Archive for the ‘事件別’ Category
キャバ嬢も税務調査の対象に
キャバクラの従業員に対して税務調査が入る可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
キャバクラは国税庁に目をつけられている
キャバクラは税務調査が入りやすい職種といえます。
国税庁が発表している「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種」によれば、令和2年度までキャバクラ(キャバレー)が毎年上位5位以内に入っていました。
令和3年度は、キャバクラが上位10位までに入っていませんが、これは新型コロナの影響により営業を停止していた店が多かったからだと思われます。
したがって、新型コロナの影響が薄まってきて、営業を再開する店が増えてきている現状においては、再び上位に返り咲く可能性が高いといえます。
国税庁は、申告漏れ金額が高額な業種には常に目を光らせているといえるでしょう。
店だけではなくキャバ嬢も税務調査の対象に
キャバクラに対して税務調査が入りやすいということは、そこで働いている従業員も調査対象になる可能性があるということです。
店に税務調査をしに入る前に、税務署の職員が内偵調査をしていることが多くあります。
これは、客を装って接客を受け、キャバ嬢からの情報収集や客の入りを見て、どれくらいの売り上げを出しているかを調査しているのです。
そして、店に実際に税務調査に入った際に、店の帳簿だけではなく、従業員の名簿や出勤表などを調査します。
内偵調査の情報と照らし合わせて、働いていたはずの従業員が名簿や帳簿に記載されていなかったりしないかをチェックしているのです。
このように、キャバクラが所得隠しをしていないかを厳しくチェックする中で、働いているキャバ嬢の収入もある程度把握されることになり、相当な所得を得ているはずなのに確定申告をしていないことが発覚すると、キャバ嬢個人についても税務調査が開始されるきっかけとなります。
無申告がバレるきっかけ
店に税務調査が入って発覚する可能性があることは、先ほど説明しました。
その他に、キャバ嬢が確定申告をしていないことが発覚するパターンとしては、次の場合が考えられます。
・高額な買い物
高額な買い物をすると、大きなお金の動きがあるため、銀行の口座情報を把握している税務署が目をつける可能性があります。
・客や従業員などからの密告
国税庁では、申告漏れなどの情報提供を呼び掛けています。
客や従業員など身近な人から密告を受けるなんて考えてもみないことだと思いますが、売れっ子のキャバ嬢ともなれば、周りからの妬みなどもあり、密告をされてしまう可能性もあります。
・SNSへの投稿
SNSに店でシャンパンを多く開けてもらった写真などを載せている人もいると思います。
そのような投稿についても税務署は目を光らせています。
多くの売り上げを挙げているはずなのに確定申告をしていないという場合には、税務調査に踏み切られてしまう可能性もあります。
バレないだろうが危険!
給料を手渡しでもらっているから大丈夫、個人には税務署も手が回らないから大丈夫。
こう思っていると後から高額な追徴課税をされてしまう可能性があります。
過去5年間にさかのぼって追徴をすることが可能にもなっていますので、バレないだろうと安易に考えず、きちんとした申告をしましょう。
もし、申告をしてなかったり、申告漏れがある場合には、早めに専門家に相談して、最悪の事態をさけるようにしましょう。
宅配ドライバーにも税務調査が
個人事業主としてドライバーの仕事をしている人が確定申告を忘れているとどうなるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
運送業には税務調査が行われやすい
ドライバーなどの運送業には税務調査が行われやすいと言われています。
国税庁が令和4年11月に発表した「令和3年事務年度所得税及び消費税調査等の状況」の中で「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」では、「一般貨物自動車運送」が9位に入っています。
また、平成25年、27年、30年と定期的に「特定貨物自動車運送」が申告漏れ金額が高額な業種の5位に入っています。
そのため、運送業については、税務署や国税局が申告漏れについて目を光らせているということができるのです。
新型コロナの影響?
