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宅配ドライバーにも税務調査が

2022-12-28

個人事業主としてドライバーの仕事をしている人が確定申告を忘れているとどうなるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

運送業には税務調査が行われやすい

ドライバーなどの運送業には税務調査が行われやすいと言われています。
国税庁が令和4年11月に発表した「令和3年事務年度所得税及び消費税調査等の状況」の中で「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」では、「一般貨物自動車運送」が9位に入っています。
また、平成25年、27年、30年と定期的に「特定貨物自動車運送」が申告漏れ金額が高額な業種の5位に入っています。
そのため、運送業については、税務署や国税局が申告漏れについて目を光らせているということができるのです。

新型コロナの影響?

これまでは特定貨物自動車運送が申告漏れの上位に入っていましたが、昨年は一般貨物自動車運送が上位に入っています。
特定貨物自動車運送は、特定の荷主から依頼を受け荷物を運送する事業をいうのに対して、一般貨物自動車運送は、不特定多数から運送の依頼を受けて荷物を運送する事業をいいます。
新型コロナの影響で、外出を控える傾向が強くなったことで、自宅まで荷物を届けてもらう配送サービスの需要が高まったことが、一般貨物自動車運送が上位になっている背景にあるのではないでしょうか。
また、大手運送業者に限らず、ウーバーイーツなどの配達なども広い意味で一般貨物自動車運送に当たるといえ、そういった配達をしているドライバーは個人事業主である場合がほとんどであることも影響しているでしょう。
個人事業主の場合、会社員と違って自ら確定申告をする必要があります。
確定申告を忘れてしまっているリスクが高いということができます。

確定申告を忘れていたら

個人事業主のドライバーにも税務調査が入る可能性があります。
税務調査では、確定申告をしているか売り上げの計上漏れがないか経費が正しく計上されているかのチェックが行われます。
そもそも確定申告をしていない場合には、早急に申告をする必要があります。
また、売り上げの計上については、入金日ではなくサービスの提供日に計上することが原則ですので、サービスの提供と入金日が年をまたぐ場合などには注意が必要です。
さらに、経費の計上については、ガソリンなどの燃料費、駐車場代、自賠責保険料などは経費として計上することができますが、プライベートな移動によるガソリン代などは経費とはなりません
税務調査が入ると、経費計上している費目についても厳しくチェックされることになるので、仕事とプライベートをきちんと分けておくことが必要です。

確定申告を忘れていた場合には、無申告加算税が加算されることになります。
早めに正しい申告を行うことで、ペナルティが軽減される場合もありますので、早急に対応しましょう。
また、意図的に無申告(所得隠し)をしていたと疑われる場合には、重加算税が課されたり、刑事告発がなされてしまう可能性もあります。
税務調査が行われることになった場合には、なるべく早い段階で税理士や弁護士に相談し、対策を講じましょう。

個人事業主のドライバーでも税務調査を受ける可能性があります。
税務調査が行われることになった、確定申告を忘れてしまっていたという人は早めに専門家のアドバイスをもらいましょう。

風俗嬢の脱税はバレると大変!!

2022-12-21

風俗で働いている女性が脱税をした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都新宿区歌舞伎町にある風俗店で風俗嬢として働いているAさんは、店から労働の対価として現金を手渡しでもらっていました。
Aさんは、店と雇用契約を結んでいるわけではなく、アルバイト感覚で風俗の仕事をしていました。
現金を手渡しでもらっていたこともあり、確定申告をしなくてもバレないだろうと考えて、確定申告をしていませんでした。
そうしたところ、Aさんが働いていた店に新宿税務署の税務調査が入り、Aさんも税務調査を受けることになってしまいました。
不安になったAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談を利用することにしました。
(フィクションです)

解説

風俗嬢の脱税がバレる理由

風俗嬢は多くの場合、店舗に所属していたとしても雇われているわけではなく、法律上は個人事業主として扱われることになります。
当然、働いて得たお金は所得となるため、所得税などの納税義務があり、確定申告が必要となります。
しかし、手渡しで現金をもらっている場合などは、確定申告をしなくてもバレないと思っている人が多いのではないでしょうか。
風俗嬢の脱税がバレる原因としては、
①店に税務調査が入ってバレる
②高額な買い物(家や車など)をしてバレる
③客や同業者などからの密告でバレる
④SNSなどの投稿によってバレる
といったことが考えられます。

①店に税務調査が入ってバレる
店に税務調査が入る場合には、そこで働いている人に支払っている給料などは経費となるため、税務調査の対象となります。
税務調査が入るときには、事前に内偵調査が行われる場合が多く、店のサイトで出勤を調べたり、実際に客として接客を受けたりして、資料を収集していきます。
それらの資料から風俗嬢の収入が発覚し、風俗嬢にも税務調査が入る場合があります。

