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【制度解説】源泉徴収とは
源泉徴収という言葉を聞いたことがあると思います。今回は源泉徴収制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がわかりやすく解説します。
源泉徴収とは
源泉徴収とは、企業が従業員の給与から所得税に当たる部分を差し引いて、企業が従業員の代わりに所得税を国税庁に納める制度のことをいいます。
源泉徴収制度の目的は、従業員の所得税の申告漏れを防ぐことにあります。
企業に勤めている従業員の方は、この源泉徴収制度により所得税が納められているため、基本的には自分で確定申告をして所得税を納める必要がありません。
しかし、当該企業から以外にも収入がある場合には、自分で確定申告を行う必要があります。
また、個人事業主の方の場合には、基本的に源泉徴収の対象とならないため、自分で確定申告をする必要がありますが、受けた仕事によっては給料として支払われて所得税分が源泉徴収されている(給与から天引きされている)場合もありますので、しっかりと確認しておく必要があります。
源泉徴収の仕組み
源泉徴収制度は、企業が従業員の代わりに従業員の所得税の計算や申告をするものです。
そのため、納税義務者は企業ということになります。
源泉徴収の対象となるのは、基本的に企業から支払われる給与所得です。
その他には、退職金や株の配当金なども源泉徴収の対象となります。
源泉徴収されているかどうかは、企業から交付される給与明細をご覧いただくと、所得税などが差し引きされていると思いますので、給与から差し引きされている場合には源泉徴収が行われていると判断することができます。
この源泉徴収された税金部分(源泉徴収税)は、企業が毎月国税庁に納税しています。
しかし、この源泉徴収税は、昨年度の所得から算出されたいわば想定年収から算出された金額となります。
そのため、その年の年収が確定した段階で、本来納めるべき所得税の額と実際に納めている源泉徴収税額が異なる可能性があります。
そこで企業が行うのが、年末調整です。
年末調整では、実際に支払うべき所得税額を計算するので、本来納めるべき所得税額と実際に納めている源泉徴収税額を比べて、納めている税額が少なかった場合には不足分を改めて納める(追納)する必要があります。
逆に、納めすぎていた場合には、納めすぎていた税額部分の還付を受けることができます。
源泉徴収されていても確定申告が必要な場合も
源泉徴収をされていたとしても、確定申告が必要となる場合があります。
企業にお勤めの方の場合
①給与収入が2000万円を超える場合
②企業以外からの収入が年間合計20万円を超える場合
などの場合には、確定申告が必要となります。
また、個人事業主の方の場合には、基本的に確定申告が必要となりますが、企業から受けた仕事の場合には、企業側が源泉徴収をしている場合もあるため、それをしっかりと確認したうえで確定申告をする必要があります。
企業にお勤めの方であったとしても場合によっては確定申告が必要となることもあるため、しっかりと確認して確定申告を怠らないようにすることが必要です。
もし、確定申告が必要だったのに忘れてしまっていたという場合には、早急に対応することで、のちのち重大なペナルティを受けることを避けることができます。
ご不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【制度解説】住民税について
住民税の計算方法,納税時期等に関して弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
制度の概要について
所得税と並んでポピュラーな税に住民税があります。住民税には,市町村民税と道府県民税の2つがあり,毎年1月1日の時点で,当該市町村に住所を有する個人や会社などの法人に対し,地方税法に基づいて当該住所の地方公共団体が課税するというものです。
通例,毎年6月上旬頃に,納税義務者に対し,各地方公共団体から住民税の納付通知書が届けられ,通知による課税方式が採られていますが,個人の場合,FXなどの投資により所得がある場合には,その所得が年間20万円以下である場合(この場合所得税の申告は不要)であっても住民税の申告が必要となるので注意が必要です。
納付方法:一括払いから4回分割払いの選択が可能であり,納付通知書を用いて納付します。
税額の算定について
確定申告をしている個人事業主などの個人や,会社等の法人は,前年度の確定申告による所得を基に住民税が計算されます。
また,住民税には,その負担の内訳として所得割,均等割の2つがあります。
所得割とは納税者の所得に応じて課されるものであり,均等割りとは,所得に関係なく一定額が課されるというものです。この場合,確定申告により所得確定された金額は所得割の算定のベースとなります。
個人の住民税については,それぞれの計算式は次の通りです。
具体的計算式
所得割
(所得金額-「所得控除額」)×10%-税額控除額=所得割の税額(①)
このうち,「所得控除額」には基礎控除額として原則43万円が認められています(一部高額所得者を除く)。
なお、住民税の所得控除額と所得税の基礎控除額とは違うことに注意が必要です。
均等割
前年度の総所得金額に応じて決まり,大体の地域では,年間4000円~5000円程度とされています(②)。
住民税額=上記①+上記②となります。
住民税の額に納得ができない場合は
通知を受けた住民税額に納得ができない場合は,各自治体の定める条例の規定に基づいて不服の申立てができるほか,行政不服審査法による審査請求ができます。さらに,行政上の手続きで解決できない場合には行政事件訴訟法により,裁判所で訴訟による紛争解決を求めることも可能となります。
当法律事務所では,所属の弁護士が国税局長に対し,税理士業務の通知を出しており,住民税を含めた税務事件にも注力しています。住民税の額や税務行政に不満がある方は,当法律事務所に一度相談されることをお勧めします。
国税局から告発されたらどうなるの?
