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国外財産調書制度とは

2023-12-13
国外財産

国外財産調書制度とはどのような制度かについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

国外財産調査制度とは

この制度は、平成24年度財政改革において創設された制度です。

制度の概要

1 国外財産調書の提出
 その年の12月31日において、価額の合計額が5000万円超える国外財産を有する非居住者以外の居住者は、当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、翌年3月15日(令和5年分以後は翌年6月30日)までに、税務署長に提出しなければなりません。
 この場合、財産の評価については原則として時価ですが、見積価額とすることもできます。
 また、国外財産提出に当たっては、別途「国外財産調査合計表」を作成し、添付する必要があります。
2 過少申告加算税等の特例
 国外財産調書を提出期限内に提出した場合に、国外財産調書に記載がある国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときは、その国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税が5パーセント軽減されます。 
 逆に、国外財産調書の提出が提出期限内にない場合又は提出期限内に提出された国外財産調書に記載すべき国外財産の記載がない場合に、その国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れ(死亡した方に係るものを除きます。)が生じたときは、その国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税が5パーセント加重されます(ただし、相続国外財産について、相続国外財産を有する方の責めに帰すべき事由がなく提出等がない場合には、加重の対象になりません。)。
3 罰則
 国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合又は国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがあります。ただし、正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、情状によりその刑を免除することができることとされています。
(国外財産等調書法5条、6条、10条参照)

何故、国外財産調書制度が創設されたのか

「海外の資産は、税務調査を免れることができる」という話を耳にすることがあります。
実際、近年、我が国の納税者による国外財産の保有が増加傾向にある中で、国外財産に係る所得税等の申告漏れが増加している現実があり、国外財産に係る課税の適正化をいかにして図るかが喫緊の課題となっていました。
こうした背景のもとに、国外財産の状況を把握する方策として、課税当局が国外財産を把握する仕組みや、国外財産を保有している納税者からその保有する国外財産の状況を課税当局に対して自ら申告してもらう制度が創設されています。このうち後者の制度のひとつとして、国外財産調書制度が創設されたのです。
上記2で述べましたように、この制度は、国外財産調書が提出されていなかったり、本来記載すべき国外財産が記載されていなかったりした場合、その際課せられる過小申告加算税等が上乗せされるのに対し、調書を提出していれば記載のある国外財産に対して所得税・相続税の申告漏れが生じても、同様の加算税等が軽減されるという恩恵が与えられるという制度になっています。そうすることで、調書を確実に提出するよう促しているのです。

まとめ

売上の一部を海外預金口座に入金するなどして課税を免れようとしても、CRS(OECDが策定した共通報告基準に基づくもので、世界各国の税務当局が有する銀行口座の情報を交換する仕組みであり、各国の金融機関を通じて各国で情報交換されることになっています。)による金融口座情報によって口座を把握されるなどすれば、税務調査が入る可能性があります。
そして、税務調査が入った場合、国外財産調書を提出していなければ、上乗せされた過少申告加算税等を支払う必要があり、また、罰則まで課されることがあることにも注意しなければなりません。
更に、悪質性が高かったり脱税額が巨額になる場合には、査察調査に発展することもあります。
査察調査は税務調査と違い、強制的に調査をすることができ、最終的には刑事告発に至る場合が少なくありません。実際、査察調査から刑事告発される割合は約70%と言われています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。
初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

税務調査や査察の可能性も!反面調査がされた場合

2023-12-06
税務調査

脱税が発覚する端緒の一つとなる反面調査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

A株式会社は事業を拡大することに成功し、不況下でも順調に売り上げを伸ばしていきました。A株式会社の代表取締役は、税負担を回避してさらに利益を上げようと考え、売り上げの一部を計上せずに、会社とは別の口座にプールしていました。売り上げの一部を除外し始めてから数年が経ったある日、取引先であるB株式会社に税務調査が入りました。B株式会社の担当者の話によると、A株式会社との取引についても聞かれているようでした。
(この参考事件はフィクションです)

脱税事件で生じるリスク

A株式会社が行った売り上げの除外は、本来申告すべき内容を申告せずに納税を免れる虚偽無申告ほ脱犯にあたり、典型的な脱税の手法といえます。申告内容の不審点から脱税を疑われた場合、税務署による税務調査や国税局による査察調査につながっていきます。
申告内容に誤りがあると判明した場合、本来納めるべき税金を納付しなければならなくなるのはもちろんですが、法定期限までに納付がされていなければ延滞税がかかりますし、別途、加算税を課される可能性もあります。参考事件のA株式会社の場合、支払いを免れていた法人税(本税)のほか、延滞税や過少申告加算税、重加算税が課される可能性があります。
税務調査や査察調査では収まらず、国税局に告発されてしまうと、刑事事件となります。刑事事件となった場合、告発を受けた検察庁によって代表取締役ら役員が逮捕されることもあります。検察庁に起訴された場合は刑事裁判が行われ、有罪となれば多額の罰金や実刑を含む懲役刑が言い渡されることになります。