これまでは特定貨物自動車運送が申告漏れの上位に入っていましたが、昨年は一般貨物自動車運送が上位に入っています。
特定貨物自動車運送は、特定の荷主から依頼を受け荷物を運送する事業をいうのに対して、一般貨物自動車運送は、不特定多数から運送の依頼を受けて荷物を運送する事業をいいます。
新型コロナの影響で、外出を控える傾向が強くなったことで、自宅まで荷物を届けてもらう配送サービスの需要が高まったことが、一般貨物自動車運送が上位になっている背景にあるのではないでしょうか。
また、大手運送業者に限らず、ウーバーイーツなどの配達なども広い意味で一般貨物自動車運送に当たるといえ、そういった配達をしているドライバーは個人事業主である場合がほとんどであることも影響しているでしょう。
個人事業主の場合、会社員と違って自ら確定申告をする必要があります。
確定申告を忘れてしまっているリスクが高いということができます。
確定申告を忘れていたら
個人事業主のドライバーにも税務調査が入る可能性があります。
税務調査では、確定申告をしているか、売り上げの計上漏れがないか、経費が正しく計上されているかのチェックが行われます。
そもそも確定申告をしていない場合には、早急に申告をする必要があります。
また、売り上げの計上については、入金日ではなくサービスの提供日に計上することが原則ですので、サービスの提供と入金日が年をまたぐ場合などには注意が必要です。
さらに、経費の計上については、ガソリンなどの燃料費、駐車場代、自賠責保険料などは経費として計上することができますが、プライベートな移動によるガソリン代などは経費とはなりません。
税務調査が入ると、経費計上している費目についても厳しくチェックされることになるので、仕事とプライベートをきちんと分けておくことが必要です。
確定申告を忘れていた場合には、無申告加算税が加算されることになります。
早めに正しい申告を行うことで、ペナルティが軽減される場合もありますので、早急に対応しましょう。
また、意図的に無申告(所得隠し)をしていたと疑われる場合には、重加算税が課されたり、刑事告発がなされてしまう可能性もあります。
税務調査が行われることになった場合には、なるべく早い段階で税理士や弁護士に相談し、対策を講じましょう。
個人事業主のドライバーでも税務調査を受ける可能性があります。
税務調査が行われることになった、確定申告を忘れてしまっていたという人は早めに専門家のアドバイスをもらいましょう。
風俗嬢の脱税はバレると大変!!
風俗で働いている女性が脱税をした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
東京都新宿区歌舞伎町にある風俗店で風俗嬢として働いているAさんは、店から労働の対価として現金を手渡しでもらっていました。
Aさんは、店と雇用契約を結んでいるわけではなく、アルバイト感覚で風俗の仕事をしていました。
現金を手渡しでもらっていたこともあり、確定申告をしなくてもバレないだろうと考えて、確定申告をしていませんでした。
そうしたところ、Aさんが働いていた店に新宿税務署の税務調査が入り、Aさんも税務調査を受けることになってしまいました。
不安になったAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談を利用することにしました。
(フィクションです)
解説
風俗嬢の脱税がバレる理由
風俗嬢は多くの場合、店舗に所属していたとしても雇われているわけではなく、法律上は個人事業主として扱われることになります。
当然、働いて得たお金は所得となるため、所得税などの納税義務があり、確定申告が必要となります。
しかし、手渡しで現金をもらっている場合などは、確定申告をしなくてもバレないと思っている人が多いのではないでしょうか。
風俗嬢の脱税がバレる原因としては、
①店に税務調査が入ってバレる
②高額な買い物(家や車など)をしてバレる
③客や同業者などからの密告でバレる
④SNSなどの投稿によってバレる
といったことが考えられます。
①店に税務調査が入ってバレる
店に税務調査が入る場合には、そこで働いている人に支払っている給料などは経費となるため、税務調査の対象となります。
税務調査が入るときには、事前に内偵調査が行われる場合が多く、店のサイトで出勤を調べたり、実際に客として接客を受けたりして、資料を収集していきます。
それらの資料から風俗嬢の収入が発覚し、風俗嬢にも税務調査が入る場合があります。
②高額な買い物をしてバレる
税務署は口座情報についても手に入れています。
特に、家や車などの高額な買い物をしている場合には、確定申告をしていないのにそういった高額商品をかえる収入があるのはおかしいと目をつけられてしまう原因になります。
③客や同業者などからの密告でバレる
国税庁では、課税及び徴収漏れに関する情報提供を受け付けています。
国税庁のホームページには情報提供フォームが設置されており、情報提供者のプライバシーも守られる仕組みになっています。
④SNSなどの投稿によってバレる
SNSなどに豪華な食事や高級ホテルでの宿泊などの写真や文章を投稿していると、そこから疑いをもたれて調査が入る可能性もあります。
公開されている情報については、いつも目を光らせられていると考えた方がよいでしょう。
確定申告をしていないことがバレたら
収入があるのに確定申告をしていないことがバレた場合、本来納めるべきであった税金を払うことはもとより、ペナルティとしての加算税についても支払わなければならなくなります。
過去には1000万円を超える加算税を支払わなければならなくなった例もあります。
確定申告をしていない場合の加算税としては、①無申告加算税と②重加算税が考えられます。