国税局から検察庁に告発された場合にどうなるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは、自らが代表取締役を務める甲会社の所得約1億3000万円を隠し、法人税約3500万円を脱税したとして、大阪国税局から大阪地方検察庁に告発されてしまいました。(フィクションです)
告発とは
告発とは、犯罪の被害者ではない第三者が捜査機関に犯罪が行われたことを報告し、犯人の処罰を求める意思表示のことです。
似た用語として、被害届の提出や告訴がありますが、被害届の提出や告訴は原則として被害者が行うのに対して、告発は被害者以外の第三者が犯人の処罰を求める点で違いがあります。
脱税事件においては、国税局査察部(いわゆるマルサ)が査察調査を行い、脱税の事実があり、その態様が悪質であったり、脱税額が多かったりした場合には、管轄の地方検察庁に対して告発を行います。
税金は国に対して納めるもので、国税局自体は被害者ではありませんので、被害届の提出や告訴ではなく、脱税した人を処罰してほしい場合には「告発」を行うことになります。
事例のAさんの場合は、大阪国税局が査察調査を行った結果、約1億円以上の所得隠しが発覚しており、悪質性が高いと考えられること、脱税額も3000万円を超えており多額と言えることから、刑事処罰を求めるために告発されたと考えられます。
告発されると
地方検察庁に告発されると、刑事事件としての手続きが始まります。
一般の刑事事件との違いとして、脱税事件の捜査は警察ではなく、検察官が行うことが挙げられます。
告発を受けた検察庁は、検察官が被疑者の取調べを行ったり、追加の証拠収集を行ったりします。
捜査を開始するにあたっては、逮捕される場合もあります。
逮捕されるか否かは、事件内容の軽重、証拠隠滅や逃亡のおそれの有無、共犯者の有無、自白しているか否かなどによって変わってきます。
たとえば、脱税額が巨額で、関係者が多数いる場合などは逮捕される可能性が高いといえます。
逆に、査察調査の段階から脱税の事実を認めて、脱税を指摘された部分についての税金を追徴課税も含めて納税済みである場合などは逮捕されない可能性が高くなります。
事例のAさんの場合には、脱税を指摘された部分について納税を一部でもしていれば逮捕を免れる可能性が高いと考えられます。
そして、捜査の上で、検察官が起訴するか不起訴にするかを決定します。
不起訴となった場合には、罪に問われることはなく、身体拘束を受けていた場合には釈放されます。
一方、起訴された場合には、その後刑事裁判が開かれることになり、身体拘束を受けていた場合には、身体拘束が継続してしまいます。
起訴するか不起訴にするかは、事件内容の軽重、脱税額を事後的にでも納税しているか、前科前歴の有無などによって決まってきます。
なお、脱税事件の起訴率は約70%くらいです。
事例のAさんの場合には、脱税額が多く、所得隠しという悪質性の高い行為を行っていることから起訴される可能性が高いと考えられます。
告発されたらどうすべきか
告発をされた場合には、刑事事件となり、逮捕されたり、起訴されて裁判を受けることになったり、悪い場合では実刑になってしまう場合があります。
そのため、逮捕や起訴、実刑を避けるために、まずは脱税を指摘された部分について納税義務を果たしていくことが重要となります。
