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取締役の横領が発覚した場合の税務上の問題~②~

2023-03-08

取締役が横領をしていた場合の税務上の問題について、前回に引き続き弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

税務上の問題2~横領金と役員給与~

会社代表者が横領をした場合、横領金は役員賞与になるという考え方が一般的です。
あらかじめ金額を定めていたり、定期で支払われるものなど以外の場合には、役員賞与として会社の損金には該当しないとされています。
したがって、具体例②のBさんの場合には、代表者が横領しているため、横領金はそもそも損金に算入されず、法人税の減額はされません。
また、役員賞与は源泉徴収の対象となっているため、会社には所得税の源泉徴収義務まで課されていることになり、会社は2重に税金を取られてしまうことになります。
そのため、具体例②の場合であれば、Y社には過少申告加算税だけでなく、源泉徴収所得税の不納付加算税まで課せられる可能性があります。

では、具体例①の場合はどうでしょうか。
具体例①の場合、Aさんは代表者ではなく、経理を担当している取締役です。
しかし、経理担当取締役など一定の権限がある場合にも、役員賞与と認定された事例があります。
そのため、Aさんに対する役員賞与と税務署から指摘された場合には、Aさんに対して会社が賞与として支払ったものではないということを、実際の取締役の権限等に照らして主張立証する必要があります。

また、役員賞与ではなく役員に対する貸付であったという処理をすることも有効です。
貸付であれば、源泉徴収の対象とはならないため、2重に課税されることを避けることができます。
もっとも、そのような処理ができるか否かについては、実際の事案に即して検討する必要があるため、専門家にアドバイスをもらいましょう。

税務上の問題3~加算税~

具体例①も②も過少申告にあたるため、税務署の税務調査など調査が入った後であれば、X社やY社に対して過少申告加算税が課せられることになります。
また、役員賞与となる場合には、上述のように源泉徴収義務を果たしていないことになるので、不納付加算税も課せられることになります。
そして、具体例②の場合には、代表者が売り上げ除外をしているため、隠ぺいや仮装による脱税行為として、重加算税が課せられる可能性もあります。
具体例①の場合には、経理担当取締役が行っているため、会社ぐるみで行っていたと考えられてしまうと重加算税が課せられてしまう場合もあるため、会社の行為とは同一視できないなどの主張立証を行う必要があります。

もっとも、税務署などからの調査を受ける前であれば、修正申告をして正しい税金を納めることにより、加算税を課せられることを避けることができます。
会社内部での横領などが発覚した場合には、できるだけ早く専門家に相談し、調査が入る前に修正申告をしていくことが非常に重要です。

まとめ

会社代表者が横領をした場合には、その横領額については役員賞与として損金計上できず、過少申告加算税が課せられる可能性があるほか、源泉徴収を行っていないとして不納付加算税も課せられることがあります。
また、会社代表者ではないとしても、その人の立場によっては、同様の加算税が課せられる可能性もあります。
そのため、不正が発覚した場合にはできるだけ早く修正申告をして、本来納めるべきであった税金を納めていくことにより、加算税を課せられないようにしていく対策が必要となります。
不正が発覚した場合には、税理士や弁護士など専門家に早急に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回相談は無料です

取締役の横領が発覚した場合の税務上の問題~①~

2023-03-01

取締役が横領をしていた場合の税務上の問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が2回にわたり解説します。

取締役の横領

取締役が会社のお金を横領した場合には、その取締役には業務上横領罪が成立します。
業務上横領罪は10年以下の懲役刑が定められており、警察に告訴することで、取締役に刑事処罰を受けさせることができます。
また、横領されたお金は当然会社にとって損害となるため、取締役に対して損害賠償を請求することができます。
さらに、取締役の横領により会社の資金繰りが悪くなったり、株式が下落するなどの損害が生じた場合には、当該取締役に対する責任を追及するだけでなく、株主から代表取締役やその他の取締役などに対して監督をする義務を行ったとして、任務懈怠責任を追及されることもあります。
このように、取締役が横領をした場合には、さまざまな責任を問うことができます。
では、税務上はどのような問題が生じるでしょうか。
具体例を参考に検討していきましょう。

具体例

具体例①
大阪市北区に本店を置く株式会社Xで経理を担当していた取締役のAさんは、X社から貸与されていた会社のクレジットカードを私的な飲食や息子に対するおもちゃなどの私的な目的のために使用していました。
しかし、Aさんは、私的に使用した部分について「接待交際費」などの名目で経費として計上し、X社の確定申告を行っていました。