①無申告加算税については、支払うべき税額の15%(50万円を超える部分については20%)が加算されます。
一方、②重加算税の場合には、①無申告加算税に代えて40%が加算されることになります。
仮装隠ぺいがあった場合など悪質性が高い場合には、②重加算税が課せられる可能性が高くなります。
単なる申告忘れなのか、隠そうとしていたのか調査などでどのように応答するかによって大きく変わってくるので、専門家に早い段階で相談しましょう。
また、悪質方法かつ高額な脱税となる場合には、刑事裁判にかけられて刑罰を受ける可能性もあります。
多くの場合には、執行猶予が付されますが、その場合でも罰金刑を合わせて受けることが多いです。
罰金刑を受けた場合、罰金と本来納めるべき税金および加算税などをすべて支払わなければならなくなるので、金銭的な負担は非常に大きなものとなってしまいます。
刑事裁判になってしまうような案件かどうかも含め、専門家に相談してアドバイスを受けてください。
もし確定申告を忘れていたとしたら、早めに修正申告をすることでペナルティを最小限に抑えることができます。
不安が少しでもあるのであれば、早めに相談してください。
パパ活と脱税
前回はパパ活にかかる税金について見てみました。
今回は、パパ活で得た報酬について確定申告をしなかった場合のペナルティなどについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します
パパ活の収入と確定申告
パパ活で得た報酬(収入)についても、当然ですが税金がかかります。
そのため、確定申告をする必要があります。
お金ではなく車や時計などの物をもらった場合も金額によっては贈与税がかかりますし、現金手渡しであったとしても確定申告は必要です。
①パパ活の報酬が贈与となる場合
お小遣いや物をプレゼントとしてもらった場合など、契約に基づかないで一時的にもらった場合には贈与となります。
1年間の合計金額が110万円を超える場合には贈与税の確定申告が必要となります。
②パパ活の報酬が給与などの所得となる場合
パパとの間で定期的に報酬をもらう契約を交わしている場合などは、給料として受領したとみなされたり、個人事業主として事業所得を得たとして所得税の対象になります。
1年間の合計金額が20万円を超える場合には、所得税の確定申告が必要となります。
③20万円を超えない場合
パパからもらったお金が1年間で20万円を超えない場合にも、住民税はかかることになるため、住民税の確定申告が必要となります。
パパ活の収入を確定申告していなかったときのペナルティ
パパ活の収入について確定申告をしていない場合には、加算税などを課されることになったり、場合によっては刑事罰を受けることになる可能性があります。
①無申告加算税
収入があるにも関わらず確定申告をしていなかった場合には、無申告加算税が課せられることになります。
無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分については20%の割合で課せられることになります。
たとえば、納付すべき税額が100万円の場合、50万円までは15%なので7万5000円、50万円を超える部分(今回の場合には50万円)については20%となるので10万円がそれぞれ無申告加算税となります。
そのため、17万5000円を本来納付すべき税額に加えて納付しなければならなくなります。
②重加算税
確定申告をしておらず、収入があることなどの重要な事実の全部または一部を仮装隠ぺいした場合には、無申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
この場合の重加算税は納付すべき税額の40%となるので、①の例で考えると40万円が重加算税として課せられることになってしまいます。
③延滞税
確定申告の期限までに申告していない場合、税務調査等の結果、税金納付の期限を決められて、その日までに納税をしなければならなくなります。
この場合、納付した日までの延滞税を別途支払わなければならなくなります。
④刑事罰
確定申告をしていない金額が高額であったり悪質性が高いと考えられる場合には、告発をされて刑事事件化する場合があります。
この場合には、捜査を受けることになり、さらには刑事裁判を受けて前科がついてしまうことになります。
さらに、罰金を言い渡されることも多くあり、前科がつくだけでなく、罰金と加算税を含めた税金を支払わなければならなくなってしまい、金銭的にとても大きな不利益を受けてしまいます。
現金手渡しでもらっているからバレないなどと考えていると、いざ税務調査などが入ったときにパパ活で得た利益よりも大きな不利益を受けてしまう可能性があります。
確定申告をしていない方は、早めに確定申告をしましょう。
また、どうしてよいかわからないという方は、早めに専門家に相談をしましょう。
パパ活と税金
パパ活でかかる税金について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
パパ活で得た報酬にかかる税金
パパ活で得た報酬にも金額によって税金がかかります。
主に問題となる税金は、①贈与税、②所得税、③住民税です。
①贈与税
人から金銭や物品などをもらったときにかかる税金。
1年間の合計額が110万円を超えた場合に贈与税がかかります。
②所得税
仕事をして得た報酬にかかる税金(例:給料)。
1年間の合計額が20万円を超えた場合に所得税がかかります。
③住民税
収入(所得)を得た場合にかかる税金。
1年間の合計額が20万円以下でも住民税はかかります。
具体例
①300万円の高級腕時計をもらった場合
この場合には、贈与税と住民税を考える必要があります。
贈与税については、もらった物の金額や金銭の額から110万円を引いた残りの額がいくらかによって税率が変わります。