反面調査に警戒を

税務調査は脱税の疑いがある納税義務者に対してだけ行われるわけではありません。時には納税義務者と取引関係のある者にも行われ、これが反面調査と呼ばれています。
反面調査の対象としては、取引のある企業や銀行などが挙げられます。参考事例のB株式会社に対して行われた税務調査は、A株式会社についての聞き取りもされているため、反面調査である可能性が高いと考えられます。脱税の疑いがある企業に発覚することがないよう、反面調査は秘密裏に行われますが、調査が行われた取引先から税務調査があったことを知ることもあります。
反面調査は、脱税の疑いがある納税義務者に対して税務調査を行うための下準備です。そのため、いずれは脱税の疑いがかけられている納税義務者のもとにも税務調査が入りますし、場合によっては最初から国税局による査察が行われる可能性もあります。


脱税事件になってしまうと、延滞税や加算税の負担や多額の罰金が科されるリスクがあることは説明しましたが、それ以外にも問題があります。税務調査や査察においては、会社にとって重要な書類が多数押収されることになりますし、役員が逮捕されてしまえば、事業の継続そのものが困難になってしまうおそれがあります。また、国税局による告発や検察庁による起訴は報道もされるため、取引関係のある企業や銀行から抱かれる印象の悪化も無視できません。
反面調査が行われているかを知ることができるかは偶然にも左右されますが、参考事件のA株式会社のように、取引先から税務署の動きを知ることもあり得ます。反面調査がされていると判明した場合、速やかに脱税事件に詳しい弁護士に相談することが重要です。早期に法律の専門家である弁護士の助力を得られれば、税務調査や査察における適切な受け答えができるよう対策が立てられますし、修正申告によって告発や起訴を回避する可能性を高めることにもつながります。
修正申告などの場面では主に税理士が動くことになりますが、裁判となった場合は弁護士による対応が必要です。反面調査の段階から告発や起訴も見据えた法的アドバイスを弁護士から受けることで、脱税事件の全体図を俯瞰した対応が可能になります。取引先に対する反面調査が行われていると分かった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

収賄罪と課税

2023-11-29
収賄

収賄した金銭は課税対象となるでしょうか?犯罪行為によって得た利益に対する課税について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。※併せてこちらもご覧ください(業務上横領と課税

事例

国会議員であるAさんは、職務に関し、長年の友人である個人事業主Bさんから、2000万円の金銭を受け取りました。Aさんは、この金を遊興費等に費消しましたが、賄賂だと思っていたお金なので確定申告はしませんでした。
(フィクションです)

解説

Aさんについては、職務に関して金銭を受けとっていますので、少なくとも単純収賄罪(刑法197条1項前段)が成立します。

収賄した金銭は、所得税の課税対象となるか

収賄した金銭が不法な原因による利得であることは疑いありません。もっとも、この点について、所得税基本通達36-1は、「法第36条1項に規定する『収入金額とすべき金額』又は『総収入金額に算入すべき金額』は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」と規定しています。
したがって、本件のAさんが収賄によって得た金銭についても原則として所得税が課税されることになります。
ただ、ここで「原則として」課税されると述べた趣旨は、汚職の罪については、刑法197条の5により、「収受した賄賂はこれを没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。」と規定されていますので、本件が刑事事件になっており、近く有罪判決を受け、没収追徴を受ける見込みがある場合には、せっかく課税しても、没収追徴のときに課税を取り消す必要がある関係上、例外的に判決まで課税を保留することが行われることがあるからです。

一時所得か雑所得か

次にAさんが収賄によって得た利益が、「一時所得」なのか「雑所得」なのかが、問題となります。
この点、所得税法34条1項は、一時所得について、「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的所得から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」と規定しています。そして、同法35条1項は、雑所得について、「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」と規定しています。
そうすると、収賄した金銭は、「職務に対して収受した賄賂」と解されますから、税法上は、役務の対価といえ雑所得として課税されるものと考えられます。
雑所得の場合、課税所得金額は、雑所得の金額-必要経費=雑所得の課税所得金額という計算式で求めます。
本件のAさんの場合、2000万円-0円=2000万円となり、Bさんから受け取った2000万円全額が課税所得金額となります。1800万円を超え4000万円以下の所得税の税率は40%、控除額は279万6000円です。
そのため、Aさんに課税される所得額は、2000万円×0.4-279万6000円=520万4000円となります。

