
カードゲームにおいて使用するだけでなく,コレクション性も高いトレーディングカードは,今や世界的な人気を誇っています。多種多様なカードが生産されており,カードゲームの大会も数多く開催されています。
ゲームにおいて有用なカードや,イラストが人気なカードは高値で取引されることもあります。大会景品として提供される希少性の高いカードなどは,数百万円の価値がつくこともあり,場合によってはそれ以上の高値でオークションにかけられることもあります。そのため,トレーディングカードは投機の対象にもなっています。以前からホビーショップなどで取り扱われていたトレーディングカードですが,現在では買い取りなどを行う専門店の存在も珍しくはありません。
話題性に富むトレーディングカードですが,時としてその取引が脱税事件として摘発されてしまうこともあります。今回は,消費税法等に違反した疑いで,トレーディングカード販売会社の経営者が逮捕された事件報道について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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【報道事例】
課税売り上げの一部を除外する手口で消費税など約2300万円を脱税したなどとして,名古屋地検特捜部は,消費税法違反などの疑いで,トレーディングカード販売会社を実質的に経営する男性を逮捕した。認否は明らかにしていない。逮捕容疑は令和4年12月までの2課税期間に,カード販売に関して課税売り上げの一部を除外する方法で消費税と地方消費税計約2300万円を免れたほか,不正に消費税など計約520万円の還付を受けたとしている。
(令和7年1月15日付産経新聞の記事より引用。一部修正)
【事例解説】
本件では,課税売り上げの一部を除外したという理由で,消費税法違反等による逮捕が行われています。
一定の売り上げが生じた場合,事業者には消費税の納付義務が課せられます。消費税の課税対象となる取引の売り上げの合計額,つまり課税売上高が1000万円を超える場合,事業者には消費税の納税義務が生じ,課税事業者と呼ばれます。消費税の納税義務は,年間の課税売上高が1000万円を超えた年の2年後から発生します。
消費税の課税対象となる取引の売上高が下がると,課税売上高も少なくなります。そのため,報道事例のように課税売り上げの一部を除外するといった方法を用いることで,課税売上高を1000万円以内に収めれば,消費税の納付義務を不正に免れることになります。国へ納付する消費税額は,売り上げに含まれる消費税額から仕入や経費に含まれる消費税額を差し引いて計算するため(原則課税制度),課税売上高が1000万円を超えていたとしても,売り上げの除外や経費の不正計上によって本来納めるべき消費税額より少なくなった場合は,同様に脱税となります。
報道では消費税の不正還付についても指摘されています。要件を満たした課税事業者は,支払った消費税額が受け取った消費税額よりも多い場合,その差額について還付を求めることができます。この消費税還付の制度を悪用すると,本来受けられない還付を受けたり,受ける還付額を多くしたりすることができてしまいます。消費税の不正還付については,国税局も重要摘発案件としています。
【トレーディングカードの取引と脱税リスク】
今回取り上げた報道事例では消費税の脱税が問題となっていましたが,トレーディングカード絡みでは他にも,販売会社が法人税法違反により告発されたケースや,転売によって得た利益を申告せずに追徴課税がされた個人のケースなども報道されています。
国内外を問わず人気のトレーディングカードは高額な取引となることも多く,消費税の納付義務や所得の申告を適切に行わなければ,報道事例のように脱税事件として摘発されてしまう可能性があります。脱税事件として扱われてしまえば,逮捕や勾留に伴う身体拘束,罰金や追徴課税によるペナルティといった多大なリスクを被ることになります。
【トレーディングカードの取引で脱税とならないか不安な場合は】
トレーディングカードを扱う取引に脱税リスクが生じていないかは,しっかりと確認しておく必要があります。そのためには,税理士による関与が必要なのはもちろんですが,法律の専門家である弁護士によるサポートも欠かせません。今回紹介した報道事例のように,脱税事件として刑事事件化する可能性がある場合は,逮捕や起訴のリスクを判断するためにも,弁護士の関与も不可欠となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,脱税も含めた刑事事件を専門的に取り扱ってきた経験を活かした弁護活動を行います。初回無料の法律相談はWEBによる遠隔相談にも対応しておりますので,トレーディングカードの取引による脱税リスクが不安な方は,弊所までご相談ください。