具体例②
兵庫県西宮市に本店を置く株式会社Yの代表取締役Bさんは、Y社の売り上げの一部をBさん名義の個人口座に移し、私的に利用するとともに、個人口座に移した金額については売り上げから除外して確定申告を行っていました。

税務上の問題1~損金として計上できるか~

具体例①について

Aさんが会社から貸与されていたクレジットカードを私的に使用していたことは、Aさんが取締役であることから特別背任にあたる可能性が高いといえます。
そして、私的に使用しているにも関わらず、支払った金額について「接待交際費」と偽りの名目で経費計上していることから、実際には経費計上できないものを経費計上していたということになり、X社は過少申告をしていたということになります。
ここで、会社は損失を実際に被っているのであるから、損金として計上できるのではないか、過少申告とはいえないのではないかということが問題となります。
しかし、Aさんの不法行為によりX社は損害を被っていることになるため、X社はAさんに対して損害賠償請求権を取得しているといえます。
そうすると、損害賠償請求権はX社にとって利益となり、損失と利益を同時に計上するのが原則となっているため(最判昭和43年10月17日)、損金のみを計上することはできないことになり、過少申告となることは変わらなくなってしまいます。

もっとも、Aさんに対する損害賠償請求をしたとしても、Aさんに資力がない場合には、X社は賠償を受けられないことになってしまいます。
そうすると、X社としては、Aさんから賠償を受けられないのに、損金として計上できず、損しか残らないということになります。
そこで、最近では、相手方の資力等を考慮して、損害賠償請求権の実現性が客観的に疑わしい場合には、損失の発生のみを計上すればよいという考え方が有力となっています。
この考え方によれば、Aさんに資力がない場合には、Aさんから実際に返還された金額や返還を約束された金額を利益として計上し、それ以外の部分については、損金として計上できることになります。

Aさんの資力がどれくらいあるかや損金と益金の関係などの調査やアドバイスを受けるためにも、X社としては、早急に税理士や弁護士などの専門家に依頼すべきです。

具体例②について

BさんはY社の代表であり、Y社の売り上げを除外して個人口座に入金しているため、Bさんには業務上横領罪が成立します。
また、そもそも売り上げを除外して申告していますので、過少申告となります。
具体例②の場合には、代表者が横領をしているため、具体例①と違い後述のとおり役員賞与として損金算入ができません。

会社代表者が不法に会社のお金を着服していた場合には、早急に専門家に相談しましょう。

~②に続く~

【裁判例解説】脱税指南により支払ったコンサル料が損害として認められた事例

2023-02-22

脱税手法を指南したコンサルティング会社に支払った業務委託料を損害として認定した実際の事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

判決の概要

1.事案の概要
Aさんが代表取締役を務めるコンサルティング会社に、節税の手法に関する業務委託料(コンサルティング料)を支払ったBさんが、「指南された節税手法が違法な脱税手法であったのに、合法であるとの虚偽の説明をして、顧客に業務委託料を支払わせる事業を行うという任務懈怠行為に及んだ」と主張して、Aさんに対して会社法429条1項に基づく損害賠償として、コンサルティング会社に支払った業務委託料に相当する損害金約1482万円などの支払いを求めた。

2.判決
一部認容、一部棄却
※請求額の半分にあたる約741万円等の支払いを命じられた。

3.裁判所が認定した事実関係
・Aさんのコンサルティング会社は、節税のために利益を減らしたい顧客に対して、減らしたい利益と同じ額の請求書を発行し、その金額をコンサルティング会社に振り込んでもらい、その後、コンサルティング会社が取得するコンサルティング料を控除して現金を顧客に戻すという事業を行っており、顧客がコンサルティング会社に振り込む費用を顧客ではなくコンサルティング会社が用意する現金を利用することもあった。
・コンサルティング会社が提供する節税に関するコンサルティング業務は、実際には、顧客に課されるべき税金を減額する効果のないものであった。
・Bさんは、コンサルティング会社の従業員から上記コンサルティング業務は適法であると説明されて勧誘され、同社にコンサルティング業務を依頼することにした。
コンサルティング会社から現金8000万円を渡されたBさんは、自分の口座に8000万円を入金し、その口座からコンサルティング会社に8000万円を振り込んだ。
・Bさんは、コンサルティング料として、約1347万円をコンサルティング会社に現金で交付した。
・コンサルティング会社からコンサルティング料等として8000万円を請求する請求書がBさんに送られ、Bさんは確定申告で同請求書に基づき8000万円を経費として計上した。