今回の事例の場合には、300万-110万=190万となるので、税率は10%となり、控除額は0円となります。
そして贈与税の金額は、「(贈与された金額-基礎控除110万)×税率-控除額」という計算式で求めることになります。
そのため、今回は190万×10%-0円=19万となるので、贈与税が19万円かかるということになります。
なお、住民税の税率については、原則一律10%です。
②毎月10万円を1年間報酬としてもらっていた場合
この場合には、毎月の報酬を贈与ととらえるか、給与などの所得ととらえるかによって変わってきます。
毎月10万円をもらっているとしても、何か契約があるわけではなく「お小遣い」のような感覚でもらっていた場合には、贈与となる可能性の方が高いといえます。
その場合には、10万×12か月=120万円となり、課税対象金額は120万-110万=10万円となります。
そうすると①の場合と同様に計算して、贈与税の額は1万円となります。
一方、毎月の報酬がパパ活相手との契約などによって定まっている場合、個人事業主としての収入(所得)となる可能性が高くなります。
個人事業主としての所得となる場合には、所得税の計算が必要になります。
所得税は、「課税される所得金額×税率-控除額」という計算式で求めます。
課税される所得金額は、収入の額から経費などを差し引いた金額です。
パパ活の場合には、交通費や食事代などを自分で出している場合には、経費として差し引くことができる可能性があります。
今回の事例の場合には、総額120万円の所得を得ていることになり、税率が5%、控除額は0円となります。
そのため、120万×5%-0円=6万円となり、所得税が6万円かかることになります。
このように、贈与となるか所得となるかによって、納めるべき税額が異なることになるので、自分がもらっている報酬がどちらに当たるのか、専門家に相談して判断してもらうのも良いでしょう。
一人親方が確定申告をしないとどうなる?
一人親方が確定申告をしないとどうなるのでしょうか。
具体的事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
一人親方で内装業を営むAさんは、年間で3000万円を超える収入を得ていましたが、収入がすべて現金手渡しであったことから、確定申告をしなくてもばれないだろうと考え、数年にわたって全く確定申告をしていませんでした。
ところが、Aさんの取引先の会社に税務調査が入り、Aさんに収入があることが発覚し、Aさんにも税務調査が入ることになりました。
(フィクションです)
解説
Aさんは、収入があるにも関わらず確定申告を行っていなかったので、脱税をしていることは明らかです。
では、Aさんが免れた税金はどのようなものでしょうか。
まず、すぐに思いつくのが、「所得税」だと思います。
しかし、Aさんの場合には、所得税だけでなく、消費税や個人事業税・住民税などの地方税といった様々な税金についても免れているということが言えます。
Aさんには税務調査が入っているので、その後の手続きについて見ていきましょう。
税務調査
Aさんには税務調査が入っています。
Aさんのように一人親方を営んでいる方の場合には、毎年税務調査が入るということはなく、5年から10年に一度の頻度で税務調査が入ることが一般的です。
しかし、国税庁や税務署では、脱税額が多い事業形態として一人親方を挙げており、常に目を光らせている業種であると言えます。
そのため、年数に限らず、いつでも調査にくる場合があると考えておいた方がよいでしょう。
今回のAさんは取引先に税務調査が入ったことにより収入があることが発覚していますが、これとは別にAさんの脱税が疑われる場合に取引先にも調査が入る場合があります。
このことを反面調査といいます。
反面調査が行われることにより、取引履歴などから売上高が正確に割り出されることになり、脱税額の確定につながっていきます。
では、税務調査が入った場合には、Aさんはどう対応するのがよいでしょうか。
まずAさんは、確定申告を全くしていなかったため、なぜ確定申告をしていなかったのかということを質問調査されることになります。
なぜ確定申告をしていなかったのかについて、きちんとした理由を述べることができるのであればしっかりと述べておくべきです。
しかし、多くの場合には、正当な理由はいえないと思います。
そこで、査察調査や刑事告発をどのように避けていけるかを考えていくことになります。
そのためには、確定申告をしていなかった期間とその期間における正確な収入と経費をまず把握することが大事です。
もっとも、一人親方の場合には、現金手渡しでもらっていたり、どんぶり勘定だったりと、正確な収入額や経費を示すことができる資料を持っていないことが多いと思われます。
その場合でも、口座履歴やガードの使用履歴、取引先から資料の提供を受けるなどしてできる限り正確な金額を把握するようにしましょう。
そのうえで、税理士や弁護士などの専門家と相談して、修正申告をすることをお勧めします。
早めに修正申告という手を打っておくことで、悪質性が低いと判断されたり査察まで至らなかったりということがあり得ます。
査察調査
税務調査の結果、悪質性が高い又は多額の脱税であると判断されると査察調査に移行します。
税務調査を経ずに、いきなり査察調査が行われる場合もあります。
査察調査は、税務調査とは違って強制的な調査になり、刑事告発を見据えた調査になります。
そのため、査察調査に入った場合には、国税局としっかりやり取りをし、告発をしないように働きかけることが必要になります。
国税局OBの税理士や専門の弁護士など、専門家のアドバイスを受けながらしっかりと対応することが大事です。
この段階では、収入などに関する資料はすべて国税局に持っていかれてしまっていますので、わからなくなる前にコピーなどを取っておくのがよいと思われます。