②高額な買い物をしてバレる
税務署は口座情報についても手に入れています。
特に、家や車などの高額な買い物をしている場合には、確定申告をしていないのにそういった高額商品をかえる収入があるのはおかしいと目をつけられてしまう原因になります。

③客や同業者などからの密告でバレる
国税庁では、課税及び徴収漏れに関する情報提供を受け付けています。
国税庁のホームページには情報提供フォームが設置されており、情報提供者のプライバシーも守られる仕組みになっています。

④SNSなどの投稿によってバレる
SNSなどに豪華な食事や高級ホテルでの宿泊などの写真や文章を投稿していると、そこから疑いをもたれて調査が入る可能性もあります。
公開されている情報については、いつも目を光らせられていると考えた方がよいでしょう。

確定申告をしていないことがバレたら

収入があるのに確定申告をしていないことがバレた場合、本来納めるべきであった税金を払うことはもとより、ペナルティとしての加算税についても支払わなければならなくなります。
過去には1000万円を超える加算税を支払わなければならなくなった例もあります。

確定申告をしていない場合の加算税としては、①無申告加算税と②重加算税が考えられます。
①無申告加算税については、支払うべき税額の15%(50万円を超える部分については20%)が加算されます。
一方、②重加算税の場合には、①無申告加算税に代えて40%が加算されることになります。
仮装隠ぺいがあった場合など悪質性が高い場合には、②重加算税が課せられる可能性が高くなります。
単なる申告忘れなのか、隠そうとしていたのか調査などでどのように応答するかによって大きく変わってくるので、専門家に早い段階で相談しましょう。

また、悪質方法かつ高額な脱税となる場合には、刑事裁判にかけられて刑罰を受ける可能性もあります。
多くの場合には、執行猶予が付されますが、その場合でも罰金刑を合わせて受けることが多いです。
罰金刑を受けた場合、罰金と本来納めるべき税金および加算税などをすべて支払わなければならなくなるので、金銭的な負担は非常に大きなものとなってしまいます。
刑事裁判になってしまうような案件かどうかも含め、専門家に相談してアドバイスを受けてください。

もし確定申告を忘れていたとしたら、早めに修正申告をすることでペナルティを最小限に抑えることができます
不安が少しでもあるのであれば、早めに相談してください。

架空外注費で法人税脱税

2022-12-14

法人税の脱税について、事例をもとに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

土木工事会社の代表者であるAさんは、下請けの個人事業主に虚偽の請求書を発行させ、架空や水増しした工事の外注費を支払って計上したうえ、個人事業主からキックバックを受けていました。
この方法で1億円を超える所得を隠していたAさんは、大阪国税局の査察調査を受け、法人税3000万円を脱税したとして、法人税法違反の罪で大阪地方検察庁に告発されてしまいました。
(実際の事件をもとにしたフィクションです)

脱税の方法

事例のAさんは、下請けの個人事業主に虚偽の請求書を発行させ、架空や水増しした外注費を支払って計上し、その後個人事業主からキックバックを受けています。
Aさんがキックバックを受けた金銭は、Aさんの収入(所得)となるため、Aさんにはキックバックを受けた金額に応じて所得税の確定申告をする必要があります。
Aさんが、所得税の確定申告をしていなかった場合には、Aさんが所得税の脱税をしていることになるのは、わかりやすいと思います。

しかし、今回の事例では、Aさんは法人税法違反の罪で告発されています。
法人税とは法人つまり会社が得た収益に対してかかる税金です。
キックバックをAさん個人ではなく、Aさんの土木工事会社が受けていた場合には、会社の収益といえるため、キックバックの部分は法人税の対象になり、確定申告をしなければ法人税の脱税になるでしょう。
では、キックバックはあくまでもAさん個人が受けていた場合はどうでしょうか。
この場合、問題となるのは、架空や水増しした外注費を計上しているところとなります。
今回の事例では、外注費については、個人事業主に支払われています。
しかし、支払われている外注費のうち架空や水増しされた外注費は本来であれば支払われない経費ということになります。
そうすると、架空や水増しされた外注費の部分については、実際に支払われていたとしても、経費計上してはいけない部分ということになります。
そのため、会社が得た収入から架空の外注費を経費として差し引いて確定申告していた場合には、本来であればその架空経費の部分は差し引いてはいけない部分となるため、架空経費の部分も含めて課税対象金額に含まれることになります。
そして、架空経費の部分については、確定申告から漏れていることになるため、過少申告をしていたということになります。

法人税脱税のペナルティ

Aさん及びAさんの会社が受ける脱税のペナルティについては、大きく分けて①加算税、②刑事罰の二つが考えられます。

①加算税
Aさんの会社の場合には、過少申告をしていたことになるので、過少申告加算税が課せられることになります。
過少申告加算税は、新たに納めることになった税金の10%(新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%)が加算されます。
もっとも、Aさんの場合には、架空経費の計上という悪質性が高い方法によって過少申告をしているということが言えるので、過少申告加算税ではなく、重加算税が課せられる可能性が高いです。
重加算税は、過少申告加算税の基礎となる税額の35%に相当する金額が課されることになります。