Aさんは今後どうなるか

Aさんは、収賄しているため、このことが警察などの捜査機関に発覚すれば、収賄罪の被疑者として逮捕され取り調べを受けたり、刑事裁判で有罪の判決を受けて前科が付く可能性があります。
このこととは別に、Aさんには収賄によって得た利益について確定申告をしていないので、税金の問題があり、無申告又過少申告についてのペナルティを別途受ける可能性があります。
確定申告期限内に一切の所得について確定申告がなされていなかった場合には無申告加算税、一部だけしか確定申告をしていなかった場合には、過少申告加算税がペナルティとして課されます。
また、仮装隠ぺいなど悪質性が高いと判断された場合には、無申告加算税又は過少申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
さらに、納税が遅れると、その期間に応じた「延滞税」の支払いが求められます。
なお、Bさんについては、贈賄罪(刑法198条)が成立しますが、所得税法45条2項には、賄賂として支出した金額は、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されないと明文で規定されており、贈賄を行った者も、前科が付く可能性とともに、税金の問題があることに注意する必要があります。

まとめ

Aさんのように犯罪によって得られた利益も課税対象になりますので、確定申告をしていなければ、収賄の罪とは別に所得税法違反など税法違反の罪にも問われてしまう可能性があります。
そのため、犯罪行為によって利益を得ている場合には、その犯罪だけではなく税金の問題についても考慮しておく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。
初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

【制度解説】相続時精算課税という制度を知っていますか?どのような制度かについてメリットとデメリットを解説

2023-11-22
相続税

相続時精算課税とはどのような制度かについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がメリットとデメリットを解説します。

相続税

相続時精算課税とは何やら難しそうな言葉ですが、相続税の申告納付方法の一つと考えてもらえばよいでしょう。

通常、相続税は、どなたかが亡くなったときに、その亡くなった方(被相続人といいます。)の財産を相続により取得した配偶者や子供など(相続人といいます。)に対して、その取得した財産の価格に応じて課される税金です。
民法という法律に、「相続は死亡によって開始する。」と定められていますが(民法882条)、相続税は、まさに、この被相続人の死亡をきっかけとして、その死亡時の被相続人の遺産総額から基礎控除を経て課税遺産総額を出し、この課税遺産総額に対し法定相続人ごとの法定相続分に対して相続税額が算出されてこれを合算した相続税の総額に対して各相続人の遺産取得割合に応じた相続税額が算出
れ、これを各相続人が申告納付することになるわけです。(国税庁HP「相続税の計算」参照)

贈与税

他方、被相続人などになりうる立場の人(被相続人等といいます。)が、亡くなる前に、相続人など(相続人等といいます。)となりうる立場の人にあらかじめ財産を渡すことを贈与といいますが、これにも贈与税という税金がかかります。贈与は、被相続人が亡くなる前にその財産の一部を相続人等に渡しているわけですから、見方をかえれば、被相続人等が生きている間の相続の前倒しともいえるわけです。

そうすると、被相続人が亡くなる前に、相続人等に対して多くの財産を贈与すると、それだけ被相続人等の遺産総額が減って、結局、相続税の総額もそれだけ減ってしまうことになります。このような相続税の負担における不公平を解消するため、こうした贈与については贈与税が課せられることされており、そのような意味から贈与税は、相続税をおぎなう税金という意味で、相続税の補完税という言い方もされています(こうした贈与税の性質から、単独の贈与税法という法律ではなく、相続税法の中に定められており、一税法二目と呼ばれています。)

このように相続税と補完関係にある贈与税ですが、相続税に比べると、基礎控除が110万円と低額であり、税率がとても高いことから、従来は税負担の重い贈与を避けて、相続の機会、つまり被相続人等が死亡するのを待って資産の移転が行われてきました。
しかし、超高齢化社会を迎え始めている現在のわが国においては、これを放置していては、高齢者の保有する資産活用は滞り、日本経済の活性化のためにも好ましいものではなりません。そこで、創設されたのが、相続時精算課税制度です。(国税庁HP「財産をもらったとき」参照)

相続時精算課税のメリットとデメリット

この制度は、特定の関係にある贈与者(被相続人等)受贈者(相続人等)と間で、贈与を行うに当たり、贈与税の申告とともに相続時精算課税選択届出書を提出すると、贈与額のうち2500万円(特別控除)に110万円(基礎控除)を加えた2610万円が控除されます。
つまり、年間2610万円までの贈与であれば贈与税は課されないのです。ただこの制度は、贈与時に課税されないということであり、相続が発生した後は、贈与した財産を相続財産に合算して相続税が計算されますので、結果的には贈与税が課せられないだけで、相続税は科せられますので、直接的に節税になるというものではありません。しかしながら、本来の相続財産を、相続が開始される前に、贈与税の負担を軽くしてこれを必要とする若い世代に有効に活用させることができるという意味ではとても意義のあるものです。
少し注意すべき点としては、一度、相続時精算課税制度を利用とするとあとで変更ができなくなることのほかに、一定の小規模宅地について相続税評価額を最大80パーセントまで減額できる小規模宅地等の特例が利用できなくなることなどのデメリットもあります。