査察が入った場合には、1年ほどを掛けて告発するか課税処分にとどめるかを決めていきます。
刑事告発しない場合には、課税処分となりますが、Aさんの場合には無申告加算税もしくは重加算税が本税に追加して課せられることになります。
この段階でも、修正申告をすることによって刑事告発を避けることができたりしますので、専門家に相談しましょう。
刑事裁判
刑事告発がなされると、検察官が取り調べを行い、起訴不起訴が決まります。
不起訴となれば、刑事裁判は回避され、課税処分を受けるだけになります。
一方、起訴された場合には、裁判を受けて最終的には刑罰を受けることになります。
Aさんの場合には、所得税法違反や消費税法違反、地方税法違反といった罪で起訴される可能性があり、重いものであれば10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその両方を課されることになります。
また、罰金については脱税額が1000万円を超えている場合には、脱税額に合わせて罰金額を上げることができます。
刑事告発された場合には、多くの場合、逮捕勾留されてしまいます。
早期の釈放を実現し、刑務所に入らないで済むような結果を求めていくためには、弁護士を早い段階から選任しておくのがよいと思います。
一人親方で確定申告をしていなかったという方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談をご利用ください。
より詳しく説明し、あなたに合ったプランをご提案します。
一人親方の脱税~②~
一人親方の脱税について、前回はなぜ脱税がばれるのかについて解説しました。
今回は、一人親方の脱税の方法とペナルティなどについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説していきます。
無申告
一人親方の脱税方法として最も顕著なものは、確定申告自体を行わないというものです。
当然ですが、売り上げがある場合には、一人親方も確定申告を行わなければなりません。
確定申告を忘れていた場合には、早急に申告を行ってください。
無申告の場合のペナルティとしては、主に以下のものが挙げられます。
①無申告加算税
納税すべき税金のうち50万円までは15%、50万円を超える部分については20%の無申告加算税が課せられます。
なお、申告期限から1か月以内に自主的に申告すること及び納めるべき税額のすべてが法定納期限までに完納しており、過去5年で無申告加算税又は重加算税が課税されたことがなく、かつ期限内申告をする意思があったと認められた場合には、無申告加算税は課税されません。
②重加算税
仮装や事実の隠ぺいにより確定申告を怠っているとされた場合には、重加算税が課せられます。
無申告の場合の重加算税は、納付すべき税金の40%が課税されます。
重加算税が課税される場合には、無申告加算税の代わりに課税されることになるため、別途無申告加算税が課せられるわけではありません。
③刑事罰
正当な理由なく納税申告書を提出期限までに提出しなかった場合には「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されることになります。
また、故意に納税申告書を期限までに提出しなかったなど違法性が強いと判断される場合には「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又はその併科」と定められています。
さらに、偽りその他不正の行為によって税金を免れたと判断されてしまった場合には、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその併科」という重い刑罰を科せられてしまう可能性もあります。
過少申告
売り上げを少なく計上したり、一部の売り上げを計上していなかったりして、実際の売り上げよりも少ない金額で確定申告を行うことも良く行われています。
単純に所得税の金額を下げるために行われることもありますが、課税売上高が1000万円を超える場合には消費税を納める義務が発生するため、消費税の課税を免れるために1000万円を超えないように売り上げを調整する場合も多くあります。
消費税逃れのために売り上げを調整している場合、売上高が800万~900万円台として申告していることが多いため、そのような金額での申告があった場合には、税務署が脱税を疑うきっかけにもなります。
過少申告の場合のペナルティとしては、主に以下のものが挙げられます。
①過少申告加算税
申告額が申告をしなければならない額よりも少なかったために、新たに収めることになった税金が発生した場合に課税されるものです。
原則として、新たに収めることになった税金の10%が課税されますが、新たに収めることになった税金が期限内に申告した税額と50万円のいずれか多い方の金額を超える部分については、15%が課税されます。
なお、早めに修正申告を行うことにより、過少申告加算税が課税されないようにできる可能性もあります。
②重加算税
仮装や事実の隠ぺいにより過少申告したとされる場合には、重加算税が課せられます。
過少申告の場合の重加算税は、過少申告加算税の代わりに追加本税の35%が課税されます。
③刑事罰
過少申告により免れた税額が多額である場合や売り上げ隠しなどの方法が非常に悪質と判断された場合には、告発が行われ、刑罰に問われることになります。
所得税法違反だけでなく、消費税法違反や地方税法違反などの罪にも併せて問われる可能性があります。
たとえば、偽りその他不正の行為によって所得税を免れたと判断された場合には「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその併科」という重い罰則が規定されています。