4.裁判所が下した争点に関する判断
①争点1:Aさんに悪意又は重過失による任務懈怠があるかどうか
判断:コンサルティング会社の従業員が、適法な節税であるとの虚偽の事実を述べてBさんを勧誘して当該方法を実行させたのであるから、従業員の行為は不法行為に該当する。そして、従業員はコンサルティング会社の事業の一環として勧誘などをしているので、コンサルティング会社の代表取締役であるAさんには、従業員が違法に税金を免れる方法を適法な節税であると説明して勧誘したことについて、少なくとも重大な過失があったといえる。

②争点2:Bさんの損害額等はいくらか
判断:Bさんはコンサルティング料として約1347万円を支払っており、Aさんの任務懈怠行為により、同額の損害を被ったといえる。もっとも、8000万円を自ら負担していないにもかかわらず8000万円を経費として計上するという手法は、いかにも不自然不合理な内容の手法であるから、Bさんが違法な手法とまでは認識していなかったとしても、Bさんには相当な過失があるといえるため、5割を過失相殺する。

解説

今回の裁判例は、脱税指南を受けて実際に脱税をしていた人から、脱税指南をしていたコンサルティング会社社長に対して損害賠償を請求した事件です。
脱税指南をしていたコンサルティング会社と代表者については、令和元年及び2年に名古屋国税局により名古屋地方検察庁に告発がなされています。
令和3年6月に名古屋国税局が報道発表した資料によれば、「異業種交流会や節税セミナーなどと称して集めた複数の顧客に対し脱税を持ち掛け、顧客の脱税を指南することにより、多額の報酬を得ていたのに、法人税及び消費税の申告義務を認識しながら確定申告を一切せずに納税を免れていた」という内容で単純無申告逋脱犯として告発されています。

今回の裁判例で注目すべき点は、①コンサルティング業務の内容が脱税指南という違法な内容のものであった場合に、このコンサルティング業務を適法と虚偽の説明をして勧誘する行為が不法行為にあたるとされたこと、②会社の業務として行っていたことに対し代表者には重大な過失による任務懈怠責任が生じるとされたこと、③違法なものとの認識がない場合でも顧客側には5割の過失が認められたことです
なお、Aさん側は、Bさんの過失相殺以外に、Bさんが違法な手法とわかりながらコンサル料を支払っているとして民法708条類推適用の主張もしていたようです。
民法708条は不法な原因のために給付をした者はその返還を請求できないというもので、今回の手法を違法とBさんが認識していれば同条の類推適用もありえたといえます。
しかし、本件では、コンサル会社から税理士を紹介されたり、適法だとの説明を受けたりしていることからBさんには違法であるとの確定的な認識はなかったとされ、民法708条類推適用はされていません。

Aさんは名古屋国税局から刑事告発をされているため、刑事罰を受ける可能性があるほか、脱税した金額に対する追徴課税が課せられます。
この場合には、無申告加算税ではなく重加算税が課せられることになると思われます。
また、Aさんに刑事罰が科せられる場合には、罰金も併科される可能性が高いといえます。
そのため、Aさんは、罰金、追徴課税のほか、この裁判で認められた損害賠償金も支払う必要があるということになります。

国税庁が令和4年11月に発表した「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」において「経営コンサルタント」が第1位となっています
そのため、今後コンサルティング業界は国税庁が目をつけやすくなっている業界といえますから、脱税の疑いをもたれないためにも、税務処理は専門家を入れてこれまで以上に慎重に行っていく必要があるでしょう。

入居者が賃料にかかる税金を納税しないといけない?

2023-02-15

不動産を借りた際に、賃料にかかる税金を借りた側(賃借人)が納税しないといけない場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【問題】


Aさんは、友人のBさんから「海外に1年以上出張することになったから、自分の家を借りないか?」と言われ、月20万円で大阪市北区にあるBさんの家を借りることにしました。
①Aさんが、Bさんの家を自分が住むために借りた場合
②Aさんが、Bさんの家を自分の趣味で集めた品物を保管する倉庫として借りた場合
③Aさんが、Bさんの家をAさんが代表を務める会社の名義で借りた場合
で、Aさんが賃料について納税する必要がある場合はあるか?