その他にも、証拠の隠滅や逃亡をしないことを誓約して、身元の引受人などの監督者を選任するなど逮捕を避けるための準備をするなど逮捕、起訴、裁判の各段階で必要な準備をしておく必要があります。
すべてを抱え込んでしまうと、刑事事件化したことによるストレスや不安で押しつぶされてしまい、十分な準備ができなくなってしまったり、そもそもどういったことをすれば有効なのかわからないといったことも考えられます。
そのため、告発されたら早い段階で専門家である弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を中心に扱っている事務所ですので、刑事事件に精通した弁護士が丁寧にアドバイスします。
ぜひ一度ご相談ください。
【制度解説】税務行政に物申す(不服申立制度)
税(国税)に関する処分について不服申立制度について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
制度の概要
税務署長,国税局長などがした処分に対し,納得がいかない場合には,その違法性や不当性を争って当該税務署や国税不服審判所長に対して不服の申立てができます。
たとえば,納税者が,確定申告により所得税の還付金請求をしたのに,反対に課税処分がなされたりした場合に,その誤りを指摘して是正を求めることができるという制度に不服申立てなどがあります。
不服申立には期限がある
上記のような不服のある納税者は,不服の対象となる処分があったことを知った日(通知文書を受けた場合はその文書を受け取った日)の翌日をスタートとして,原則として3か月以内に申立てをしなければならず(国税通則法77条1項),これを徒過すると申立ては却下されることなるので注意が必要です。
2つの手続き
不服のある納税者は,処分をした税務署長の所属税務署に対する①「再調査の請求」あるいは,国税不服審判所長に対する②「審査請求」のうち,いずれかを選択することになりますが,①の場合でも再調査の結果に納得できなければ②へと移行することが可能であるため,以下は②の国税不服審判所長に対する審査請求の概略となります。
国税不服審判所長に対する審査請求
審査請求では,標準審理期間が1年と指針で定められ,裁判所における税務訴訟一般と比し,大幅に短縮されることが想定されており,早期解決をめざす納税者の利益を重視したものとなっています。
さらに,審理の結果,出すべき裁決(却下,認容,棄却)では,審査請求人(納税者)の不利益に処分を変更することは許されず,ここでも納税者に不利益が増大しないルールが定められています(同法98条3項但書)。
また,裁判所への訴訟提起の場合,請求額に比例した手数料の納付が必要であるところ,審査請求では,手数料の負担なく制度の利用ができることもおすすめとなる点です。
気になる認容率について
このような審査請求の申立て認容率は,平成29年から令和3年までの直近5年間では,3%~10%の範囲で推移しており,現状残念ながらあまり高いとは言えません。
まとめ
納税の義務は,日本国憲法(30条)にも定められた国民の義務のひとつですが,税務行政を公正とするための制度がこの不服申立て制度となります。納税を納得の上で履行したいと思われる方は,弁護士や税理士に相談するのを検討することもおすすめです。
NISAでも確定申告が必要?