経費の過剰申告、雇用を委任や請負に偽装
所得税や住民税については、収入から経費を差し引いた所得額によって税額が決まるため、仕事に関係のないものまで経費として計上し、その分の税を免れようとすることもあります。
個人的な食事や買い物についての費用は、経費としては計上できないものですので、税務署はそういった経費として計上できないものが申告された経費に含まれていないかを厳しくチェックします。
意図的に経費とできないものを経費として計上している場合や、その金額があまりにも多い場合には、過少申告加算税などが課されたり、場合によっては刑事告発の対象になる場合もあります。
また、一時的に従業員を雇用することもできますが、雇用契約ではなく委任や請負契約として申告する場合もあります。
雇用契約であれば従業員に払う給与として申告しますが、委任や請負契約であれば外注費として計上できます。給与か外注費かによって税額が変わるため、このような虚偽の申告をしてしまう場合があります。
しかし、税務署の調査によって、外注費ではなく給与として認定されてしまい、更正を受けたり、加算税を払わなければならなくなったりする可能性があります。
より悪質性が高く意図的に行われているという場合には、偽りの方法により税金を免れたとして所得税法違反などの罪に問われてしまう可能性もある危険な行為です。
確定申告したが、納税しない
確定申告をしたのに、法定納期限までに支払うべき税金を納付しないという事例もあります。
支払える金銭が手元にないなどの理由により納付ができない場合もあると思いますが、その場合には延納申請などができます。
法定納期限までに税金を完納しない場合には、延滞税が課せられます。
法定納期限から2か月を経過しているか否かで延滞税の課税割合が変わりますので、できるだけ早く納付する方がよいといえるでしょう。
2回にわたって、一人親方の脱税に関する問題について解説してきました。
一人親方の方は、税理士に依頼していない方も多く、税金の仕組みについて詳しくない方も多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そのような方に対しても丁寧にアドバイスを差し上げますので、不安がある方は無料の法律相談をご利用下さい。
詐欺で得た利益と所得税~②~
前回に引き続いて、詐欺によって得た利益と所得税の関係について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
今回は、ペナルティや刑事罰について解説します。
無申告のペナルティ
詐欺によって得た利益も課税対象となるため、一時所得か雑所得か関係なく、確定申告をして納税する必要があります。
Aさんは遊興費などにすべて使い切ってしまっていますが、だからといって申告をしないでいると、加算税や延滞税というペナルティを受けることになります。
①無申告加算税
確定申告期限内に申告をしていない場合、無申告加算税が課せられます。
無申告加算税は、原則として、納税すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額になります。
Aさんが本件詐欺で得た利益が雑所得とされた場合、納税すべき税額は1545万4000円でしたので、約300万円が無申告加算税として本来納税すべき税額に加算されることになります。
②重加算税
仮装隠ぺいなどの方法により、無申告であることが悪質性が高いと判断された場合に、無申告加算税に代えて課せられます。
重加算税は無申告加算税の基礎となる税額の40%に相当する額が課せられることになります。
Aさんが本件詐欺で得た利益が雑所得とされた場合には、1545万4000円の40%が重加算税として課せられる税額となりますので、約620万円を本来納税すべき税額に加算して納めなければならなくなります。
③延滞税
納税が遅れると、その期間に応じた「延滞税」の支払いが求められます。
税率は、納税すべき日から2か月までは7.3%、2か月を過ぎると14.6%が本来納税すべき金額にかかってきます。
刑事事件化する場合
本件のAさんには、税務調査が入っていますが、悪質性が高かったり脱税額が巨額になる場合には、査察調査に発展することもあります。
査察調査は税務調査と違い、強制的に調査をすることができ、最終的には刑事告発に至る場合が少なくありません。実際、査察調査から刑事告発される割合は約70%と言われています。
本件のAさんが問われることになる犯罪としては、詐欺のほかに、所得税法違反と地方税法違反が考えられます。
①詐欺を問われる場合
Aさんが詐欺に問われる場合、一般的には被害者からの被害届などを受理した警察が捜査を行います。
Aさんが詐取した金額からすれば、逮捕されてしまう可能性が高いでしょう。
逮捕された後は、最大20日間に及ぶ被疑者勾留中に警察による取り調べなどが行われ、最終的には検察官が起訴・不起訴を判断します。
検察官が起訴するより前に、被害者に詐取金の全額を弁償し、示談が成立していれば、不起訴となる可能性もありますが、示談がなければ起訴される可能性が高いといえます。
起訴されると保釈が許可されない限り、身体拘束を受けたまま裁判を受けてもらうことになります。
Aさんの場合、判決が出る前までに被害金の全額弁償ができていれば、執行猶予付きの判決を受けることができる可能性が高くなりますが、被害弁償ができていなければある程度長期の実刑判決を覚悟しなければならないでしょう。
このように、詐欺に問われる場合には、警察の捜査を受けること、示談ができるかどうかによって処分が大きく変わることが特徴といえます。
②所得税法違反、地方税法違反に問われる場合