【解答】


Bさんが実際に1年以上日本に居住していない場合には、
①の場合には、賃料にかかる税金をAさんは納税する必要はないが、
②及び③の場合には、Aさんは賃料から所得税(及び復興特別所得税)を源泉徴収し、納税する必要がある。

【解説】

非居住者から不動産を借り受けた場合の源泉徴収義務

非居住者や外国法人から日本国内にある不動産を借り受け、日本国内で賃借料を支払う者は、原則としてその支払いの際20.42%の税率により計算した額の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
そして、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として賃料を支払った(源泉徴収した)月の翌月10日までに納税しなければなりません。(所得税法212条、213条など)
ただし、借主が個人で、借主が自分又は借主の親族の居住用のために賃借する場合には、源泉徴収する必要はありません。

非居住者とは

原則として、日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続いて1年以上日本国内にいない人のことを言います。
ここでいう「住所」とは「生活の本拠となる場所」のことをいうとされていますので、住民票がたとえ日本にあったとしても、1年以上海外で生活している長期出張中の人などは「非居住者」となる可能性があります。

Aさんの場合

自分が住むために借りた場合
借主であるAさんが自分で住むために借りた場合には、源泉徴収義務がないため、Bさんに賃料を普通に支払えばよいということになります。

品物の倉庫として借りた場合
Aさんの居住用として借りたわけではないため、AさんはBさんに賃料を支払う際に源泉徴収をする必要があります。
この場合、Aさんは、所得税及び復興特別所得税として賃料の20.42%にあたる4万840円を差し引いた15万9160円をBさんに支払い、さらに4万840円は翌月の10日までに納税する必要があります。

会社が借り受けた場合
会社(法人)名義で借りた場合は、どのような用途かにかかわらず、借主には所得税などの源泉徴収義務が課せられます。
そのため、②の場合と同様の処理を行う必要があります。

非居住者から不動産を賃借する場合の注意点

非居住者から不動産を賃借する場合には、居住用以外の場合には賃借人が源泉徴収を行ったうえで納税する義務があります。
そして、このことは仲介業者などに告知義務は課せられていません
そのため、賃貸人が国外にいるのに源泉徴収をせずに普通に賃料を払い続けてしまっており、税務署から滞納通知が届いてから初めてこの制度を知ったという人が多くいます。
また、借りたときには賃貸人が日本に居住していたが、途中から海外に移住してしまったような場合にも、その期間が1年を超えてくると源泉徴収する必要が出てきて、知らない間に税金を滞納しているという場合もあります。
この制度自体に問題があると思われますが、法律がある以上、知らなかったでは納税義務を免れません。
こういったトラブルに合われた方は、賃料を払いすぎていたということにもなるため、賃貸人に払いすぎた分を請求するなどの対応も必要になるでしょうから、税理士だけではなく弁護士にも相談して対応を検討していくべきでしょう。

【国税庁発表】令和3事務年度法人税等の調査事績の概要

2023-02-08

令和4年12月に国税庁から報道発表のあった「令和3事務年度法人税等の調査事績の概要」から国税庁の調査状況について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が考察します。

法人税との調査事績の概要

令和4年12月の報道発表では、法人税等の調査事績の概要のまとめとして
①新型コロナウイルスの影響を受けつつも、調査件数、申告漏れ所得金額、追徴税額が増加
悪質な納税者には厳正な調査を実施する一方で、その他の納税者には簡易な接触を実施
とあります。

法人税・消費税の調査事績の概要

国税庁では、あらゆる資料情報と提出された申告書等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人について実地調査を実施しています。
実地調査の件数は、令和2事務年度が2万5000件だったのに対して、令和3事務年度では4万1000件と1.5倍以上の増加となっています。
この急激な増加については、令和2事務年度の実地調査件数は令和元年度と比べると32.7%にあたるものしか行われていないことから、令和2事務年度の件数が少なかっただけということができるでしょう。
もっとも、新型コロナの影響で実地調査が減少していた令和2事務年度と比べると、新型コロナ流行前の実地調査件数に戻ってきたということもできるため、令和4事務年度は昨年度ほどの大きな増加は見られないと思いますが、昨年度と同程度以上の実地調査が行われる可能性が高いと言えるでしょう。

実地調査の結果、申告漏れの所得金額は6028億円で、令和2事務年度の114%、追徴税額は2307億円で、令和2事務年度の119.2%となっています。
申告漏れ所得金額、追徴税額ともに令和元年度よりも増加していますが、実地調査の件数が増加しているため、当然の結果といえそうです。
それよりも重要なことは、実地調査の件数の増加率よりも、申告漏れ所得金額や追徴税額の増加率の方が低いことです。
調査1件当たりの追徴税額を見ると、令和2事務年度が780万6000円、令和3事務年度が570万1000円となっています。
つまり、令和2事務年度の方が1件当たりの申告漏れ所得額も多かったということができます。
このことは、令和2事務年度は新型コロナの影響により、より大口で悪質な案件のみに限って実地調査を行ったことも原因と考えられますが、一方、令和3事務年度では大口・悪質される案件のハードルが下がっていると考えることもできます
そのため、今後もこれまでよりも少額や悪質性が高くないと思われる案件についても実地調査が行われる可能性を示唆しているといえます。