②刑事罰
Aさんは告発を受けているので、今後は刑事事件としての捜査や裁判を受けていくことになります。
統計上、告発された事件の約70%は起訴されています。
今回の事例では、偽りその他不正の行為により法人税を免れたといえるため、罰則は「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はその併科」となります(法人税法159条1項)。
ちなみに、罰金の額については、脱税額が1000万円を超える場合には、脱税額まで罰金の上限額を引き上げることができるとされています(同条2項)。
また、今回の事例では、会社代表者であるAさんが行っているので、会社に対しても罰金刑が科せられることになります(同法163条1項)。
そのため、起訴される場合にはAさんだけではなく、Aさんの会社も併せて起訴されることになります。

法人税脱税を疑われた場合の対応

法人税の脱税を疑われた場合には、まず実際に脱税といわれるような行為をしていたかどうかを自分たちでも調査しておく必要があります。
そして、税務調査などの調査では、脱税とはならないという根拠を示していくことが必要です。
もし、脱税に当たる行為をしていた場合には、それが意図的なものかどうかが重要なポイントとなります。
単なる申告漏れなどの場合には、脱税額が高額であったとしても査察や告発を免れることができる場合があります。
その場合でも、調査に対してどのように答えていくかが非常に大切になるので、早めに専門家に相談して方針を決めたうえで、調査に臨みましょう。
また、早めに修正申告をして納税義務を果たすことも、処分を軽くするために必要な行為です。
税理士や弁護士などに依頼して、修正申告をして、早めに納税をしましょう。
もっとも、脱税方法が悪質であるとか脱税期間が長かったり脱税額が高額であったりした場合には、告発までされる可能性が高くなります。
特に脱税額が3000万円を超える場合には、多くの事件が告発されていますので、刑事裁判を見据えて税理士だけではなく弁護士にも早めの段階から関与してもらっておくと安心です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心に扱っているので、刑事事件化を見据えた弁護活動も行えます。早めにご相談ください。

パパ活と脱税

2022-12-07

前回はパパ活にかかる税金について見てみました。
今回は、パパ活で得た報酬について確定申告をしなかった場合のペナルティなどについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します

パパ活の収入と確定申告

パパ活で得た報酬(収入)についても、当然ですが税金がかかります。
そのため、確定申告をする必要があります。
お金ではなく車や時計などの物をもらった場合も金額によっては贈与税がかかりますし、現金手渡しであったとしても確定申告は必要です。

パパ活の報酬が贈与となる場合
お小遣いや物をプレゼントとしてもらった場合など、契約に基づかないで一時的にもらった場合には贈与となります。
1年間の合計金額が110万円を超える場合には贈与税の確定申告が必要となります。
パパ活の報酬が給与などの所得となる場合
パパとの間で定期的に報酬をもらう契約を交わしている場合などは、給料として受領したとみなされたり、個人事業主として事業所得を得たとして所得税の対象になります。
1年間の合計金額が20万円を超える場合には、所得税の確定申告が必要となります。
20万円を超えない場合
パパからもらったお金が1年間で20万円を超えない場合にも、住民税はかかることになるため、住民税の確定申告が必要となります。

パパ活の収入を確定申告していなかったときのペナルティ

パパ活の収入について確定申告をしていない場合には、加算税などを課されることになったり、場合によっては刑事罰を受けることになる可能性があります。

無申告加算税
収入があるにも関わらず確定申告をしていなかった場合には、無申告加算税が課せられることになります。
無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分については20%の割合で課せられることになります。
たとえば、納付すべき税額が100万円の場合、50万円までは15%なので7万5000円、50万円を超える部分(今回の場合には50万円)については20%となるので10万円がそれぞれ無申告加算税となります。
そのため、17万5000円を本来納付すべき税額に加えて納付しなければならなくなります。
重加算税
確定申告をしておらず、収入があることなどの重要な事実の全部または一部を仮装隠ぺいした場合には、無申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
この場合の重加算税は納付すべき税額の40%となるので、①の例で考えると40万円が重加算税として課せられることになってしまいます。
延滞税
確定申告の期限までに申告していない場合、税務調査等の結果、税金納付の期限を決められて、その日までに納税をしなければならなくなります。
この場合、納付した日までの延滞税を別途支払わなければならなくなります。

④刑事罰
確定申告をしていない金額が高額であったり悪質性が高いと考えられる場合には、告発をされて刑事事件化する場合があります。
この場合には、捜査を受けることになり、さらには刑事裁判を受けて前科がついてしまうことになります。
さらに、罰金を言い渡されることも多くあり、前科がつくだけでなく、罰金と加算税を含めた税金を支払わなければならなくなってしまい、金銭的にとても大きな不利益を受けてしまいます。