平成27年に、相続税の基礎控除額が「5000万円+1000万円×法定相続人数」から「3000万円+600万円×法定相続人数」に大幅に減額されました(「相続税はややこしい?②」も参照)。核家族化が進み法定相続人自体が少ない中で、ある程度の金融資産を持ちこれに不動産を加えるとあっというまに基礎控除額を超えるケースは、今や一般のサラリーマンや個人事業主に広がっているといっても過言ではないでしょう。こうした中で、相続時精算課税制度などは、これからますますもって欠かせない節税対策の智恵となることでしょう。

【ニュース解説】東京国税局がフォートナイト運営企業に税務調査し約35億円の追徴課税

2023-11-15
追徴課税

フォートナイトを運営する企業に対し、東京国税局が税務調査を実施し、追徴課税を課したというニュースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ニュースの内容】

 東京国税局は,人気ゲームを配信するアメリカノースカロライナ州に本社のある企業で世界各地に40以上のオフィスがある企業に対し,その海外子会社に税務調査を執行した。
 その結果,同国税局は,同子会社が2020年12月までの3年間で約30億円の申告漏れをしていたことを発見して指摘した。

 申告漏れの内容は,同社の配信するオンラインゲームで,日本人ユーザーが支払った,同ゲームのアイテム購入代金などの一部に係る消費税が計上されていなかったというもの。
 追徴税額は,過少申告加算税を含めると,約35億円となるという。

 関連ニュース記事(令和5年11月1日付YAHOOニュース「課金収入300億円申告計上せず フォートナイト会社に35億円追徴 東京国税局」)

【フォートナイトとはどんなゲーム】
 


 ゲームは,スマートフォン,パソコン,ゲーム専用端末などどれでもでプレイできる。プレイヤーは,銃を中心とした武器をゲーム内キャラクターに持たせて,これをプレイヤーが操作してゆき,現れてくる敵キャラクターを武器を使って倒すというゲーム。
 世界中で数億人のユーザー(プレイヤー)がいるとされている超人気ゲームだ。
 この種のオンラインゲームは,キャラクターの能力向上やプレイ時間短縮のため課金されることが多いが,フォートナイトでは,キャラクターやその装備品の見た目を変えるといったゲームのプレイ自体とは直接関係しない品物(アイテム)が主な課金の対象とされているという。
 日本には,大人から子供達を含め幅広いファンがいるという。

【課税の対象】

 ゲームは,基本的に無料で配信されているが,上記のようにゲーム内で使えるアイテムを購入した際には課金される。
 東京国税局は,同社のルクセンブルクにある子会社が,日本に向けて「フォートナイト」を配信して課金していることを把握して税務調査を開始した。その結果,課金収入約300億円について,前記子会社に消費税の申告納税義務があるのに申告に計上されていないとして約30億円の申告漏れを指摘したという。

【親会社のコメント】

 親会社は,取材に対し,「日本の税務当局による定期的な調査の中で,弊社側の不注意により一部の消費税が未払いの状態にあることを認識できました。東京国税局の指摘を受けてすでに税の納付をしました。」とコメントした。(関連記事:令和5年11月1日付日本経済新聞「フォートナイト開発元、ゲーム課金巡り消費税35億円追徴」)

【海外の会社まで追及して逃げ得を許さない,国税当局のすごさ】

 今回,税務調査により,人気オンラインゲームをめぐりその配信会社に対して,高額の申告漏れを特定するに至った。東京国税局は,海外にいる親会社側の担当者に対し,web会議で面談するなどして効率的に調査を進め,比較的短期間で修正申告に至ったとみられる。
 この点について,元国税庁国際業務課のOBによれば「企業のコンプライアンスの重視は,国際的風潮であり,世界的な有名企業であれば,脱税によるイメージダウンは避けたいはずである。税務調査担当者は,その弱みをうまく突き,協力的姿勢を引き出したのではないか。web会議で面談するのも調査手法の新たな向上だ。」と話す。
 国税庁は,世界各国の税務当局と租税条約に基づいて情報交換をしており,日本と関係する海外企業の資金の流れについても注視している。ただ,海外企業の税務調査は,地理的遠隔,使用言語の壁といった国内企業に対するそれとは格段の困難を伴う。今回のような数十億円規模の追徴課税は異例であり,国税当局の面目躍如だ。
  

