Archive for the ‘消費税・相続税’ Category
【インボイス制度がはじまりました!】
本年10月からインボイス制度が実施されました。
いまさらながら、インボイス制度とはどういうものか再確認してみましょう。
インボイスとは何か?
インボイスとは、日本語では「適格請求書」と言われます。これは、一定の商品の取引に際し、「売手から買手に対し、正確な適正税率、消費税額等を伝えるための手段」とされ、従来の請求書に
①事業者(売手)の登録番号
②適用税率
③税率ごとに区分した消費税額
の3つを要件として追加して記載した請求書のことを言います。
このインボイスは、請求書であり、売手側が買手側に発行することになります。すると、買手側にはどのような効果が生じるのでしょうか。
買手のメリット
買手は、このインボイスをなくすことなく保存することにより、税申告時に「仕入税額控除」を受けることができるのがメリットです。
「仕入税額控除」とは、インボイスの中には、上記のとおり③消費税額が記載されており、買手は、この消費税額含めた仕入代金額を売上金から差し引くことにより、課税対象となる収益が消費税額分だけ低くなることから納税額が抑えられるという仕組みになっています。
具体例では
たとえば、100万円の原料を消費税込みの110万円としてインボイスを受け取った買手は、製品として200万円の売上金を得た場合に、200万円-110万円=90万円(収益)となります。これに対し、同じ原料をインボイスの登録事業主でない売手から仕入れて200万円で売り上げた場合、仕入れ代金が消費税込みで110万円であったとしてもインボイスでない一般の請求書の場合には「仕入税額控除」として10万円を計上することができず収益は、200万円-100万円=100万円となり、消費税分の所得控除が受けられないことになります。
これが買手のメリットとなります。
また、インボイス発行者、受領者に共通するメリットとして、消費税の取扱の簡素化、迅速化につながるメリットもあるでしょう。
免税事業者の場合には?
申告期間の売上が1000万円以下の事業者は、たとえ、取引先から消費税額を受け取っていても、売上が1000万円以下ならば、免税事業者として消費税の申告は要りません。
では、1000万円前後の売上の場合、インボイスを発行する登録事業者として登録すべきか、免税事業者のままでいるかが悩ましい事業者の場合はどうなるでしょうか。
登録すると原則として、インボイスを発行できることとなり、買手がそのインボイスを受け取り、「仕入税額控除」を受けることができ、良好な取引先として取引を継続してくれることにつながるでしょう。
これに対し、登録せず免税事業者のままでいるならば、自身の消費税申告は確かに不要となりえますが、インボイスを発行できないことから、買手に「仕入税額控除」を不適用ならしめることから、取引先として敬遠されてしまいます。その結果、取引先を失いかねず、結局、総売上の減少を招きかねないおそれがあります。また、ひとたび登録事業者となった場合、1000万円以下の売上であったとしても、登録から2年間は免税事業者に戻ることができません。
経営戦略
果たして、ご自身の場合にも、業種、経営資金力、売上高、消費税の納付の要否、マーケッティング、取引先関係を踏まえた上、インボイスの登録事業者となる途を選ぶかどうか熟慮を要するところです。
もし、迷われたなら、弁護士、税理士に相談することをお勧めします。
金密輸が発覚すると厳しい処罰も
金密輸について、発覚するとどのような処罰が考えられるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.金密輸に関係する犯罪
金密輸の事例としては、東南アジアなどで金を買い付け、日本に持ち帰って買い取り業者に売るというものがあります。
海外で購入したものを日本に持ち帰ることは輸入に当たるといえますが、金を日本に持ち帰る場合には、注意が必要です。
①重量が1キログラムを超える金の地金(純度90%以上)又は②ほかのお土産と合わせて20万円を超える金の地金を携帯輸入する場合には、事前に税関で申告する必要があります。
このような場合に、無申告で日本に持ち帰ると、「関税法違反」として処罰の対象となります。
関税法違反となる場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金またはその両方の刑罰が科せられる可能性があります。
また、日本で売買することによって得た利益については、所得となります。
この場合に問題となるのは、消費税法、所得税法、地方税法です。
金を売った利益が所得となるため、所得税や住民税の確定申告が必要になりますし、売った場合には消費税の納税義務も生じます。
そのため、確定申告をしていなかったり、消費税の納付をしていない場合には、消費税法違反や所得税法違反、地方税法違反という罪に問われてしまう可能性があります。
この場合の罰則は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科となっています。
2.手続きの流れ
金の密輸が疑われる場合、税関から通報され警察の捜査が開始されることもありますが、税務調査によって発覚する場合もあります。
税務調査は、所得隠しの疑いがあったりする場合に、確定申告の内容が適切かどうかを見極めるために行われるもので、任意調査です。