現金手渡しでもらっているからバレないなどと考えていると、いざ税務調査などが入ったときにパパ活で得た利益よりも大きな不利益を受けてしまう可能性があります。
確定申告をしていない方は、早めに確定申告をしましょう。
また、どうしてよいかわからないという方は、早めに専門家に相談をしましょう。

パパ活と税金

2022-11-30

パパ活でかかる税金について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

パパ活で得た報酬にかかる税金

パパ活で得た報酬にも金額によって税金がかかります。
主に問題となる税金は、①贈与税②所得税③住民税です。
①贈与税
人から金銭や物品などをもらったときにかかる税金。
1年間の合計額が110万円を超えた場合に贈与税がかかります。
②所得税
仕事をして得た報酬にかかる税金(例:給料)。
1年間の合計額が20万円を超えた場合に所得税がかかります。
③住民税
収入(所得)を得た場合にかかる税金。
1年間の合計額が20万円以下でも住民税はかかります。

具体例

300万円の高級腕時計をもらった場合
この場合には、贈与税と住民税を考える必要があります。
贈与税については、もらった物の金額や金銭の額から110万円を引いた残りの額がいくらかによって税率が変わります。
今回の事例の場合には、300万-110万=190万となるので、税率は10%となり、控除額は0円となります。
そして贈与税の金額は、「(贈与された金額-基礎控除110万)×税率-控除額」という計算式で求めることになります。
そのため、今回は190万×10%-0円=19万となるので、贈与税が19万円かかるということになります。
なお、住民税の税率については、原則一律10%です。

毎月10万円を1年間報酬としてもらっていた場合
この場合には、毎月の報酬を贈与ととらえるか、給与などの所得ととらえるかによって変わってきます。
毎月10万円をもらっているとしても、何か契約があるわけではなく「お小遣い」のような感覚でもらっていた場合には、贈与となる可能性の方が高いといえます。
その場合には、10万×12か月=120万円となり、課税対象金額は120万-110万=10万円となります。
そうすると①の場合と同様に計算して、贈与税の額は1万円となります。

一方、毎月の報酬がパパ活相手との契約などによって定まっている場合、個人事業主としての収入(所得)となる可能性が高くなります。
個人事業主としての所得となる場合には、所得税の計算が必要になります。
所得税は、「課税される所得金額×税率-控除額」という計算式で求めます。
課税される所得金額は、収入の額から経費などを差し引いた金額です。
パパ活の場合には、交通費や食事代などを自分で出している場合には、経費として差し引くことができる可能性があります。
今回の事例の場合には、総額120万円の所得を得ていることになり、税率が5%、控除額は0円となります。
そのため、120万×5%-0円=6万円となり、所得税が6万円かかることになります。

このように、贈与となるか所得となるかによって、納めるべき税額が異なることになるので、自分がもらっている報酬がどちらに当たるのか、専門家に相談して判断してもらうのも良いでしょう。

インボイス制度が一人親方に与える影響

2022-11-23

インボイス制度が導入されることにより、建設業などの一人親方や小売店などの個人事業主にどのような影響が出るのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

インボイス制度とは

インボイス制度は、2023年10月1日から導入される新しい仕入税額控除の仕組みです。
インボイスとは、「適格請求書」という意味で、インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」といいます。
「仕入税額控除」とは、納付する消費税額を算出する際に、売り上げの消費税額(売上税額)から仕入れや経費の消費税額(仕入税額)を差し引くことができますが、この仕入税額を差し引くことをいいます。
仕入税額控除を受けるためには、現在は「区分記載請求書等保存方式」が採用されており、一定の事項が記載された帳簿の保存と区分記載請求書等の保存が必要でしたが、インボイス制度が導入されると区分記載請求書等の保存に代えて、適格請求書(インボイス)等の保存が必要になります。
そして、適格請求書(インボイス)を交付することができるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」に限られることになります。
つまり、買手は売手から適格請求書(インボイス)の交付を受けて保存しなければ、原則として仕入税額控除をすることができなくなるということになります。

仕入税額控除の具体例

A社(仕入先)から、B社(課税事業者)が本体価格10万円で商品を仕入れ、B社は消費者に本体価格20万円で商品を販売した場合を考えてみましょう。
消費税は10%(消費税と地方消費税を合わせたもの)なので、仕入れにかかる消費税額(仕入税額)は10万円の10%で1万円、販売にかかる消費税額(売上税額)は20万円の10%で2万円となります。

A社が適格請求書発行事業者の場合
A社からインボイスの交付を受けたB社は、従来通り仕入税額控除が可能となるので、売上税額の2万円から仕入税額の1万円を差し引いた1万円を消費税として納付すればよいことになります。
B社が納付すべき消費税額=売上税額2万円-仕入税額1万円=1万円
※この場合、仕入税額の1万円については、仕入先であるA社が納付することになります。