NISA(少額投資非課税制度)で得た利益について、確定申告が必要になる場合があることをご存じでしょうか?弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
NISAとは
NISA(少額投資非課税制度)は、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。
通常であれば、株式や投資信託といった金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%(消費税15.315%(復興特別所得税を含む)、地方税5%)の税金がかかります。
NISA口座内での取引は、年間非課税枠内で購入したものに対する利益について、所得税や住民税といった税金が課税されない、つまり、税金を払う必要がないということになっています。
そのため、NISAで利益を得たとしても、通常は確定申告は必要ないということになります。
NISAの種類
NISAには現在①一般NISA、②つみたてNISA、③ジュニアNISAの3種類があります。
①一般NISAは、株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。
②つみたてNISAは、①一般NISAと違い、購入方法や購入可能商品が限られていますが、一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できます。
③ジュニアNISAは、20歳未満を対象とした制度で、株式・投資信託等を年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。
※なお、2024年以降は、現行のNISA制度が見直され、年間投資枠が大きくなったり、非課税保有期間が無期限となったりといった現行制度の拡充・恒久化が図られた新しいNISA制度が始まることになっています。
NISAで確定申告が必要な場合
NISAは少額投資に関して非課税にする制度ですので、原則として確定申告は必要ありません。
しかし、以下の3つのパターンの場合には、確定申告が必要になるので、注意が必要です。
①NISA口座から他の口座に資産を移した場合
非課税期間が終了した場合、翌年の非課税投資枠に移管するか、課税口座に移管するか、売却するかを選択できます。
NISA口座からそれ以外の課税口座へ移管した場合には、移管後に出た利益については課税対象となります。
ここで注意が必要なのは、移管時点の価格が取得価格とされる点です。
NISA口座で購入した価格と課税口座へ移管した時点での価格が値上がりしていればそこまで問題はありませんが、逆に値下がりしていた場合、移管時の値下がりした価格が取得価格となるため、その後に値上がりした場合には、多くの税金を支払う必要があります。
②ジュニアNISAで得た利益を18歳未満で払い出した場合
ジュニアNISAには払い出し年齢に制限を設けてます。
18歳未満で払い出しをする場合、購入時にさかのぼって課税対象とされるため注意が必要です。
なお、2024年以降についてはこの制限が廃止されます。
③配当金の受け取りを証券会社を通じて受け取る方法(株式数比例配分方式)以外の方法で行う場合
国内上場株式の配当金、ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)の分配金は、証券会社を通じて受け取る場合(株式数比例配分方式を選択している場合)のみ非課税となります。
配当金などの受け取り方法は、ゆうちょ銀行から受け取る方法、指定の銀行口座から受け取る方法、証券会社を通じて受け取る方法から選択できますが、証券会社を通じて受け取る方法以外を選択した場合には、非課税とはならず税金が源泉徴収されます。この場合、確定申告をすることで控除や損益通算をすることが可能です。
脱税と言われないためにもしっかりとルールの確認を
NISAは非課税という大きなメリットがある一方、ルールを知らないと思わぬところで落とし穴があり、デメリットもあります。
2024年以降はこういったデメリットが緩和されることが期待されていますが、それでもルールをしっかりと確認しておくことが必要です。
NISAを利用していたのに、税務署から調査が入ったなど不安がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。
投げ銭は贈与?税金は?
投げ銭(スーパーチャット)は贈与でしょうか?税金はかかるのでしょうか?その疑問に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がお答えします。
投げ銭(スーパーチャット)とは
投げ銭という言葉は、もともと路上パフォーマーなどのパフォーマンスに対して、観客がパフォーマー側が準備した集金箱などに金銭を投げ入れる行為のことを指していました。
映画などで大道芸人が演技が終わった後にシルクハットなどを観客に差し出してそこに観客からお金を入れてもらう場面を見たことがあるのではないでしょうか?
しかし、インターネットが普及した現在においては、「投げ銭」の意味も変化しています。
今回取り上げる「投げ銭」とは、インターネットでの配信などに対して、視聴者やファンなどがオンラインで送金する行為を言います。
YouTubeではスーパーチャット(スパチャ)と言われていますが、これも代表的な「投げ銭」と言えるでしょう。
「投げ銭」のシステムは、オンライン上で金銭を送金する以外にも、有料ギフトを購入し送るなどの方法もあり様々ですが、いずれも配信者を金銭面で支援しているという面で共通しています。
投げ銭は贈与か?
投げ銭は贈与でしょうか?
贈与とは、無償で金銭等を譲渡する(譲り受ける)行為をいいます。
そのため、インターネット配信をしている人が何もパフォーマンスなどをしていないのに、投げ銭をされた場合には贈与に当たるといえるかもしれません。
しかし、ほとんどの場合、なにがしかのパフォーマンスを配信し、そのパフォーマンスに対して投げ銭が行われています。
そうすると、対価性が認められることになり、もはや「贈与」ということはできなくなります。
この場合、投げ銭で得た利益は「所得」として申告する必要があります。
贈与か所得かは納税の段階で非常に大きな違いが出てきます。
「贈与」の場合、贈与税の申告が必要となりますが、1年間に得た贈与の額が110万円を超えていなければ申告する必要がありません。
一方「所得」の場合には、基本的に20万円を超えている場合には確定申告が必要となります。
投げ銭の所得は何所得か?