しかし、この税務調査で所得隠しが明るみになり、意図的に所得を隠していて悪質性が高かったり、無申告にかかる税額が多額に上ったりした場合には、国税局の査察調査を受けることになります。
査察調査は、強制調査として行われ、刑事告発を視野に行われます。
国税局査察部が会社などに立ち入り、必要な資料などを強制的に押収して聴き取り調査などを行います。
その後、刑事告発するかどうかが検討され、刑事告発すべきとなった場合には、検察庁に対して告発がなされ、以後は刑事事件として捜査を受けることになります。
多くの場合には逮捕されて捜査を受けることになり、その後刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判では、有罪無罪のほか、有罪の場合には実刑か執行猶予判決か、罰金をいくら併科すべきかが決められます。
このように、脱税を疑われる場合には、税務調査から査察調査、刑事事件手続まで発展する可能性があります。
3.どのように対処すべきか
税務署の税務調査が入った場合には、まずは専門家に相談することをおすすめします。
なぜ税務調査が入ったのかを専門家である税理士や弁護士とともに検討して、査察調査に発展したり、刑事事件化してしまう可能性があるのかを確認してもらいましょう。
場合によっては、修正申告などで十分対応することが可能です。
しかし、査察調査や刑事事件に発展する可能性がある場合には、より慎重な対応が必要です。
告発をされないために、修正申告を行い未納の税額を早急に収めたり、聴き取り調査に対してきちんと対応したりできるかが重要となってきます。
また、刑事事件となって捜査を受けることになった場合には、逮捕されないための活動や不起訴獲得に向けた活動、さらには刑事裁判に対する準備なども早い段階から行っていくことが必要です。
特に査察調査が入った場合には、告発率は70%程度と言われていますので、刑事事件化を見据えて刑事事件に強い弁護士にも相談し、どのように対処していくべきか確認していくべきでしょう。
金密輸の場合には、悪質性が高いとして、比較的長期の懲役刑が科される可能性もありますし、併せて利益の3割程度の罰金刑も科される可能性があります。
刑罰とは別に、本来納めるべきであった税額に重加算税などの追徴課税も課せられることになるため、金銭的なペナルティが非常に重いものになります。
早期に弁護士や税理士などの専門家に相談して対応していきましょう。
一人親方とインボイス
令和5年10月1日からインボイス制度が始まります。今回は個人事業主である一人親方がインボイス制度によってどのような影響を受けるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
インボイス制度とは
インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、買い手が仕入税額控除の適用のために、原則として売り手から交付を受けたインボイス(適格請求書)を保存する必要があり、売り手は、インボイスを交付するために事前にインボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)の登録を受ける必要があり、登録を受けると、課税事業者として消費税の申告が必要となる制度です。
仕入税額控除とは
仕入税額控除とは、売り上げの税額から仕入や経費の消費税額を差し引いて納付する消費税額を算出することができる制度です。
納付する消費税額(納付税額)=売り上げの消費税額(売上税額)-仕入や経費の消費税額(仕入税額)という計算式で計算することになります。
インボイス制度が開始すると、仕入税額控除にはインボイスの保存が必要になるので、インボイスがなければ仕入税額控除ができないことになります。
具体例
仕入先(材料業者)から12,100円(うち消費税相当額1,100円)で材料を仕入れたA社(製造業者)が、16,500円(うち消費税相当額1,500円)でB社(小売業者)に製品を販売し、B社が消費者に19,800円(うち消費税相当額1,800円)で製品を販売した場合
①A社がインボイス発行事業者の場合
A社がB社にインボイスを交付し、B社が交付を受けたインボイスを保存して仕入額控除を行えば、
B社の売り上げ税額である1,800円から、A社からの仕入税額である1,500円を差し引いた300円がB社の納付税額となります。
②A社がインボイス発行事業者でない場合
B社は仕入税額控除ができないため、1,800円が納付税額となります。
※ただし、令和5年10月~令和8年9月までは仕入税額の80%、令和8年10月~令和11年9月までは仕入税額の50%が控除できる経過措置があります。
例えば、令和5年11月にインボイスがない取引をした場合、B社は売り上げ税額の1,500円の80%にあたる1,200円を控除することができるので、1,800-1,200=600円が納付税額となります。
インボイス制度が一人親方にあたえる影響
一人親方は個人事業主です。
個人事業主の場合、前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合には、消費税を納める義務が免除されています。
このような消費税の納税義務を免除されている事業者のことを「免税事業者」と呼びます。
しかし、インボイスを交付するためにはインボイス発行事業者となる必要があり、インボイス発行事業者は課税事業者となります。
すなわち、消費税を納税する義務がある事業者ということになり、免税事業者ではなくなります。
