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暗号資産取引と所得税~①~

2022-09-19

近年、ビットコインなどの暗号資産と呼ばれる仮想通貨を利用した取引も活発に行われるようになりました。
本日と次回の2回にわたって、暗号資産取引に伴う所得税に関する問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

暗号資産取引を行った場合の所得の計算方法

暗号資産は現金と同様に、取引に用いることができますが、現金と違い暗号資産の資産価値は大きく変動します。そのため、暗号資産を購入した際の暗号資産の価値と暗号資産を用いて取引を行った際の暗号資産の価値が異なる場合があります。取引時の暗号資産の価値が購入時よりも上回っている場合には、その差額が所得として扱われることになるため、注意が必要です。
また、暗号資産を低額や無償で譲渡した場合には、実質的に贈与したと認められる金額を所得の総収入額に算入する必要がある場合もありますので、併せて注意が必要です。

①保有する暗号資産を売却(現金に換金)した場合

保有する暗号資産の譲渡価額からその暗号資産の譲渡原価等を差し引いた差額が所得金額となります。
例)5ビットコインを500万円で購入し、そのうち1ビットコインを120万円で売却した場合
譲渡価額(120万)から譲渡原価(1ビットコインあたりの価額100万に売却した数量1ビットコインを掛けたもの)を引いた差額が所得金額となります。
120万-(500万÷5ビットコイン)×1ビットコイン=20万
この例の場合には、20万円が所得金額となります。

②暗号資産で商品を購入した場合

保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産を譲渡したということになるので、商品を購入した場合の所得金額は①の場合と同様に、その暗号資産の譲渡価額とその暗号資産の譲渡原価等との差額となります。
この場合、商品の価額=暗号資産の譲渡価額として考えることになります。

③暗号資産同士の交換を行った場合

保有する暗号資産Aを別の暗号資産Bと交換するということは、暗号資産Aで暗号資産Bを購入したということになりますので、②と同様に、暗号資産Aの譲渡による所得金額を計算する必要があります。
例)100万円で購入して保有していた暗号資産Aで、120万円の価値がある暗号資産Bを購入した場合
120万(購入した暗号資産Bの価額)-100万(保有していた暗号資産の原価)=20万円(所得金額)

④暗号資産を低額又は無償で譲渡した場合

平成31年4月1日以降、個人が、時価よりも著しく低い対価による譲渡により暗号資産を移転させた場合には、その対価の額とその譲渡の時における暗号資産の価額との差額のうち、実質的に贈与したと認められる金額を雑所得等の総収入額に算入する必要があります。
「時価よりも著しく低い対価による譲渡」とは、時価の70%相当額未満で売却する場合をいいます。
また、「実質的に贈与したと認められる金額」は、時価の70%相当額からその対価の額を差し引いた金額と考えられます。
例)時価100万円の暗号資産を45万円で売却した場合
時価の70%相当額70万(100万×70%)-売却価額45万=時価の70%相当額との差額25万円
実際の売却価額45万+時価の70%相当額との差額25万円=総収入金額70万円
総収入金額70万-譲渡原価45万=所得金額25万円
という計算をして所得金額を出すことになります。

※暗号資産の取得価額
暗号資産の取得に際しては、手数料がかかる場合が多くあります。
購入手数料など暗号資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を含む金額が取得価額となります。
例えば、200万円で暗号資産を購入した際に、手数料550円(消費税込み)も併せて支払ったという場合については、取得価額はどうなるでしょうか。
この場合の暗号資産の取得価額は手数料を加えた200万550円ということになります。

~次回に続く~

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