簡易な接触事績の概要

簡易な接触とは、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するものです。
単純な申告内容の誤りなど、悪質性が低いと思われる事案に対して行われるものと考えてください。
簡易な接触の件数は前年度と比べて98%とほとんど変わっていません
実地調査は大きく増えているのに対して簡易な接触の増減が少ないことは、国税庁が大口・悪質性が高い事案に対して、積極的に取り組んでいることを示しているといえるでしょう。

これらのデータからは、新型コロナの影響が終息に向かっていくにつれて、国税庁の調査も本格化していることがわかります。
自分は大丈夫と安易に考えず、早めに専門家に相談し、取り返しがつかなくなる前に対処しましょう。

【裁判例解説】所得税法違反で建設会社従業員に有罪判決

2023-02-01

単純無申告ほ脱罪により有罪判決が下された実際の事件を例に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

判決の概要

①事案の概要
大手建設会社に勤務していたAさんが、特定の下請業者を選定する見返りとして、下請業者から2年間で合計1億9500万円の謝礼金を受け取ったのに、その謝礼金及び各年の給与所得について確定申告を行わずに所得税を免れていた。

②判決
懲役1年及び罰金2000万円
懲役刑につき3年間の執行猶予
(求刑:懲役1年及び罰金2500万円)

③量刑の理由
マイナス事情
・ほ脱税額が2年間で合計8300万円を超え、多額
・ほ脱率が通算95%を超える高率
・当初から裏金になるとの認識
・遊興費等に費消
・Aさんが積極的に主導したわけではないが、偽装工作を行って課税を免れようとした
プラス事情
・犯行を認めて反省の弁を述べている
・起訴後に修正申告を行い、ほ脱税額の半分を超える金額の本税を納付
・残りの税額についても納税の意思を示している
・前科前歴がない

解説

①単純無申告ほ脱罪
今回の判決は、令和3年に仙台地方裁判所で実際に下された判決です。
同判決において適用されている法律は、「所得税法238条3項」とされているので、この事件は所得税法違反事件の中でも「単純無申告ほ脱罪」に当たるとして判断がなされたということができます。
「単純無申告ほ脱罪」は平成23年の所得税法改正によって新設された罪で、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。
全く確定申告をしていないものを無申告といいますが、無申告について所得税法では、「単純無申告ほ脱罪」のほかに、無申告ほ脱罪と単純無申告罪が規定されています。

無申告ほ脱罪(所得税法238条1項)
偽りその他不正の行為により(中略)所得税を免れ」た場合の罪で、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされています。
単純無申告罪(所得税法241条)
「正当な理由がなくて(中略)申告書をその提出期限までに提出しなかった者」は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とされています。
単純無申告ほ脱罪(所得税法238条3項)
偽りその他不正の行為があったとは言えないまでも、所得税を免れる意思をもって確定申告をしていない場合に当たる犯罪です。

②量刑についての解説
今回の事件では所得の金額が2億円ちかくあり、ほ脱税額も8300万円と非常に高額なため、告発・起訴はおよそ避けられない事件であったといえるでしょう。
また、判決の量刑理由の中で「偽装工作」を行っていたと言われており、「偽りその他不正の行為により所得税を免れた」として無申告ほ脱罪に問われてもおかしくなかったと言えます。
しかし、偽装工作を主導したのはAさんではないといわれていることから、「偽りその他不正の行為」をAさんが行ったとは認定できなかったか、検察官がその立証が難しいとして単純無申告ほ脱罪での起訴を行ったかということだと思います。
判決では「強い非難に値する」とも述べられており、悪質性が高いと裁判所は判断しているということができますが、反省をし修正申告をして実際に納付をしたり納付する意思を示していることが執行猶予を付ける決め手となっているといえます。

罰金については、「この種事犯が経済的にも見合わないものであることを感銘させるため」として罰金刑を併科しています。
ほ脱事件においては、ほとんどの事件で罰金刑が併科されており、罰金額は、ほ脱税額の20~30%くらいの金額となることが多いです。
なお、単純無申告ほ脱罪における罰金刑は所得税法238条3項によれば「500万円以下」とされていますが、同条4項によって「免れた所得税の額が500万円を超えるときは、情状により(中略)その免れた所得税の額に相当する金額以下とすることができる」とされています。
そのため、今回の事件でも500万円を超えて、「2000万円」という罰金刑を課すことができているのです。