Aさんの場合、所得税の申告をしていないということは、住民税の納付も行っていないでしょうから、所得税法違反のほかに地方税法違反にも問われる可能性があります。
Aさんが所得税法違反や地方税法違反に問われる場合、基本的には査察調査ののちに国税局から告発を受けた検察庁が捜査を担当します。
逮捕される可能性も高いですが、逮捕された場合には、捜査を検察庁が担当している関係で留置される場所は警察署ではなく拘置所となります。
その後は詐欺の場合と同様に取り調べなどを受けて起訴・不起訴が決まります。
加算税を含めて脱税した税額のすべてを納付し終わっているといった事情があるなど事後的にでも悪質性を低くする活動ができた場合には、不起訴となる可能性もあります。
起訴をされた場合には、詐欺と同様の手続きで最終的には判決を受けることになります。
税法違反の場合の特徴として、懲役刑だけではなく罰金刑を併科することができることが挙げられます。
そのため、仮に懲役刑の部分に執行猶予が付されたとしても罰金刑が併科されて罰金刑部分に執行猶予が付されていない場合には、罰金は支払う必要があります。
このように、税法違反の場合には、検察庁が捜査を担当すること、示談ではなく税納付による被害回復を図ること、罰金刑を併科できることが特徴といえます。
まとめ
Aさんのように詐欺などの犯罪によって得られた利益も課税対象になりますので、確定申告をしていなければ、詐欺の罪とは別に所得税法違反など税法違反の罪にも問われてしまう可能性があります。
そのため、犯罪行為によって利益を得ている場合には、その犯罪だけではなく税金の問題についても考慮しておく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。
初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。
詐欺で得た利益と所得税~①~
犯罪行為によって得た利益も所得税の課税対象となるのでしょうか。
本日と次回の2回にわたって、詐欺の事例をもとに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
大阪市福島区Aさんは、友人にうその投資話を持ち掛け、Aさんの話を信用した友人から投資に充てるためとして4500万円を預かりました。
Aさんは預かった4500万円を遊興費などに費消しましたが、友人をだまして得たお金なので、確定申告はしていませんでした。
後日、Aさんは大阪福島税務署から税務調査を受けることになり、今後のことが不安になったAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談を利用することにしました。
(フィクションです)
解説
所得税法における所得の意義
日本の所得税法上は、所得について明確な定義規定はありません。
しかし、すべての経済的利益を所得とする、いわゆる包括的所得概念を採用しているものと解されています。
すべての経済的利益が所得であるとすると、違法または無効な行為によって生じた利益についても所得に含まれることになります。
この点について、所得税基本通達36-1は、「法第36条1項に規定する『収入金額とすべき金額』又は『総収入金額に算入すべき金額』は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」と規定しています。
したがって、本件のAさんが詐欺によって得た利益についても所得として確定申告をする必要があるということになります。
一時所得か雑所得か
詐欺によって得た利益についても所得税の確定申告が必要な課税対象となることはわかりましたが、確定申告をするにあたっては、詐欺によって得た利益が「一時所得」か「雑所得」かが問題となります。
なぜならば、一時所得と雑所得では税額を計算するベースとなる「課税所得金額」に大きな差がでるからです。
①一時所得の場合
(一時所得の金額-必要経費-特別控除額)×2分の1=一時所得の課税所得金額
という計算式で求めます。
本件のAさんの場合、(4500万-0円-50万)÷2=2225万円となり、2225万円が一時所得の課税所得金額となります。
※一時所得の金額から経費を差し引いた金額が50万円以上の場合、特別控除額は50万円
Aさんに他に収入がない場合には、総所得金額も2225万円となるため、所得税の税率は40%となります。
また、この場合の所得税の控除額は279万6000円です。
そのため、Aさんに課税される所得税は2225万×0.4-279万6000円=610万4000円となります。
②雑所得の場合
雑所得の金額-必要経費=雑所得の課税所得金額
という計算式で求めます。
本件のAさんの場合、4500万-0円=4500万円となり、4500万円が課税所得金額となります。
4000万円を超えている場合の所得税の税率は45%、控除額は479万6000円です。
そのため、Aさんに課税される所得税は4500万×0.45-479万6000円=1545万4000円となります。
このように、一時所得か雑所得かでは、所得税の額に2倍以上の差が出てしまうことになります。
では、本件のAさんの場合には一時所得と雑所得のいずれに当たる可能性が高いでしょうか。
この点について、最高裁は「所得税法上、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得および譲渡所得以外の所得で、営利を目的とする継続的行為から生じた所得は、一時所得ではなく雑所得に区分されるところ、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否かは、文理に照らし、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判断するのが相当である」と判示しています(最判平成29年12月15日)。