A社が適格請求書発行事業者ではない場合
B社はインボイスの交付を受けることができないため、仕入税額控除ができないことになります。
そうすると、売上税額=納付すべき消費税額となってしまい、B社は2万円を納付しなければならなくなります。
※なお、制度開始後6年間は、仕入税額の一定割合(令和5年10月~令和8年9月までは80%、令和8年10月~令和11年9月までは50%)を控除できます。

一人親方への影響

取引先から契約を切られる可能性
インボイス制度が導入されると、適格請求書を発行できない事業者からの仕入れは「仕入税額控除」が認められないことになります。
仕入税額控除が認められないことになると、取引先(仕入れる側)が納めなければならない消費税額が増えてしまうということになります。
そのため、適格請求書を発行できない事業者との取引を取引先がやめてしまう可能性があります。
課税事業者になる必要
①で適格請求書が発行できない場合には、取引先からの取引を切られる可能性があることがわかると思います。
そのため、適格請求書を発行するために「適格請求書発行事業者」となる必要性が出てきます。
しかし、適格請求書発行事業者になるためには、「課税事業者」である必要があります。
そのため、これまで年間の課税売上高が1000万円以下のフリーランスや個人事業主は、消費税の免税事業者として、消費税の納税が免除されていましたが、適格請求書発行事業者となるために、1000万円以下の売上高しかない個人事業主の方も課税事業者となる必要があります。
一人親方の方たちについても、課税売上高を1000万円以下に抑えることで、これまで消費税の免税を受けてきた方々も多いと思いますが、適格請求書を発行するためにその免税を受けられなくなる不利益が生じるということになります。
そのため、これまで消費税納税額の分だけ得をしてきた免税事業者である一人親方の方も、インボイス制度で適格請求書発行事業者になることにより納税義務が生じることになってしまいます。

インボイス制度の導入により、一人親方の方、特に免税事業者であった一人親方の方には大きな影響が出ることになります。
早めに取引先と取引内容の確認や交渉を行ったり、適格請求書発行事業者になるための申請などをする必要があるので、わからないことがあれば専門家に相談してみましょう。

一人親方が確定申告をしないとどうなる?

2022-11-09

一人親方が確定申告をしないとどうなるのでしょうか。
具体的事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

一人親方内装業を営むさんは、年間で3000万円を超える収入を得ていましたが、収入がすべて現金手渡しであったことから、確定申告をしなくてもばれないだろうと考え、数年にわたって全く確定申告をしていませんでした。
ところが、Aさんの取引先の会社に税務調査が入り、Aさんに収入があることが発覚し、Aさんにも税務調査が入ることになりました。
(フィクションです)

解説

Aさんは、収入があるにも関わらず確定申告を行っていなかったので、脱税をしていることは明らかです。
では、Aさんが免れた税金はどのようなものでしょうか。
まず、すぐに思いつくのが、「所得税」だと思います。
しかし、Aさんの場合には、所得税だけでなく、消費税や個人事業税・住民税などの地方税といった様々な税金についても免れているということが言えます。
Aさんには税務調査が入っているので、その後の手続きについて見ていきましょう。

税務調査

Aさんには税務調査が入っています。
Aさんのように一人親方を営んでいる方の場合には、毎年税務調査が入るということはなく、5年から10年に一度の頻度で税務調査が入ることが一般的です。
しかし、国税庁や税務署では、脱税額が多い事業形態として一人親方を挙げており、常に目を光らせている業種であると言えます。
そのため、年数に限らず、いつでも調査にくる場合があると考えておいた方がよいでしょう。

今回のAさんは取引先に税務調査が入ったことにより収入があることが発覚していますが、これとは別にAさんの脱税が疑われる場合に取引先にも調査が入る場合があります。
このことを反面調査といいます。
反面調査が行われることにより、取引履歴などから売上高が正確に割り出されることになり、脱税額の確定につながっていきます。

では、税務調査が入った場合には、Aさんはどう対応するのがよいでしょうか。

まずAさんは、確定申告を全くしていなかったため、なぜ確定申告をしていなかったのかということを質問調査されることになります。
なぜ確定申告をしていなかったのかについて、きちんとした理由を述べることができるのであればしっかりと述べておくべきです。
しかし、多くの場合には、正当な理由はいえないと思います。
そこで、査察調査や刑事告発をどのように避けていけるかを考えていくことになります。

そのためには、確定申告をしていなかった期間とその期間における正確な収入と経費をまず把握することが大事です。
もっとも、一人親方の場合には、現金手渡しでもらっていたり、どんぶり勘定だったりと、正確な収入額や経費を示すことができる資料を持っていないことが多いと思われます。
その場合でも、口座履歴やガードの使用履歴取引先から資料の提供を受けるなどしてできる限り正確な金額を把握するようにしましょう。
そのうえで、税理士や弁護士などの専門家と相談して、修正申告をすることをお勧めします。
早めに修正申告という手を打っておくことで、悪質性が低いと判断されたり査察まで至らなかったりということがあり得ます。