投げ銭が「所得」になるとして、その所得の種類が問題となります。
すなわち「事業所得」か「雑所得」かです。
この点、基本的には「事業所得」となると考えられます。
たとえば、YouTuberの方などは動画配信を仕事として行っており、その動画配信を通じて「投げ銭」を得ていることになるので、仕事=事業によって得た収入と考えられます。
つまり、なにがしかの事業若しくは反復継続性のある行為によって得た利益は「事業所得」となると考えられます。
一方、一般の方が趣味でアップした動画などについては、「雑所得」となる可能性の方が高いと言えます。
反復継続性がなかったり、その行為によって利益を得ることを目的としているとはいえないからです。
投げ銭の確定申告
事業所得に当たる場合、総収入から経費や控除額を引いたものが課税対象の金額となります。
ここで、青色申告か白色申告かによって、控除額が異なります。
たとえば、個人事業主で開業届を提出し青色申告承認申請をしている場合、青色申告をすることができます。
青色申告では最高55万円(令和元年以前は65万円)を控除することができます。
投げ銭は履歴が残るため、税務調査が入ると申告漏れが発覚しやすいといえます。
投げ銭が贈与になるのか事業所得になるのかわからない、所得になるのに贈与として申告していて心配という方は専門家に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では無料の法律相談を実施していますので、税務調査・査察調査が入ったという方は一度お問い合わせください。
宗教法人には課税されないのか?
宗教法人には課税されないのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
宗教法人に対して追徴課税
令和5年1月31日の報道で、和歌山県内で寺を運営する二つの宗教法人が2021年、大阪国税局の税務調査を受け、各法人の代表を務める住職2人が檀家からのお布施計約1億5000万円を私的に流用していたとして、所得税の源泉徴収漏れを指摘し、2法人に対して重加算税を含む計約7000万円を追徴課税したというニュースがありました。(令和5年1月31日付読売新聞オンライン)
この事件では、住職2名は7年間で、読経などで得たお布施を自分名義の口座に入れ、個人的に使ったり、預金していたりして私的に流用していたことが、源泉徴収の対象となる「給与」と認定されたということです。
宗教法人は課税されないのでは?
宗教法人は課税されないと思っている人は多いと思います。
しかし、実際には宗教法人に対しても課税はされます。
なぜこのような勘違いが起きてしまうのかというと、「宗教活動」には課税されないからです。
宗教法人は、「宗教活動」を行う団体ということができますが、宗教活動以外にも様々な活動をしています。
そのため、宗教法人が行う活動のうち、宗教活動以外で収益事業を言えるものには法人税などが課税されます。
宗教法人に法人税が課せられる場合
宗教法人の収益事業には法人税が課されます。
宗教法人の収益事業としては、物品販売業や不動産の貸付業など34種類の事業があります。
もっとも収益事業に該当するかどうかについての線引きは微妙な部分もあります。
例えば、お守りやおみくじなどの販売については、物品販売業に該当しそうですが、その売価と仕入原価との関係からみてその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく、実質的な喜捨金と認められるような場合には、収益事業には該当しないことになっています。
一方、一般の物品販売業者においても販売されているような性質の物品(例えば、絵葉書、写真帳、暦、線香、ろうそくなど)を通常の販売価格で販売する場合には、その物品の販売は収益事業に該当します。
このように、法人税が課税されるか否かについては、その線引きが難しいものもありますので、収益事業に該当するかについて、税理士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
住職の給料
お寺の住職さんに対して宗教法人から給料が支払われている場合があります。
この給料については、源泉徴収の対象となっています。
そのため、宗教法人は源泉徴収義務者として、住職さんに支払う給料から源泉徴収し、国に源泉徴収税を納付する義務を負っています。
上記報道で、住職が私的に流用した金銭を「給与」と認定されたことによって、源泉徴収義務を果たしていないことになり、追徴課税を受けたということになります。
また、今回の事件では、重加算税が課されていますが、これは、私的流用が仮装・隠ぺいを伴う悪質性の高い不正行為であると認定を受けたことによるもので、通常の加算税よりもより重いペナルティといえます。
まとめ
お布施は現金で受け取るため、資料が残っていないことが多いですが、国税庁が実施した調査では、約7割で源泉徴収漏れがあったということです。
税務調査が入った場合には、徴収漏れが発覚する可能性が高いといえますので、早めに専門家にご相談ください。
早めに修正申告などをすることで、重加算税などの重いペナルティを避けられる可能性が上がります。
損害賠償金に税金はかかるのか?