③執行猶予を得るためには
今回の事件で執行猶予を得られたのは、反省していることだけではなく、修正申告をして実際に納税をしていることが大きかったといえます。
脱税事件では、納税義務を果たしていないことが非難の対象となるため、修正申告をして納税義務を果たす姿勢を示すことが何よりも大事でしょう。
また、今回の事件では起訴後に修正申告をしているようですが、税務調査の段階から修正申告をして納税義務を果たしていくことで、査察や告発を避けられたり、不起訴を勝ち取れたりといったメリットが生まれます。

脱税事件では、なるべく早い段階から税理士や弁護士などの専門家に依頼し、税務調査や査察、刑事裁判などに向けた活動をしていくことが重要です。
脱税事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談をご利用ください。

YouTubeの収入は確定申告必要?

2023-01-25

YouTubeでの収入は確定申告が必要か、確定申告しないとバレるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

YouTubeでの収入

YouTubeに動画をアップして広告収入を得ているYouTuber(ユーチューバー)は、近年子供のなりたい職業ランキングに登場するなど一般的になりつつあります。
また、新型コロナの影響により、YouTubeで動画を配信して収入を得ている方も増えてきています。
そんなユーチューバーの方は、一部の有名な方々を除くと、ほとんどがYouTubeから広告収入を得ていると思います。
広告収入についても、所得税の申告が必要となるのは当然です。
もっとも、広告収入のすべてに所得税が課せられるのではなく、収入から必要経費や控除額を差し引いた残りが所得税の申告が必要となる「所得」となります。
そのため、収入の額が控除される額(基礎控除は48万円)以下の場合には「所得」がないことになり、申告は不要となります。

YouTubeでの収入は税務署にバレる?

YouTubeなどのインターネットを利用している取引については、国税庁が積極的に調査を実施しています。
国税庁が発表している「インターネット取引を行っている個人の調査状況」という資料によれば、平成29年度におけるインターネット取引の実地調査件数は2015件で、コンテンツ配信やネット広告に関する件数は274件を占めています。
また、国税庁は「電子商取引監視チーム」を配置し、インターネット取引を中心に扱う専門官が監視を強化しています。
このように、インターネット取引については、国税庁が常に目を光らせている分野といえます。

そして、YouTubeの収入については、
①再生回数が表示される
②広告収入は電子送金される

ということから税務署はユーチューバーが収入をどれくらい得ているのか把握しやすいといえます。
再生回数が多く、相当程度の広告収入を得ているはずなのに、確定申告がなされていないと税務署が調査に入ることになります。

YouTubeの収入を確定申告していないと

YouTubeの収入を確定申告していないと「無申告加算税」が課せられることになります。
確定申告をしていた場合よりも多くの税金を支払わないとならなくなります。
また、意図的に確定申告をせず所得を隠していたということになれば、「重加算税」の対象となってしまう場合もあります。
さらに、無申告には刑罰も定められているため、刑事裁判にかけられる可能性もあります。

バレないから大丈夫と安易に考えていると、急に税務署が調査に来て、多額の課税がなされる場合があります。
また、チャンネルの継続が難しくなる可能性もありますので、確定申告を忘れてしまっていたという方は、早めに専門家に相談して修正申告などをしていきましょう。

金地金の密輸は告発されやすい?

2023-01-18

金地金の密輸は告発されやすいのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

金地金の密輸

金地金を海外から日本に持ち込む場合、①重量が1kgを超える又は②他の物との合計金額が20万円を超えるときには、税関に申告して税金を納める必要があります。
金地金の密輸とは、この申告をしないために消費税の納付を免れることで、消費税分の利益を得ることができるという仕組みになっています。
具体的な例で考えてみましょう。
1kg当たり500万円の金地金を5kg(2500万円相当)を輸入する場合、本来であれば税関で消費税10%に当たる金額(250万円)を納付する必要がありますが、これを納付せずに国内に持ち込み、国内で消費税相当額250万円を上乗せして売却することにより、密輸入者は250万円の利益を得ることができます。
きちんと納税をして売却しても売却益を得ることができますが、消費税分の利益と比べれば微々たるものとなってしまいます。
そのため、金地金の密輸は後を絶たず、財務省は金地金の密輸に対して2017年以降「ストップ金密輸」という対策を打ち出しており、それに伴い、関税法や消費税法の罰則が強化されています。