【今後の動向】

 オンラインゲーム,アプリ,音楽の配信などのインターネット上のサービスは急速に拡大している。日本の総務省の情報通信白書によると,モバイル端末向けアプリの売上高は2024年に387億ドルとなる見込みであり,2015年の5倍超になると予想されている。
 東京国税局は,2017年海外に拠点を置くゲームアプリの開発・配信業者に着目して消費税を申告していない約数百社をリストアップし,このうち日本での売上高が多いと見込まれる会社に絞って納税義務があることを通知する文書を送付して啓蒙した。しかし,その反応は芳しくなかった。
 国は,納税義務を果たさない海外事業者の「逃げ得」を許さないため,2021年度の税制改正でその事業者と取引のあるプラットフォーム運営事業者などを「特定納税管理人」に指定できることを定めた。これは国税当局と納税者間の書類授受を「特定納税管理人」に担わせる仕組みであり,税務調査の端緒を付けたものとして大きい。国税幹部は,「海外当局と連携し,売上高の大きな事業者を中心に粘り強く対応する。」と話しており,税徴収の公正,適正な実現に注力することを明らかにしており,世界規模の自主申告の適正化が図られている。
 今後もその動向に注目し,海外事業者のコンプライアンス遵守が実現されることが望まれる。

国税局資料調査課とは

2023-11-08

国税局資料調査課について、税務署との違い、査察部との違いを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

国税局資料調査課とは

国税局資料調査課とは、国税局課税部に設置されている組織で、税務調査を担当しています。
申告額が大きかったり、申告内容に不正が疑われるような事案など、税務署では対応が難しい事案の税務調査を主に担当しています。
税務調査の手法については、税務署とほぼ同じですが、国税局資料調査課に配属される人材は不正を見抜く目に定評があるエリートと言われています。

国税局査察部との違い

資料調査課とよく比較されるのが、国税局査察部(いわゆるマルサ)です。
どちらも税申告に関する不正に関して調査をする役割を担っている点で共通していますが、調査の目的や調査手法に大きな違いがあります。

資料調査課は、申告内容に申告漏れや不正がないかを調査し、不適切な申告があればそれを指摘して、適正な課税を目指すことを目的としています。
一方、査察部は、不正な申告があったことを証明する資料を収集し、ペナルティを課す必要があるかないかを確認することを目的としているといえるでしょう。
このペナルティには、刑事罰も含まれており、刑事告発するかどうかも査察部で判断されることになります。

このような目的の違いは、調査手法にも反映されています。
資料調査課の調査はあくまでも任意調査です。
資料調査課の職員が会社や自宅を訪ねて調査をすることもありますが、いずれも会社や家主の同意を得て調査を行います。
そのため、調査の手法は税務署の調査手法と同じといえますが、調査にかける日数は税務署の調査と比べて段違いに多くなります。
資料調査課の税務調査は、税務署が行う税務調査よりもより詳細に行われるということができます。
なお、資料調査課の調査は任意ですが、正当な理由がなければ拒否することができません。
一方、査察部の調査は強制調査です。
ニュースやドラマなどで企業に査察部の職員が段ボールを持って入っていき、大量の資料を持ち出している様子を見たことがあると思います。
査察部の調査では、このように会社や家主の同意なく、関係各所に出入りして資料を収集(捜索差押)することができるようになっています。
もっとも、査察部が強制的に資料を収集する場合には、裁判所の許可を得る必要があります。

国税局資料調査課が税務調査に来たら

国税局資料調査課が税務調査に来た場合、何がしかの不正な申告が疑われているということです。
そのため、提出した確定申告書類をもう一度確認し、申告漏れがないか不正と疑われることがないかを自分たちでも確認するべきです。
そして、ミスがあれば、きちんと修正申告をしたうえで、ミスであったことをしっかりと主張しましょう。
もし、ミスではなく意図的に申告していなかったなどが疑われた場合、資料調査課から査察部に調査が引き継がれる可能性があります。
資料調査課の調査段階だからと安心せず、早めに修正申告などの対応を取りましょう。
税務調査の段階から査察案件を扱ったことのある税理士や弁護士に相談することで、その後の流れやリスクを知ることができ、ダメージを最小限に抑えることができます。

業務上横領と課税

2023-11-01

業務上横領によって得た利益についても課税対象となるでしょうか?犯罪行為によって得た利益に対する課税について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

福岡県福岡市にある会社で経理を担当していたAさんは、会社のために保管していた現金を着服し、1年間で合計4500万円ほど横領していました。
会社の売り上げと決算書の内容に不審な点があることから、会社に福岡国税局資料調査課から税務調査が入り、Aさんの業務上横領が発覚しました。
今後のことが不安になったAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談を利用することにしました。
(フィクションです)

解説

業務上横領によって得た利益は所得税の課税対象となるか

業務上横領によって得た利益は、違法な行為によって得た利益といえるため、所得と言えるでしょうか。
この点について、所得税基本通達36-1は、「法第36条1項に規定する『収入金額とすべき金額』又は『総収入金額に算入すべき金額』は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」と規定しています。
したがって、本件のAさんが業務上横領によって得た利益についても所得として確定申告をする必要があるということになります。