損害賠償金に対して課税はされるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
損害賠償金
不法行為などによって損害を被った場合、損害を被った側は損害を与えた側に対して損害賠償を請求することができます。
損害賠償は通常の場合、金銭で支払われることになりますが、損害賠償金を受け取った場合、所得として課税対象となるのでしょうか。
今回は、犯罪によって損害を被った場合における損害賠償金に課税されるかについて、事例をもとに解説していきます。
事例1~過失運転致傷の場合~
Aさんは自動車を運転中によそ見をしてしまい、東京都千代田区の横断歩道を青信号に従って歩行中のVさんをはねて怪我をさせてしまいました。
Aさんは、Vさんが怪我の治療により支払った治療費や休業損害、慰謝料などを含め200万円をVさんに支払うことで、Vさんから許してもらいました。
この場合、Vさんは、200万円の利得を得たことになりますが、「心身に加えられた損害に対する損害賠償金」については、「非課税所得」となるため(所得税法9条1項18号)、所得税の課税対象とはなりません。
事例2~業務上横領の場合~
Bさんは、愛知県名古屋市にある会社の経理を任されていましたが、会社の売上金から合計1000万円を横領していました。
会社から問い詰められたAさんは、横領の事実を認め、会社に対して1000万円の損害賠償金を支払うことで示談しました。
この場合、会社には実際に1000万円の損失があり、1000万円の損害賠償金はその損失を回復しただけということになるので、課税されないことになります。
事例3~窃盗の場合~
Cさんは、大阪府堺市にある店の倉庫に忍び込み、商品を盗んで売り払っていましたが、あるとき忍び込んだところを店員に見つかり、警察に逮捕され、逮捕された後の捜査で、Cさんが盗んだ商品の総額が300万円になることが判明しました。
店は今回の事件を受けて防犯のために防犯カメラの設置などを行ったため、その費用も含めてCさんに請求しようと考え、盗まれた商品が売れたとしたならば得られたであろう利益と防犯カメラの設置代などを合わせて500万円をCさんに請求し、支払ってもらいました。
この場合も、店としては商品の損害を受けているため、それを補填してもらっているのであるから、非課税となりそうです。
しかし、事業用の資産に対しての損害賠償金の場合には注意が必要です。
社会通念上ふさわしいとされる範囲での見舞金の金額に相当する部分については非課税とされますが、商品を売った場合に得られる売却益を損害賠償金として受け取った場合、収入金額に代わる性質をもつものとして課税対象となります。
また、防犯カメラの設置代などについては、本来であれば会社の経費として算入される金額を補填するためのものと言えるため、非課税とはならず、事業所得の収入金額となる可能性が高いです。
そのため、今回の事例では、社会的に相当と言える範囲を超えた部分や事業収入の代わりに支払われたと考えられる部分については、課税されることになります。
まとめ
損害賠償金として受け取った金銭については、基本的には非課税所得となりますが、場合によっては課税対象となる場合があります。
そのため、損害賠償金として受け取ったとしても、確定申告が必要となる場合があり、税理士や弁護士に確認しておく必要があります。
【事件解説】インフルエンサーに追徴課税
インフルエンサー9人に対して東京国税局が追徴課税をした実際の事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
事件の概要
「インフルエンサー」の女性9人が東京国税局の税務調査を受け、2021年までの6年間に合計約3億円の申告漏れを指摘された。
東京国税局から,税務調査を受けたのは,インスタグラムやYou Tubeなどでいわゆる「インフルエンサー」と呼ばれる活動をする女性ら9名で,同女性らは,広告主から商品やサービスの宣伝業務を受注すると,広告主の商品である化粧品や美顔器などについて,実際にこれらを使用している写真などをSNS上に投稿するとともに,販売を促進する旨の分かりやすいコメントを載せることにより,同女らのフォロワーらに購入意欲を促進させるなどして売上げにつなげることで,広告主から,そのフォロワー数に応じた報酬を受け取り,多額の利益を上げていた。