インボイス制度により取引に影響が生じると考えられるのは、売上先の事業者が仕入税額控除をしようとする場合に、インボイスの保存が必要とされる場合です。
売上先が消費者や免税事業者である場合には、仕入税額控除を行わないため、インボイスの保存を必要とせず、インボイス制度が始まったからといって影響はありません。
また、売上先事業者が簡易課税制度(前々年の課税売上高が5000万円以下の事業者で、届け出をしている場合には、仕入税額控除をみなし仕入れ率によって計上することができる制度)を採用している場合にもインボイスの保存が不要なので、影響はないといえます。
それ以外の場合には、仕入税額控除のためにインボイスの保存が必要とされるため、取引先からインボイスの交付を求められた場合に、インボイスが交付できないと取引を打ち切られてしまう可能性があります。
そのため、免税事業者のままであるべきか、インボイス発行事業者となり課税事業者となるべきかは取引先との関係によって検討すべきです。
一応、免税事業者からインボイス発行事業者となった場合には、令和5年10月1日~令和8年9月30日までの課税期間については、「2割特例」が適用されます。
「2割特例」とは、納付する消費税額を売上税額の2割とする制度で、インボイスの保存が不要となっています。
しかし、期間が定まっていることと、インボイスの保存が不要とはいえ、インボイス発行事業者となることが前提とされている制度ですので、特例適用期間経過後は通常通り課税されてしまうことになるため、注意が必要です。
一人親方の方は
インボイス制度という新しい制度により、これまで免税事業者として活動していた個人事業主である一人親方は、取引先の選択などで大きな影響を受けてしまう可能性があります。
これまでの売り上げや取引先との取引条件などをインボイス制度が始まる前にしっかりと見直し、インボイス発行事業者となるべきかどうかを慎重に検討すべきです。
また、これまで消費税を納税していなかった場合、今後は消費税を納税しなければならなくなる可能性があるため、確定申告についての知識も必要です。
制度開始が間近に迫っている今、専門家にアドバイスをもらうなどして、自分はどうすればいいのか検討しましょう。
相続税はややこしい?~②~
相続税がかかる場合や、相続税の計算方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が2回に分けて解説します。
第2回目は、相続財産から控除できる費目や、相続税の実際の計算方法について具体例を参考にしながら解説します。
相続財産の価額から控除できる債務と葬式費用
被相続人の「債務」と被相続人の葬式に際して相続人が負担した「葬式費用」は、相続財産の価額から差し引かれます。
差し引くことができる債務には、借入金や未払い金などのほか、被相続人が納めなければならなかった税金で、まだ納めていなかったものも含まれます。
また、葬式費用とは、①お寺などへの支払い、②葬儀社への支払い、③お通夜に要した費用などです。
なお、墓地や墓碑などの購入費用、香典返しの費用や法要に要した費用などは、葬式費用に含まれません。
相続税の計算
【具体例】財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額が1億円で、配偶者が8000万円、子2人が1000万円ずつ相続した場合
①まず、課税遺産総額を算定
課税価格の合計額:1億円
基礎控除額:3000万円+(600万円×相続人の数3人)=4800万円
課税遺産総額:課税価格の合計額-基礎控除額=1億円-4800万円=5200万円
②次に課税遺産総額を法定相続分で按分
法定相続分とは、法律上定まっている相続割合のこと。子及び配偶者が相続人のときは、子の相続分と配偶者の相続分は各2分の1となります。
具体例のように、子が二人の場合には、2分の1をさらに二人で分けることになるため、子の法定相続分はそれぞれ4分の1となります。
そのため、課税遺産総額を法定相続分で按分した場合
配偶者:5200万円×2分の1=2600万円
子:5200万円×4分の1=1300万円
となります。
③相続税の総額を算定
相続税の総額は、課税遺産総額を法定相続分で按分した額にそれぞれ相続税率を掛け、控除額を差し引いた額を足し合わせたものとなります。
1000万円を超え、3000万円以下の場合の相続税率は15%です。またこの場合の控除額が50万円となっています。
そのため、配偶者:2600万円×15%-50万円=340万円、子:1300万円×15%-50万円=145万円となります。
相続税の総額は、340万円+145万円+145万円=630万円となります。
④相続税の総額を実際の相続割合で按分
具体例の相続割合は、配偶者:子:子=8:1:1です。
そのため、配偶者:630万円×0.8=504万円、子:630万円×0.1=63万円となります。
⑤実際に納付する税額を算出
按分した税額から税額控除の額を差し引いた後の金額が実際に納付する相続税額となります。
今回は、配偶者の税額軽減措置のみが適用されたとして考えていきます。
配偶者の税額軽減措置とは、被相続人の配偶者の課税価格が1億6000万円までか、配偶者の法定相続分相当額までであれば、配偶者に相続税がかからないという措置のことです。
そうすると、具体例の場合、実際に納付する相続税額は、配偶者:0円、子:63万円、子:63万円となります。
相続税はややこしい?