一時所得か雑所得か

次にAさんが業務上横領によって得た利益が、「一時所得」なのか「雑所得」なのかが、税額を計算するベースとなる「課税所得金額」に大きな差がでるため問題となります。

①一時所得の場合
(一時所得の金額-必要経費-特別控除額)×2分の1=一時所得の課税所得金額
という計算式で求めます。
本件のAさんの場合、(4500万-0円-50万)÷2=2225万円となり、2225万円が一時所得の課税所得金額となります。
※一時所得の金額から経費を差し引いた金額が50万円以上の場合、特別控除額は50万円
Aさんに他に収入がない場合には、総所得金額も2225万円となるため、所得税の税率は40%となります。
また、この場合の所得税の控除額は279万6000円です。
そのため、Aさんに課税される所得税は2225万×0.4-279万6000円=610万4000円となります。

②雑所得の場合
雑所得の金額-必要経費=雑所得の課税所得金額
という計算式で求めます。
本件のAさんの場合、4500万-0円=4500万円となり、4500万円が課税所得金額となります。
4000万円を超えている場合の所得税の税率は45%控除額は479万6000円です。
そのため、Aさんに課税される所得税は4500万×0.45-479万6000円=1545万4000円となります。

このように、一時所得か雑所得かでは、所得税の額に2倍以上の差が出てしまうことになります。
では、本件のAさんの場合には一時所得と雑所得のいずれに当たる可能性が高いでしょうか。
この点について、最高裁は「所得税法上、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得および譲渡所得以外の所得で、営利を目的とする継続的行為から生じた所得は、一時所得ではなく雑所得に区分されるところ、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否かは、文理に照らし、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判断するのが相当である」と判示しています(最判平成29年12月15日)。
そのため、一時所得か雑所得かの区別は、ほかの8種類の所得に当たらないことを前提として、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」といえるか否かが主な基準となっているということができるでしょう。
本件のAさんの場合には、1度に4500万円を着服したのであれば、継続的行為とは明らかにいえないので、一時所得に当たるということになるでしょう。
一方、何回かに分けて着服していた場合には、行為の期間や回数、頻度そのほかの態様など判例が示している考慮要素をもとに判断していくことになり、一概にどちらに当たるということは難しいといえます。

一時所得に当たるのか否かについては、このように様々な考慮要素をもとに判断していくことになるため、一度専門家に相談してみるのがよいでしょう。

Aさんは今後どうなるか

Aさんは、会社のお金を業務上横領しているため、会社が警察などの捜査機関に被害届の提出や告訴をすれば、業務上横領の被疑者として取り調べを受けたり、刑事裁判で有罪の判決を受けて前科が付く可能性があります。
業務上横領の金額が多額ですので、会社と示談ができなければ実刑となる可能性が高いといえるでしょう。
一方、会社が被害届の提出など刑事事件化をしなかったとしても、会社から業務上横領によって失われた利益を返還するよう、損害賠償請求をされる可能性もあります。

このような会社との関係とは別に、Aさんは業務上横領によって得た利益について確定申告をしていないはずなので、無申告又過少申告についてのペナルティを別途受ける可能性があります。
確定申告期限内に一切の所得について確定申告がなされていなかった場合には無申告加算税、一部だけしか確定申告をしていなかった場合には、過少申告加算税がペナルティとして課されます。
また、仮装隠ぺいなど悪質性が高いと判断された場合には、無申告加算税又は過少申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
さらに、納税が遅れると、その期間に応じた「延滞税」の支払いが求められます。

このほか、Aさんの場合には、税務調査が入っていますが、悪質性が高かったり脱税額が巨額になる場合には、査察調査に発展することもあります。
査察調査は財務調査と違い、強制的に調査をすることができ、最終的には刑事告発に至る場合が少なくありません。実際、査察調査から刑事告発される割合は約70%と言われています。

まとめ

Aさんのように犯罪によって得られた利益も課税対象になりますので、確定申告をしていなければ、業務上横領の罪とは別に所得税法違反など税法違反の罪にも問われてしまう可能性があります。
そのため、犯罪行為によって利益を得ている場合には、その犯罪だけではなく税金の問題についても考慮しておく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。
初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

【インボイス制度がはじまりました!】

2023-10-25

本年10月からインボイス制度が実施されました。
いまさらながら、インボイス制度とはどういうものか再確認してみましょう。

インボイスとは何か?