査察調査

税務調査の結果、悪質性が高い又は多額の脱税であると判断されると査察調査に移行します。
税務調査を経ずに、いきなり査察調査が行われる場合もあります。
査察調査は、税務調査とは違って強制的な調査になり、刑事告発を見据えた調査になります。
そのため、査察調査に入った場合には、国税局としっかりやり取りをし、告発をしないように働きかけることが必要になります。
国税局OBの税理士や専門の弁護士など、専門家のアドバイスを受けながらしっかりと対応することが大事です。
この段階では、収入などに関する資料はすべて国税局に持っていかれてしまっていますので、わからなくなる前にコピーなどを取っておくのがよいと思われます。

査察が入った場合には、1年ほどを掛けて告発するか課税処分にとどめるかを決めていきます。
刑事告発しない場合には、課税処分となりますが、Aさんの場合には無申告加算税もしくは重加算税が本税に追加して課せられることになります。
この段階でも、修正申告をすることによって刑事告発を避けることができたりしますので、専門家に相談しましょう。

刑事裁判

刑事告発がなされると、検察官が取り調べを行い、起訴不起訴が決まります。
不起訴となれば、刑事裁判は回避され、課税処分を受けるだけになります。
一方、起訴された場合には、裁判を受けて最終的には刑罰を受けることになります。
Aさんの場合には、所得税法違反や消費税法違反、地方税法違反といった罪で起訴される可能性があり、重いものであれば10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその両方を課されることになります。
また、罰金については脱税額が1000万円を超えている場合には、脱税額に合わせて罰金額を上げることができます。

刑事告発された場合には、多くの場合、逮捕勾留されてしまいます。
早期の釈放を実現し、刑務所に入らないで済むような結果を求めていくためには、弁護士を早い段階から選任しておくのがよいと思います。

一人親方で確定申告をしていなかったという方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談をご利用ください。
より詳しく説明し、あなたに合ったプランをご提案します。

一人親方の脱税~②~

2022-11-02

一人親方の脱税について、前回はなぜ脱税がばれるのかについて解説しました。
今回は、一人親方の脱税の方法とペナルティなどについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説していきます。

無申告

一人親方の脱税方法として最も顕著なものは、確定申告自体を行わないというものです。
当然ですが、売り上げがある場合には、一人親方も確定申告を行わなければなりません。
確定申告を忘れていた場合には、早急に申告を行ってください。
無申告の場合のペナルティとしては、主に以下のものが挙げられます。
無申告加算税
納税すべき税金のうち50万円までは15%50万円を超える部分については20%の無申告加算税が課せられます。
なお、申告期限から1か月以内に自主的に申告すること及び納めるべき税額のすべてが法定納期限までに完納しており、過去5年で無申告加算税又は重加算税が課税されたことがなく、かつ期限内申告をする意思があったと認められた場合には、無申告加算税は課税されません。

重加算税
仮装や事実の隠ぺいにより確定申告を怠っているとされた場合には、重加算税が課せられます。
無申告の場合の重加算税は、納付すべき税金の40%が課税されます。
重加算税が課税される場合には、無申告加算税の代わりに課税されることになるため、別途無申告加算税が課せられるわけではありません。

刑事罰
正当な理由なく納税申告書を提出期限までに提出しなかった場合には「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されることになります。
また、故意に納税申告書を期限までに提出しなかったなど違法性が強いと判断される場合には「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又はその併科」と定められています。
さらに、偽りその他不正の行為によって税金を免れたと判断されてしまった場合には、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその併科」という重い刑罰を科せられてしまう可能性もあります。

過少申告

売り上げを少なく計上したり、一部の売り上げを計上していなかったりして、実際の売り上げよりも少ない金額で確定申告を行うことも良く行われています。
単純に所得税の金額を下げるために行われることもありますが、課税売上高が1000万円を超える場合には消費税を納める義務が発生するため、消費税の課税を免れるために1000万円を超えないように売り上げを調整する場合も多くあります。
消費税逃れのために売り上げを調整している場合、売上高が800万~900万円台として申告していることが多いため、そのような金額での申告があった場合には、税務署が脱税を疑うきっかけにもなります。
過少申告の場合のペナルティとしては、主に以下のものが挙げられます。
過少申告加算税
申告額が申告をしなければならない額よりも少なかったために、新たに収めることになった税金が発生した場合に課税されるものです。
原則として、新たに収めることになった税金の10%が課税されますが、新たに収めることになった税金が期限内に申告した税額と50万円のいずれか多い方の金額を超える部分については、15%が課税されます。
なお、早めに修正申告を行うことにより、過少申告加算税が課税されないようにできる可能性もあります。