これまで相続税に関する基本的な内容を見てきました。
相続税には基礎控除額が3000万円+(600万円×相続人の数)というある程度大きな金額が定められており、相続税がそもそもかからない人も多いと思われます。
しかし、生前に贈与を受けた金銭が相続財産に含まれたりと、実際に相続が発生した段階で現存する財産以外も相続税が課せられる財産に含まれてしまう可能性があります。
そのため、相続税がかかるかかからないかについては、専門家に依頼して、しっかりと見極めてもらう必要があります。
また、相続財産の額によって相続税率が変わりますし、そもそも相続税を計算する計算式も民法の知識が必要であったりして複雑です。
相続が発生した場合には、お葬式など様々な行事に手間をとられて大変だと思いますが、税金についておろそかにすると、のちのち追徴課税などで痛い出費になってしまう可能性もあります。
専門家に任せることで、手間も減らせることになりますので、早めに専門家に相談しましょう。
相続税はややこしい?~①~
相続税がかかる場合や、相続税の計算方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が2回に分けて解説します。
第1回目は、相続税とは何か、相続税が課される財産にはどのようなものがあるかについて解説します。
相続税とは
相続税とは、人が亡くなった場合に、その亡くなった人の財産を相続した人に対して課せられる税金です。
亡くなった人のことを「被相続人」、亡くなった人の財産を相続した人を「相続人」といいます。
相続人の範囲について、配偶者(被相続人の夫又は妻)は常に相続人となります。
被相続人の子も相続人となります。
被相続人に子がいない場合には、父母(父母が亡くなっており、祖父母が健在である場合には祖父母)が配偶者とともに相続人になります。
被相続人に子がなく、父母・祖父母も亡くなっている場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
相続税の申告と納税
相続税の申告をする必要がある場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月目の日までに、被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税の申告書を提出するとともに、納付税額が算出される場合には、納税しなければなりません。
申告書の提出期限に遅れて申告と納税をした場合には、原則として加算税及び延滞税がかかります。
相続税が課される財産
①被相続人が亡くなった時点において所有していた財産
土地、建物、株式などの有価証券、預貯金、現金などのほか、金銭に見積もることができるすべての財産が相続税の課税対象となります。
そのため、日本国内に所在する財産のほか、日本国外に所在する財産も相続税の課税対象となります。
なお、財産の名義にかかわらず、被相続人の財産で家族の名義となっているものなども相続税の課税対象となります。
②みなし相続財産
被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」や「退職金」などは、相続などによって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
ただし、「生命保険金」や「退職金」のうち、一定の金額までは非課税となります。
※一定の金額の算定方法
500万円×法定相続人の数×(その相続人の取得した保険金等の合計額÷相続人全員の取得した保険金等の合計額)
③被相続人から取得した相続時精算課税適用財産
被相続人から生前に贈与を受け、贈与税の申告の際に相続時精算課税を適用していた場合、その財産は相続税の課税対象となります。
この場合、相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額を相続税の課税価格に加算します。
④被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産
被相続人から相続などによって財産を取得した人が、被相続人が亡くなる前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税対象となります。
この場合、相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額を相続税の課税価格に加算します。
~②~に続く
【告発事例】消費税免税制度を悪用した消費税不正受還付事案