同インフルエンサーらは,報酬の全部または一部を確定申告していなかったり,うち1名については,SNSを通じて販売したいわゆる情報商材の売上収入を,海外のペーパーカンパニーの収入と装って所得を隠すなどしていた。
(令和5年3月8日読売新聞オンラインの記事より抜粋)
税務調査
課税庁が,納税者の申告内容に疑問を感じた時に,事後の追徴課税の要否を判断するためなされるのが税務調査です。個人で対象となるのは,個人事業主,フリーランス,ITプログラマー,新規ビジネスモデルのアントレプレナーなど多種多様に及びます。これは憲法に規定された国民の納税義務に基づく課税行政の適正実現のために,所得の生じる事業に対し,過去5年(悪質ケースでは7年)まで遡って(国税通則法72条,73条),事業に関する帳簿書類その他の物件の提示若しくは提出を求め,事業者に対し,事業の収支関係等に関し質問することができるとするものです(同法74条の2)。
このような税務調査がなされれば,税務のプロによる調査からもはや逃れることはできないでしょう。
今回は,人気女性インフルエンサー9名に対し,東京国税局が税務調査をした結果,2021年までの6年間に計約3億円の所得申告漏れが判明しました。
インフルエンサーは狙われている
SNS上のインフルエンサーによる広告は,拡大を続けており,市場調査会社であるSNSマーケティング会社によると,2021年は前年の2倍以上のおよそ741億円の市場規模であり,予測によると,これが2027年には1302億円に上ると推計されています。
インフルエンサーはほとんどが個人で行ってることから、個人事業主ということになります。
企業とタイアップしたりスポンサード契約を結んだりしている場合もありますが、その場合でも個人事業主として扱われる場合がほとんどです。
今回の事件のように、広告によって得た収入は事業所得となり、所得税の確定申告が必要になります。
インフルエンサーの市場規模が年々拡大を続けている現状から、インフルエンサーは、国税局や税務署が特に注目している事業分野だといえます。
特にYouTubeやInstagramなどでは、フォロワー数が表示され、どれくらいの広告収入を得ているかが推測されやすく、税務調査に入りやすいといえるでしょう。
追徴課税
今回の事件では、インフルエンサー9人に対して、百数十万から約3000万円が追徴課税され、追徴税額は合計約8500万円に上るということです。
追徴課税とは、本来納めるべきであった税(本税)に加えて、無申告や過少申告に対するペナルティとしての加算税を加えたものです。
今回の事件では、報酬の一部を申告していなかった人には、過少申告加算税が、報酬の全部を申告していなかった人には無申告加算税が追加で徴収されていることになります。
また、今回の事件のうち1名のインフルエンサーは海外のペーパーカンパニーの収入と偽っていたとのことですが、これは悪質性の高い隠匿行為と評価される可能性があります。
悪質性が高い隠匿行為とされると、無申告加算税や過少申告加算税よりも加算される税額が重くなる重加算税が課せられる可能性もあります。
本来納めるべき税額に加えて、加算税が課せられますので、きちんと確定申告をして納税していれば課せられなかった多額の税金を追加で納めなければならなくなってしまいます。
税務署の税務調査より前に修正申告を行うことによって、こういった加算税を課せられることを防ぐことができますので、申告漏れに気づいた場合には、早めに専門家に相談して対処しましょう。
まとめ
今回の事件ではインフルエンサーに対する追徴課税がなされたという報道でしたが、うち1名については、悪質性の高い隠匿行為をしているとして重加算税の対象になる可能性があるだけでなく、刑事告発を受けて刑事罰を科せられる可能性もあります。
インフルエンサーはその社会的影響力から、税務署も目を光らせていますので、確定申告の内容に不安があったり、申告漏れが疑われてしまった場合には、早急に税理士や弁護士などの専門家に相談しましょう。
本記事を解説してくれた河田弁護士は「国民主権の下,国の存立を図るためには,国民一人一人が,その能力に応じて納税義務を履行し,国の財政を支えなければならないの当然となります。天網恢恢疎にして漏らさずのとおり,不正な申告や所得隠しはいずれ発覚することになりましょう。そうなれば,本来の税額に加えペナルティとして加算税の追徴を受けるなど金銭的に少なからずの損失を被ることになります。誰しも納税には負担を感じるものです。しかし,納税することが国の存立に寄与すると思えば,気持ちも変わるはずです。くれぐれも適正申告に務めたいものです。」と語っています。