そのため、一時所得か雑所得かの区別は、ほかの8種類の所得に当たらないことを前提として、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」といえるか否かが主な基準となっているということができるでしょう。
本件のAさんの場合には、1度に4500万円をだまし取っているのであれば、継続的行為とは明らかにいえないので、一時所得に当たるということになるでしょう。
一方、何回かに分けてだまし取っていた場合には、行為の期間や回数、頻度そのほかの態様など判例が示している考慮要素をもとに判断していくことになり、一概にどちらに当たるということは難しいといえます。
一時所得に当たるのか否かについては、このように様々な考慮要素をもとに判断していくことになるため、一度専門家に相談してみるのがよいでしょう。
次回はペナルティと刑事罰について解説します。
~次回に続く~
金の密輸は税法違反
金の密輸事件を参考に、脱税違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事例
Aさんは、東南アジアで金を買い付け、日本に持ち帰って買い取り業者に売るという行為を繰り返していました。
金売買の利益について、確定申告をしていなかったAさんのもとに、大阪の北税務署が税務調査に入ってしまい、今後どうなるのか心配になったAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の法律相談を受けることにしました。
(この事例はフィクションです)
金密輸に関係する犯罪
今回のAさんが行っていた行為は金を海外で購入し、日本に持ち帰って日本で売るというものです。
ここでまず「金を日本に持ち帰ることが違法かどうか」です。
海外で購入したものを日本に持ち帰ることは輸入に当たるといえますが、金を日本に持ち帰る場合には、注意が必要です。
なぜなら、①重量が1キログラムを超える金の地金(純度90%以上)又は②ほかのお土産と合わせて20万円を超える金の地金を携帯輸入する場合には、事前に税関で申告する必要があるからです。
このような場合に、無申告で日本に持ち帰ると、「関税法違反」として処罰の対象となります。
関税法違反となる場合には、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金またはその両方の刑罰が科せられる可能性があります。
次に、Aさんは金を売った利益について確定申告をしていないので、税金を免れているといえるでしょう。
この場合に問題となるのは、消費税法、所得税法、地方税法です。
Aさんは、金を売っていますが、この際に消費税が課されます。
また、金を売った利益は所得といえますので、利益に応じて所得税や住民税が課せられることになります。
しかし、Aさんは、確定申告を行っていないので、これらの税をきちんと納めていないことになります。
そうすると、消費税法違反や所得税法違反、地方税法違反という罪に問われてしまう可能性があります。
この場合の罰則は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科となっています。
手続きの流れ
今回のAさんは、大阪の北税務署から税務調査を受けることになっています。
税務調査は、所得隠しの疑いがあったりする場合に、確定申告の内容が適切かどうかを見極めるために行われるもので、任意調査です。
しかし、この税務調査で所得隠しが明るみになり、意図的に所得を隠していて悪質性が高かったり、無申告にかかる税額が多額に上ったりした場合には、国税局の査察調査を受けることになります。
査察調査は、強制調査として行われ、刑事告発を視野に行われます。
国税局査察部が会社などに立ち入り、必要な資料などを強制的に押収して聴き取り調査などを行います。
その後、刑事告発するかどうかが検討され、刑事告発すべきとなった場合には、検察庁に対して告発がなされ、以後は刑事事件として捜査を受けることになります。
多くの場合には逮捕されて捜査を受けることになり、その後刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判では、有罪無罪のほか、有罪の場合には実刑か執行猶予判決か、罰金をいくら併科すべきかが決められます。
このように、脱税を疑われる場合には、税務調査から査察調査、刑事事件手続まで発展する可能性があります。
どのように対処すべきか
税務署の税務調査が入った場合には、まずは専門家に相談することをおすすめします。
なぜ税務調査が入ったのかを専門家である税理士や弁護士とともに検討して、査察調査に発展したり、刑事事件化してしまう可能性があるのかを確認してもらいましょう。
場合によっては、修正申告などで十分対応することが可能です。
しかし、査察調査や刑事事件に発展する可能性がある場合には、より慎重な対応が必要です。
告発をされないために、修正申告を行い未納の税額を早急に収めたり、聴き取り調査に対してきちんと対応したりできるかが重要となってきます。
また、刑事事件となって捜査を受けることになった場合には、逮捕されないための活動や不起訴獲得に向けた活動、さらには刑事裁判に対する準備なども早い段階から行っていくことが必要です。
特に査察調査が入った場合には、告発率は70%程度と言われていますので、刑事事件化を見据えて刑事事件に強い弁護士にも相談し、どのように対処していくべきか確認していくべきでしょう。
今回のAさんの場合には、持ち帰った金の量や回数、得た利益など様々な要素によって、その後の手続きの流れは変わってきます。
税法違反となれば法律上定められている刑罰も重いので、早期に専門家に相談してください。