インボイスとは、日本語では「適格請求書」と言われます。これは、一定の商品の取引に際し、「売手から買手に対し、正確な適正税率、消費税額等を伝えるための手段」とされ、従来の請求書に
①事業者(売手)の登録番号
②適用税率
③税率ごとに区分した消費税額
の3つを要件として追加して記載した請求書のことを言います。

このインボイスは、請求書であり、売手側が買手側に発行することになります。すると、買手側にはどのような効果が生じるのでしょうか。

買手のメリット

買手は、このインボイスをなくすことなく保存することにより、税申告時に「仕入税額控除」を受けることができるのがメリットです。
「仕入税額控除」とは、インボイスの中には、上記のとおり③消費税額が記載されており、買手は、この消費税額含めた仕入代金額を売上金から差し引くことにより、課税対象となる収益が消費税額分だけ低くなることから納税額が抑えられるという仕組みになっています。

具体例では
たとえば、100万円の原料を消費税込みの110万円としてインボイスを受け取った買手は、製品として200万円の売上金を得た場合に、200万円-110万円=90万円(収益)となります。これに対し、同じ原料をインボイスの登録事業主でない売手から仕入れて200万円で売り上げた場合、仕入れ代金が消費税込みで110万円であったとしてもインボイスでない一般の請求書の場合には「仕入税額控除」として10万円を計上することができず収益は、200万円-100万円=100万円となり、消費税分の所得控除が受けられないことになります。
これが買手のメリットとなります。

また、インボイス発行者、受領者に共通するメリットとして、消費税の取扱の簡素化、迅速化につながるメリットもあるでしょう。

免税事業者の場合には?

申告期間の売上が1000万円以下の事業者は、たとえ、取引先から消費税額を受け取っていても、売上が1000万円以下ならば、免税事業者として消費税の申告は要りません。
では、1000万円前後の売上の場合、インボイスを発行する登録事業者として登録すべきか、免税事業者のままでいるかが悩ましい事業者の場合はどうなるでしょうか。
登録すると原則として、インボイスを発行できることとなり、買手がそのインボイスを受け取り、「仕入税額控除」を受けることができ、良好な取引先として取引を継続してくれることにつながるでしょう。
これに対し、登録せず免税事業者のままでいるならば、自身の消費税申告は確かに不要となりえますが、インボイスを発行できないことから、買手に「仕入税額控除」を不適用ならしめることから、取引先として敬遠されてしまいます。その結果、取引先を失いかねず、結局、総売上の減少を招きかねないおそれがあります。また、ひとたび登録事業者となった場合、1000万円以下の売上であったとしても、登録から2年間は免税事業者に戻ることができません。

経営戦略

果たして、ご自身の場合にも、業種、経営資金力、売上高、消費税の納付の要否、マーケッティング、取引先関係を踏まえた上、インボイスの登録事業者となる途を選ぶかどうか熟慮を要するところです。
もし、迷われたなら、弁護士、税理士に相談することをお勧めします。

金密輸が発覚すると厳しい処罰も

2023-10-18

金密輸について、発覚するとどのような処罰が考えられるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.金密輸に関係する犯罪

金密輸の事例としては、東南アジアなどで金を買い付け、日本に持ち帰って買い取り業者に売るというものがあります。
海外で購入したものを日本に持ち帰ることは輸入に当たるといえますが、金を日本に持ち帰る場合には、注意が必要です。
重量が1キログラムを超える金の地金(純度90%以上)又は②ほかのお土産と合わせて20万円を超える金の地金を携帯輸入する場合には、事前に税関で申告する必要があります。
このような場合に、無申告で日本に持ち帰ると、「関税法違反」として処罰の対象となります。
関税法違反となる場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金またはその両方の刑罰が科せられる可能性があります。

また、日本で売買することによって得た利益については、所得となります。
この場合に問題となるのは、消費税法、所得税法、地方税法です。
金を売った利益が所得となるため、所得税や住民税の確定申告が必要になりますし、売った場合には消費税の納税義務も生じます。
そのため、確定申告をしていなかったり、消費税の納付をしていない場合には、消費税法違反や所得税法違反、地方税法違反という罪に問われてしまう可能性があります。
この場合の罰則は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科となっています。

2.手続きの流れ

金の密輸が疑われる場合、税関から通報され警察の捜査が開始されることもありますが、税務調査によって発覚する場合もあります。
税務調査は、所得隠しの疑いがあったりする場合に、確定申告の内容が適切かどうかを見極めるために行われるもので、任意調査です。
しかし、この税務調査で所得隠しが明るみになり、意図的に所得を隠していて悪質性が高かったり、無申告にかかる税額が多額に上ったりした場合には、国税局の査察調査を受けることになります。
査察調査は、強制調査として行われ、刑事告発を視野に行われます。
国税局査察部が会社などに立ち入り、必要な資料などを強制的に押収して聴き取り調査などを行います。
その後、刑事告発するかどうかが検討され、刑事告発すべきとなった場合には、検察庁に対して告発がなされ、以後は刑事事件として捜査を受けることになります。
多くの場合には逮捕されて捜査を受けることになり、その後刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判では、有罪無罪のほか、有罪の場合には実刑か執行猶予判決か、罰金をいくら併科すべきかが決められます。
このように、脱税を疑われる場合には、税務調査から査察調査、刑事事件手続まで発展する可能性があります。