金地金密輸の告発事例

令和4年11月9日に財務省が行った報道発表によれば、令和3年の告発事例として以下の2事例が紹介されています。
①航空機旅客による金地金の密輸
Aらが、シンガポールから入国する際に、金地金約18kgを税関長の許可を受けることなく輸入し、消費税等約649万円を不正に免れた事案の告発
②航空貨物を利用した金地金の密輸
Bらが、中国からの航空貨物(スマートフォンホルダー)により、金地金約7kgを税関長の許可を受けることなく輸入しようとし、消費税等約467万円を不正に免れようとした事案の告発

金地金の密輸は告発されやすい

金地金密輸の告発事例で注目すべきは、免れたとされている金額です。
一般的に、査察調査などを経て告発される事案では、免れている税額が3000万円を超えていることが多いとされています。
当然それよりも低い金額で告発されることもあり、2019年7月1日に仙台地裁で下された判決にかかる事例では、逋脱税額が約1500万円でした。
しかし、上記で取り上げた告発事例では、逋脱税額が約649万円や約467万円と非常に少額にもかかわらず告発されているということになります。
この背景には、税関が金密輸への対策を強化していることに加え、国税庁も消費税事案を重点事案として積極的に告発している現状を踏まえたものと考えられます。

金地金の密輸については、関税法上の無許可輸出入罪、消費税の逋脱罪、地方税の逋脱罪の3つの罪が成立することが多いとされています。
この3つの罪は観念的競合となり最も重い刑により処断されることになるため、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科となります。
そして、罰金の上限額については、貨物の価格の5倍が1000万円を超える場合には貨物の価格の5倍、脱税額の10倍が1000万円を超える場合には脱税額の10倍まで上限を引き上げることができることになっています。

金地金の密輸事件については、告発されやすく、逮捕される可能性もあります。
不安な方は早めに弁護士に依頼をして、身体拘束からの解放や不起訴の獲得、実刑判決の回避などに向けた対策をとるのが有効です。

「お年玉」にも確定申告が必要か?

2023-01-11

「お年玉」にも確定申告が必要かどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ジャニーズ事務所に追徴課税

2022年12月27日の報道によれば、ジャニーズ事務所とグループ会社2社が、所属タレントに渡していた「お年玉」を経費として計上し、所得税の源泉徴収を行っていなかったとして、東京国税局による税務調査で合計約4000万円を追徴課税されていることが分かったとのことです。
この報道によれば、「お年玉」を「交際費」として会社の経費に計上していましたが、実際には社長が会社の報酬から個人的に支出したもので経費には当たらないと判断されたようです。

この報道からは、会社の従業員に対して「お年玉」名目で金銭や物品を与えた場合、ボーナス(賞与)とみなされる場合や個人的な支出とみなされる場合があることに注意が必要であると言えるでしょう。
この報道のケースでは、実際には社長の個人的な支出にあたると判断されているため、本来であれば「お年玉」として支払っている金銭は社長の所得となっているはずであり、その分の源泉徴収を会社がしなければならなかったところ、会社の経費として計上していたために、源泉徴収義務を怠ったことになり不納付加算税などの追徴課税がなされたようです。
報道からはこれ以上のことはわかりませんが、会社の経費として計上していたということであれば、その分会社の収益は減額して確定申告を行っていると考えられるため、法人税について過少申告と言われる可能性もあると思われます。

お年玉をあげる側は、経費計上してもよいものかどうか慎重に判断することが必要でしょう。
税理士や弁護士など専門家に相談して申告漏れなどにならないように注意してください。

「お年玉」をもらった側は確定申告が必要か

では、お年玉をもらった側については、確定申告が必要でしょうか。
お年玉の性質によって場合分けをして考える必要があるでしょう。
①ボーナスとしての側面がある場合
ボーナス(賞与)としての側面がある場合には、所得税の確定申告が必要になります。
もっとも、サラリーマンの場合には源泉徴収を会社が行っているため、別途確定申告をする必要は基本的にありません。
ですが、お年玉としてもらったものが源泉徴収されているかについては確認しておいた方がよいでしょう。
仮に源泉徴収されていない場合には別途確定申告をする必要がある場合があります。

②もっぱら贈与としてもらった場合
お年玉は多くの場合は贈与としてもらっているでしょう。
この場合は贈与税の対象となる可能性があります。
注意が必要なのは、贈与税の対象となるのは、あくまでも個人から贈与により財産を取得した場合に限られることです。
仮に法人から贈与により財産を取得した場合には、贈与税ではなく所得税の対象となります。

