮装隠ぺい行為を行ったとして悪質性が高い事案に当たるとされる可能性が高いといえます。
通常、過少申告や無申告などの税務調査は過去3~5年の期間にさかのぼって行われることが多いですが、仮装員ぺが行われた悪質性の高い法人税脱税事案となると、調査期間が7年前までさかのぼられることになります。
また、税務調査にとどまらず査察調査が入る可能性も高くなります。
架空外注費計上の場合には、法人税の過少申告事案ということになるため、免れた税額が少額の場合には査察調査までならない可能性がありますが、悪質性が高いと判断された場合には、比較的少額でも査察調査が入る可能性もあります。

ペナルティ

架空外注費の計上により過少申告をしてしまった場合、過少申告加算税が課せられることになります。
また、仮装隠ぺい行為として悪質性が高いと判断される場合には、過少申告加算税に代えて重加算税が課せられることになります。
このほか、延滞税なども課せられ、非常に大きな金銭的負担がかかってきます。
また、参考事件のように、刑事告発をされる可能性もあり、刑事告発されると逮捕されてしまう可能性も出てきます。
告発後の捜査を経た結果、起訴されることになれば、刑事裁判となり、刑事罰が科せられる可能性が非常に高くなります。
仮装隠ぺいによる法人税逋脱犯の場合、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその両方の刑罰が科せられることになります。
多くの事件では懲役刑の他に罰金刑も科せられており、罰金の金額は免れた税額(逋脱額)の2~3割の金額となることが多いです。
この罰金は、重加算税などの追徴課税とは別に科されることになるため、追徴課税にとどまらず金銭的負担が非常に大きくなってしまいます。

架空外注を疑われたら

架空外注費の計上を疑われた場合には、早期に対応していく必要があります。
税務調査や査察調査への対応だけでなく、修正申告や予納などの行為をすることによって、告発を避けられる可能性もあります。
税理士だけでなく、弁護士にも相談して刑事告発も見据えた対応を早めに整えていきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回相談は無料ですので、一度お電話下さい。

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