3.どのように対処すべきか

税務署の税務調査が入った場合には、まずは専門家に相談することをおすすめします。
なぜ税務調査が入ったのかを専門家である税理士や弁護士とともに検討して、査察調査に発展したり、刑事事件化してしまう可能性があるのかを確認してもらいましょう。
場合によっては、修正申告などで十分対応することが可能です。
しかし、査察調査や刑事事件に発展する可能性がある場合には、より慎重な対応が必要です。
告発をされないために、修正申告を行い未納の税額を早急に収めたり、聴き取り調査に対してきちんと対応したりできるかが重要となってきます。
また、刑事事件となって捜査を受けることになった場合には、逮捕されないための活動や不起訴獲得に向けた活動、さらには刑事裁判に対する準備なども早い段階から行っていくことが必要です。
特に査察調査が入った場合には、告発率は70%程度と言われていますので、刑事事件化を見据えて刑事事件に強い弁護士にも相談し、どのように対処していくべきか確認していくべきでしょう。
金密輸の場合には、悪質性が高いとして、比較的長期の懲役刑が科される可能性もありますし、併せて利益の3割程度の罰金刑も科される可能性があります。
刑罰とは別に、本来納めるべきであった税額に重加算税などの追徴課税も課せられることになるため、金銭的なペナルティが非常に重いものになります。
早期に弁護士や税理士などの専門家に相談して対応していきましょう。

【税金リテラシー*を高めよう~税金の歌!】

2023-10-11

関西を拠点に活動するバンドに『八ツ尾順一と税金一座』という税金のことを歌にして届ける活動をする異色のグループがある。

バンドの構成メンバーは,「NHKのど自慢」のバックミュージシャンだったプロ奏者たちに,税法を専門とする大学教授で税理士,公認会計士を勤める八ツ尾順一さん(72歳)がバンドのボーカルを務めるリーダー,他にプロギタリスト(70歳)らが参画する。2014年から毎年2曲ずつをリリースしており,今までに20曲を制作した。

楽曲のテーマは,ビートルズの「タックスマン」**のような歌を作ることを目指しており,ずばり,バンドの歌を聴く人達に正しい税金リテラシーを持ってもらいたく難しいとされる税金の話を一般の人に分かりやすく伝えることを狙いとしており,「日本には税金に関する歌があまりない。歌をきっかけに税金に関心を持ってほしい。」として今日もマイクで喉を振るわせ,活動している。

曲名には,「消費税よ,どこへ行く」,「おじいちゃんの恋~贈与税物語より」「ああ~それは加算税」「源泉徴収 恨み節」などと税法上の法律用語がちりばめられており,その歌詞は説明調で長くなり,一小節に収まり切らないのを修正に修正を重ねて出来上がったメロディは,藤圭子風,谷村新司風にアレンジし見事に収まっているという。

たとえば,こんな感じ ~「源泉徴収恨み節」から~
   ♫   債務免除は給与所得      ♫   
   ♫   なぜ給与所得なのか教えてよ  ♫

これは,社団の理事長が社団から約52億円の債務を負っていたところ,これを同社団が債務免除した事案に関し,広島高裁が「本件債務免除は,理事長の資力喪失が理由であるから,理事長に対する役員対価(報酬)とみることは相当ではなく,所得税法にいう給与等に該当するということはできず債務免除益について,社団に源泉徴収義務はない。」とした判断に対し,最高裁が審理を差し戻した裁判例(2016年10月)を歌にしたものです(この場合社団に源泉徴収義務があるとすれば,同社団は,源泉徴収額を納税しなければないのが理屈となりますね。差し戻し後の判断は未了のようです。)。

たしかに税法に関する裁判例は,難解で理解が困難な向きが多いようです。これを分かりやすくユニークな歌にすれば,一般にも理解されることとなるでしょう。
同バンドの曲はカラオケにもなっているものもあり,我こそはと思われる方は,税金の歌に挑戦してみてはいかがでしょうか。

*リテラシーとは本来は読み書きの能力を指し,ここでは税金に対する基本的事項を理解していることを指す言葉。金融リテラシーなどとよく使われている。

**ザ・ビートルズ「タックスマン」
1966年の7thアルバム「Revolver」に収録されているジョージ・ハリスンの制作になる曲,イギリスで富裕層に課せられていた最高税率95%という高い税率に対する不満から,当時売れまくっていたビートルズが自分たちが支払う高い税率に音を上げ,税金に対する皮肉を込めて作った曲とされている。

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