重加算税
仮装や事実の隠ぺいにより過少申告したとされる場合には、重加算税が課せられます。
過少申告の場合の重加算税は、過少申告加算税の代わりに追加本税の35%が課税されます。

刑事罰
過少申告により免れた税額が多額である場合や売り上げ隠しなどの方法が非常に悪質と判断された場合には、告発が行われ、刑罰に問われることになります。
所得税法違反だけでなく、消費税法違反や地方税法違反などの罪にも併せて問われる可能性があります。
たとえば、偽りその他不正の行為によって所得税を免れたと判断された場合には「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその併科」という重い罰則が規定されています。

経費の過剰申告、雇用を委任や請負に偽装

所得税や住民税については、収入から経費を差し引いた所得額によって税額が決まるため、仕事に関係のないものまで経費として計上し、その分の税を免れようとすることもあります。
個人的な食事や買い物についての費用は、経費としては計上できないものですので、税務署はそういった経費として計上できないものが申告された経費に含まれていないかを厳しくチェックします。
意図的に経費とできないものを経費として計上している場合や、その金額があまりにも多い場合には、過少申告加算税などが課されたり、場合によっては刑事告発の対象になる場合もあります。

また、一時的に従業員を雇用することもできますが、雇用契約ではなく委任や請負契約として申告する場合もあります。
雇用契約であれば従業員に払う給与として申告しますが、委任や請負契約であれば外注費として計上できます。給与か外注費かによって税額が変わるため、このような虚偽の申告をしてしまう場合があります。
しかし、税務署の調査によって、外注費ではなく給与として認定されてしまい、更正を受けたり、加算税を払わなければならなくなったりする可能性があります。
より悪質性が高く意図的に行われているという場合には、偽りの方法により税金を免れたとして所得税法違反などの罪に問われてしまう可能性もある危険な行為です。

確定申告したが、納税しない

確定申告をしたのに、法定納期限までに支払うべき税金を納付しないという事例もあります。
支払える金銭が手元にないなどの理由により納付ができない場合もあると思いますが、その場合には延納申請などができます。
法定納期限までに税金を完納しない場合には、延滞税が課せられます。
法定納期限から2か月を経過しているか否かで延滞税の課税割合が変わりますので、できるだけ早く納付する方がよいといえるでしょう。

2回にわたって、一人親方の脱税に関する問題について解説してきました。
一人親方の方は、税理士に依頼していない方も多く、税金の仕組みについて詳しくない方も多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そのような方に対しても丁寧にアドバイスを差し上げますので、不安がある方は無料の法律相談をご利用下さい。

一人親方の脱税~①~

2022-10-26

建築・土木工事に携わっている事業者の方たちには、雇用関係を持たずに事業を行う、いわゆる「一人親方」と言われる方が多くいらっしゃいます。
一人親方が脱税をしている場合になぜ脱税がばれるのか、脱税がばれるとどのようなペナルティが課されるのかについて2回にわたり弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説していきます。
今回は一人親方と個人事業主の違いとなぜ脱税がばれるのかについて解説します。

個人事業主と一人親方の違い

一人親方は、労働者を使用せず特定の事業を行う人のことをいいます。
個人事業主は、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことをいいます。
そのため、一人親方も広い意味では、個人事業主の一種といえるでしょう。
しかし、一人親方は
業種の範囲が限られている
個人事業主の場合には、業種の指定はありませんが、一人親方の場合には、建設業・林業・水産業など、7つの業種に限られています。

従業員の雇用について制限がある
個人事業主の場合、従業員の雇用について制限はありません。一方、一人親方の場合には従業員の雇用日数が100日未満である必要があります。

労災保険へ加入できる
個人事業主の場合には、原則として労災保険へ加入できませんが、一人親方の場合には特別に加入できることになっています。
といった3つの点で個人事業主とは異なっています。
もっとも、一人親方の場合でも、開業届を税務署に提出する義務があることや納税の義務があることは、個人事業主と同じです。

一人親方も開業届を提出することは義務

一人親方を含む個人事業主は、開業届を税務署に提出する義務があります(所得税法229条)。
開業届は、事業を開始した日または事業に関する事業所等を設けた日から1か月以内に税務署長に提出する必要があります(同条)。
開業届は提出していなくてもペナルティはありませんが、開業届を出すと、青色申告ができたり、事業用の銀行口座を開設出来たり、事業主を対象とした給付金を受け取れたりといった様々なメリットがあります。
また、開業届を出すと、個人事業主番号が付与されますが、この個人事業主番号はビジネスローンを組んだり銀行の融資を受けたりする際にも必要となるので、開業届を出しておくことにより、公的に事業主として認められることのメリットは大きいと言えるでしょう。