大阪国税局が発表した令和4年度査察の概要に紹介されている、消費税免税制度を悪用した消費税不正受還付事案を大阪国税局が告発した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
A社は、日用品の輸出販売のほか、輸出物品販売場の経営等を行うものですが、取引事実がないにもかかわらず、不正加担者と共謀して、同人が主宰する法人から化粧品等を仕入れたかのように装い架空の課税仕入れを計上し、当該化粧品等を輸出物品販売場において外国人観光客に販売したかのように装い架空の免税売り上げを計上する方法で、不正に消費税等の還付を受け、又は受けようとしました。
消費税免税制度とは
先週のブログで某有名百貨店が追徴課税を受けた事件を紹介しましたが、そこで問題となったものも消費税免税制度でした。
消費税免税制度は、消費税免税店において外国人観光客などに消耗品などを販売した場合、一定の要件のもと、消費税が免税される制度です。
物品を仕入れる際に仕入先に対して消費税を支払っている場合、仕入れた物品を免税対象者に対して免税物品として販売すると、その物品に関する消費税は免税されることになります。
そうすると、仕入先に支払った免税販売物品にかかる消費税について、免税店は税務署に対して消費税の還付を申請することができ、支払った消費税を取り戻すことができます。
事例で問題となっている化粧品は消耗品として免税対象物品に入っているため、仕入れの際に消費税を支払っていれば、それを免税販売した場合には、仕入れにかかった消費税が還付されることになります。
消費税免税制度の悪用
今回の事例では、上記消費税免税制度を悪用したということができます。
実際には仕入れていないのに、化粧品を消費税を支払って仕入れたように装って、なおかつ、外国人観光客に免税販売したように装って、その分の消費税の還付を申請しているからです。
全く取引実績がないのに、取引があったように装っている点で、悪質性の高い仮装行為ということができますし、それによって還付を請求したことは、詐欺にも該当するような行為を行っていたということができます。
先週のブログで紹介した百貨店の事例では、免税販売における必要な確認が不十分なことが原因で、本来であれば免税とはならない取引についても免税対象としてしまっていたということが問題とされていました。
この場合には、実際に取引はありますし、意図的に隠ぺいや仮装を行ったというよりも、不注意による申告漏れという側面が強いといえます。
そのため、告発はされずに追徴課税がなされるにとどまっていました。
しかし、今回の事例では、非常に悪質性が高い方法により消費税の還付を受けているということで、告発をされたといえるでしょう。
告発されるとどうなるか
国税局から告発されると、告発を受けた検察庁が刑事事件として捜査を開始します。
通常の刑事事件では警察が捜査をするのが一般的ですが、脱税事件の場合には、いきなり検察庁が捜査をすることになります。
今回の事例では大阪地方検察庁が捜査をすることになります。
それまでの税務調査や査察調査では身体拘束をされることはありませんが、刑事事件としての捜査が開始されると逮捕される可能性が出てきます。
事件を否認している、脱税方法が悪質、共犯者多数、脱税額が巨額などの場合には、逮捕される可能性が高いといえます。
また、告発をされると報道されるリスクも格段に上がります。
検察庁が捜査をした後は、多くの場合、起訴されます。
告発事件の起訴率はおよそ7割です。
起訴されると、刑事裁判が開始されます。
身体拘束状態であれば保釈が認められない限り、身体拘束を受けたまま裁判を受けることになってしまいます。
裁判で有罪判決を受けると、実刑判決の場合には、刑務所に入ることになってしまいます。
執行猶予付きの判決だった場合には、刑務所にいきなり入ることはないですが、基本的に罰金刑が同時に言い渡されるので、罰金は払わないといけなくなります。
罰金の金額は脱税額の2~3割ぐらいが相場と言われています。
追徴課税は別に受ける
告発を受けて捜査や裁判を受けることになっても、追徴課税は別に受けることになります。
追徴課税とは、申告をしていなかった場合の無申告加算税や少なく申告していた場合の過少申告加算税など、本来納めるべき税額の他にペナルティーとして課される税金のことです。
悪質性が高いと、無申告加算税や過少申告加算税に代えて、より税率の高い重加算税が課せられる場合もあります。
特に、告発を受けた事件であれば、重加算税が課される可能性は高いと言えるでしょう。
不正に消費税還付を受けてしまったら
追徴課税や刑事罰に問われる可能性がありますので、早期に対応する必要があります。
不正に還付を受けてしまった金員を返還することは減軽につながります。