贈与税は原則として、1年間に贈与を受けた金額が110万円を超えた場合にかかります。
そのため、贈与を受けた金額が110万円以下の場合には、贈与税の申告は不要になります。
気をつけなければならないのは、1年間の合計額で判断するという点です。
1回の贈与で10万円だったとしても、毎月もらっていれば1年間で120万円になるため、贈与税の申告が必要となります。

「お年玉」としてもらった場合には贈与税の申告が不要な場合も

もっとも、合計で110万円を超えていたとしても贈与税がかからない場合があります。
例えば、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものが挙げられます。
そして、この例外の中に「個人から受ける年末年始の贈答、祝物などのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」というのがあります。
そのため、例えばお正月に親族や友人200人から一人1万円ずつ「お年玉」としてもらった場合には、この例外にあたり、贈与税の申告をしなくてもよいことになります。

ですが、「年末年始」ではない時期にもらった場合には、「お年玉」としてもらったとしても例外に当たらないと判断されてしまう可能性が高くなるため、時期が重要になります。
また、たとえ年末年始に「お年玉」として一人から200万円をもらった場合も、200万円という金額は社会通念上相当とは言えないでしょうから、贈与税の対象となります。

「お年玉」は渡す側も渡される側も注意が必要です。わからないことがあれば、まずは専門家に相談しておくのがよいでしょう。

キャバ嬢も税務調査の対象に

2023-01-04

キャバクラの従業員に対して税務調査が入る可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

キャバクラは国税庁に目をつけられている

キャバクラは税務調査が入りやすい職種といえます。
国税庁が発表している「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種」によれば、令和2年度までキャバクラ(キャバレー)が毎年上位5位以内に入っていました。
令和3年度は、キャバクラが上位10位までに入っていませんが、これは新型コロナの影響により営業を停止していた店が多かったからだと思われます。
したがって、新型コロナの影響が薄まってきて、営業を再開する店が増えてきている現状においては、再び上位に返り咲く可能性が高いといえます。
国税庁は、申告漏れ金額が高額な業種には常に目を光らせているといえるでしょう。

店だけではなくキャバ嬢も税務調査の対象に

キャバクラに対して税務調査が入りやすいということは、そこで働いている従業員も調査対象になる可能性があるということです。
店に税務調査をしに入る前に、税務署の職員が内偵調査をしていることが多くあります。
これは、客を装って接客を受け、キャバ嬢からの情報収集や客の入りを見て、どれくらいの売り上げを出しているかを調査しているのです。
そして、店に実際に税務調査に入った際に、店の帳簿だけではなく、従業員の名簿や出勤表などを調査します。
内偵調査の情報と照らし合わせて、働いていたはずの従業員が名簿や帳簿に記載されていなかったりしないかをチェックしているのです。

このように、キャバクラが所得隠しをしていないかを厳しくチェックする中で、働いているキャバ嬢の収入もある程度把握されることになり、相当な所得を得ているはずなのに確定申告をしていないことが発覚すると、キャバ嬢個人についても税務調査が開始されるきっかけとなります。

無申告がバレるきっかけ

店に税務調査が入って発覚する可能性があることは、先ほど説明しました。
その他に、キャバ嬢が確定申告をしていないことが発覚するパターンとしては、次の場合が考えられます。
高額な買い物
高額な買い物をすると、大きなお金の動きがあるため、銀行の口座情報を把握している税務署が目をつける可能性があります。

客や従業員などからの密告
国税庁では、申告漏れなどの情報提供を呼び掛けています。
客や従業員など身近な人から密告を受けるなんて考えてもみないことだと思いますが、売れっ子のキャバ嬢ともなれば、周りからの妬みなどもあり、密告をされてしまう可能性もあります。

SNSへの投稿
SNSに店でシャンパンを多く開けてもらった写真などを載せている人もいると思います。
そのような投稿についても税務署は目を光らせています。
多くの売り上げを挙げているはずなのに確定申告をしていないという場合には、税務調査に踏み切られてしまう可能性もあります。

バレないだろうが危険!

給料を手渡しでもらっているから大丈夫、個人には税務署も手が回らないから大丈夫。
こう思っていると後から高額な追徴課税をされてしまう可能性があります。
過去5年間にさかのぼって追徴をすることが可能にもなっていますので、バレないだろうと安易に考えず、きちんとした申告をしましょう。
もし、申告をしてなかったり、申告漏れがある場合には、早めに専門家に相談して、最悪の事態をさけるようにしましょう。

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