一人親方の脱税はなぜばれるのか

取引先からの源泉徴収税の申告
源泉徴収税とは、一人親方が支払うべき税金を前もって取引先が徴収し納税するものです。
源泉徴収税の納付にあたっては、どの一人親方に関するものであるかも明示されるため、税務署や国税局には一人親方に売り上げがあることがわかってしまいます。

反面調査
反面調査とは、税務署が調査対象者の取引先を調べ、取引の実態を把握するための調査です。
取引先や銀行に調査が行われることで、一人親方としての売り上げがあることが発覚してしまう可能性があります。

資産状況の調査
不動産購入など高額なお金の動きがあれば、法務局から税務署に情報が伝わることがあります。
申告されている収入に比して高額な不動産の購入などがあれば、税務署に脱税の疑いをもたれてしまい、税務調査が入るきっかけになります。

第三者からの密告
税務署は課税・徴収漏れに関する情報提供を呼び掛けています。
国税庁が公開している「課税・徴収漏れに関する情報の提供」によれば、様々な情報が寄せられていることがわかります。
国税庁のホームページには「情報提供フォーム」が用意されており、だれでも情報を提供できることになっています。

このように、税務署や国税庁は税金逃れがないように、様々な方法で情報収集をしています。
お金の怪しい動きや提出された資料に不審な点があれば、税務調査が入ることになり、脱税が明るみに出てしまうことになります。
そして、一人親方は国税庁が発表している申告漏れ所得金額が高額な業種上位10業種のうち約半数を占めていることから、税金逃れがないかを特に注意深く調査される対象になっているといえます。
そのため、一人親方は脱税していないか税務署から常に目をつけられているといえます。

~次回に続く

脱税と時効~②~

2022-10-19

脱税をしてしまった場合の時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が前回に続いて解説します。
第2回目は、刑事事件化してしまった場合の時効について解説します。

刑事事件の時効(公訴時効)

いままで見てきた時効や除斥期間はあくまでも納税に関する時効でした。
しかし、脱税で査察調査が入り、刑事告発された場合には、刑事事件になってしまいます。
刑事事件になってしまった場合には、これまで見てきた時効とは別の時効公訴時効)が定められています。

公訴時効とは、犯罪が終わった時から一定の期間を経過すると、犯人を処罰することができなくなるという制度です。

たとえば、脱税事件の中でもっとも重い刑罰が定められている「ほ脱犯」(偽りその他不正の行為により、税金の納付を免れ又は還付を受けた場合)では、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科」という罰則が定められています(例:所得税法238条1項、法人税法159条1項、消費税法64条1項、相続税法68条1項)。
この「ほ脱犯」の公訴時効は、「人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪」のうち「長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪」に当たるため、公訴時効は「7年ということになります(刑事訴訟法250条2項4号)。
また、公訴時効の起算点は、「犯罪行為が終わった時」となっています(刑事訴訟法252条)。
つまり、偽りその他不正の行為によって税金の納付を免れたり還付を受けたりした時から7年を経過する時までに公訴提起(起訴)がされなかった場合には、罪に問うことができなくなるということです。

各税法上、上記のほ脱犯以外にも、偽りその他の不正の行為により税金の納付を免れたとは言えないものの、法定の期限までに申告書を提出しないことにより税金の納付を免れた場合には「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれの併科」という罰則が定められており(例:所得税法238条3項、法人税法159条3項、消費税法64条5項、相続税法68条3項)、この場合は「人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪」のうち「長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪」に当たるため、公訴時効は「5年となります(刑事訴訟法250条2項5号)。
その他、「長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪」の場合には、公訴時効は「3年となります。

公訴時効の停止

公訴時効を考えるにあたって注意しないといけないのは、「海外にいる間は公訴時効が進行しない」ということです。
「犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。」(刑事訴訟法255条1項)とされており、海外にいる期間を除いて公訴時効期間を経過する必要があります。
例えば金密輸事件の場合には、何度も海外に渡航して金を購入し、購入した金を密輸して消費税を免れたうえ、金を本邦で売却することにより消費税分の利益を得ることになりますが、この場合には、消費税及び所得税のほ脱犯として処罰を受ける可能性があります。
この場合、海外に渡航して金を購入する際には国外にいることになりますので、公訴時効の期間にはその期間が含まれないことになります。
そのため、公訴時効が完成しているか否かを判断するにあたっては、海外にどれくらいの期間いたのかを正確に把握しておく必要があります。

まとめ

このように、脱税の場合には、課税に関する時効や除斥期間だけでなく刑事事件化した場合には別途公訴時効も考えなければなりません。
また、時効や除斥期間は比較的長い期間が設定されていますし、徴収権などの時効には中断事由が定められており、容易に時効完成を狙うことはできないようになっています。
長期間にわたって脱税をしてしまった。悪意はなかったが申告を忘れてしまっていたというような場合には、どの部分について課税や罪に問われることになるのかを専門家に相談してみるのがいいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を見据えた一貫したアドバイスを差し上げることができますので、一度お電話ください。

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