【事件解説】所得税不正還付指南で刑事告発
所得税の還付を不正に受ける方法を指南したとして刑事告発された実際の事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
事件の概要
「納めすぎた税金を取り戻そう」と全国の会社員にSNSで呼びかけ、不正な還付申告による脱税の手口を指南していたとして、東京国税局査察部が、東京都新宿区のコンサルタント会社の代表者Aを所得税法違反の疑いで東京地検に告発した。
Aは、東京や埼玉、愛知、岐阜、大阪、兵庫、福岡、熊本など19都府県の会社員ら109人に、架空の副業で計約7億2900万円の損失を出したように装わせ、計約4300万円分の所得税の還付を不正に申告させた疑いが持たれている。
(令和5年3月1日、朝日新聞DIGITALの記事から抜粋)
所得税の還付
会社員の方などは、給与から所得税が源泉徴収されています。
この源泉徴収をされた所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納めすぎた所得税の返還を受けることができます。このことを所得税の還付といい、還付を受けるための申告を還付申告と言います。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
会社員の方の場合には、給与から所得税が源泉徴収されているため、基本的には所得税の確定申告をする必要はありません。
しかし、副業をしている方で、その副業で損失を出してしまった場合には、その損失部分を所得から差し引くことができるため、損失部分を含めて確定申告をすることで、納めすぎた所得税の還付を受けることができるのです。
刑事手続
Aさんは、所得税法違反で刑事告発を受けています。
刑事告発を受けた検察庁は、Aさんを被疑者として取り調べ、その後起訴することになります。
査察部から刑事告発をする場合には、事前に査察部と検察庁で協議を行い、告発をするかどうかを決定することがほとんどです。
そのため、刑事告発されると7割を超える確率で起訴まで至っています。
起訴されると、公開の法廷で裁判が開かれます。
今回のAさんの場合、架空の副業で損失が出たように装って還付申告をすることを指南していたということなので、「偽りの方法により所得税の還付を受けた」ということになり、所得税法238条1項の罪に該当すると思われます。
同条で規定されている法定刑は、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科」です。罰金については、情状によって、還付を受けた所得税の額に相当する金額以下まで科すことができます(同条2項)。
Aさんの場合には、脱税を指南していたという立場になるため、実際に不正に還付申告をした人たちとの共犯関係にあるということになりますが、申告書作成の手数料を受領したりもしていたようなので、共謀共同正犯として処罰されることになるでしょう。
実際に不正に還付を受けた会社員の方たちは、国税局から所得隠しを指摘されて、大半が重加算税を含む追徴課税を受け、修正申告と納税に応じているということですので、Aさんに対する判決については、執行猶予が付く可能性が十分にあると考えられます。
しかし、かなり多数の人に対して脱税を指南していたこと、受け取っていた手数料の総額が高額なことなど悪質性が高い事案であるともいえます。
そのため、執行猶予が付かず、実刑判決を受けてしまう可能性もあります。
また、罰金の併科も受けることになると考えられ、不正に還付を受けた金額が約4300万円ということからすれば、1000万円近くの罰金も併科される可能性が高いです。
まとめ
今回は、実際報道されている事件をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の末吉弁護士に解説をしてもらいました。
末吉弁護士は、「所得税の不正還付については、国庫に対する詐欺のようなものなので、国税局も本腰を入れて調査しますし、告発もされやすい部類に当たるといえます。そのため、もし不正還付に加担してしまったという場合には、早急に弁護士に相談して告発をさけるための活動をしていくべきでしょう」と語ってくれました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税に関する相談を無料で承っていますので、早急にお問い合わせください。