刑事事件化した場合には、身体拘束を避けたり、裁判で重い刑罰を受けないようにするために、刑事事件に強い弁護士に依頼するようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した弁護士が全力でサポートします。
【報道解説】阪急阪神百貨店に追徴課税
阪急阪神百貨店に追徴課税がなされたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
報道の内容
阪急百貨店や阪神百貨店の一部店舗で、消費税の免税が認められない日本に住む外国人に対し、免税の形で化粧品などを販売していたとして、大阪国税局がおよそ2億円を追徴課税した。
商品の転売が疑われる取引が相次ぎ、去年3月期までの3年間でおよそ20億円分について免税の要件を満たしてないと指摘された。
阪急阪神百貨店が運営する一部の店で、外国人観光客に化粧品などを販売する際に、パスポートなどで入国時期の確認をすることや、繰り返し大量に商品を購入していないかを確認することを怠り、不適切な免税販売が相次いで確認された。
大阪国税局の調査では、日本に住む中国人などが免税販売の要件の50万円に収まるように49万円台の購入を繰り返しているのが確認され、転売目的だった疑いがある。
(令和5年7月27日 NHK 関西 NEWS WEBより抜粋)
免税販売とは
通常、物品を購入する際には、消費税が課されますが、外国人旅行客などが購入する場合には、一定の要件のもと消費税が免税される場合があります。
このような消費税免税対象商品を販売することを免税販売といいます。
消費税の免税を受けるためには、①消費税免税店であること、②免税購入対象者であること、③免税対象商品であることなどの要件が必要になります。
消費税免税店とは
外国人旅行者等の免税購入対象者に対して特定の物品を一定の方法で販売する場合に、消費税を免除して販売できる店舗のことです。
一般型、手続委託型、自動販売機型の3種類がありますが、いずれの場合も申請が必要になります。
消費税免税店以外で物品を購入した場合には、仮にそれが免税対象商品かつ免税購入対象者であったとしても、免税とはなりません。
免税購入対象者とは
「外国為替及び外国貿易法」に規定されている「非居住者」が免税購入対象者となります。
たとえば、一般的な外国人旅行者は「非居住者」になります。
また、日本人であっても、2年以上外国に滞在する目的で出国して外国に滞在しており、かつ、一時的に日本に入国し、滞在期間が6か月未満で出国する者も「非居住者」に含まれます。
一方、外国人であっても、日本国内にある事業所に勤務する者や日本に入国後6か月以上経過している者は、免税購入対象者とはなりません。
免税購入対象者であるか否かを確認するために、パスポートの確認をすることが義務付けられています。
パスポートの①旅券の種類、②旅券番号、③指名、④国籍、⑤生年月日、⑥上陸年月日、⑦在留資格を確認することになっています。
日本に上陸して6か月未満であるかや免税ができる在留資格かどうかを確認します。
免税対象物品とは
通常生活の用に供する物品が国外に持ち出されることを前提に免税対象となりますが、一般物品と消耗品の区分により、免税要件や包装方法が異なります。
①一般物品(家電製品や衣類、宝飾品など)
同一の免税購入対象者に対して、同一店舗における1日の一般物品の販売合計額(税抜)が5000円以上のもの
②消耗品(食品類、医薬品、化粧品等)
同一の免税購入対象者に対して、同一店舗における1日の消耗品の販売合計額(税抜)が5000円以上、50万円以下の範囲内のもの
指定された方法による梱包が必要。
※指定された方法による梱包を行うことなどを条件に、一般物品と消耗品の合算が可能。
報道の事件では
報道された百貨店の事件では、日本に住む外国人が購入していたということですので、免税購入対象者に該当しない人に販売していた可能性が高いということになります。また、国内で転売する目的も疑われるということですので、国外に持ち出されることを前提としている免税対象物品にも該当しない可能性が高いということになります。
そのため、免税対象とならず、本来であれば消費税が課税され、販売店である百貨店は消費税を納税する義務があることになります。
今回は、この消費税分を納税していなかったため、追徴課税がなされたということができます。
免税販売で気を付けることは
免税販売をする上で気を付けないといけないことは、①しっかりと免税購入対象者に該当するかを確認すること、②購入目的を確認することです。
転売目的が疑われる場合には、販売しないという強い姿勢で臨む必要があります。
また、何度も同じ人が購入していないかなどのチェック体制を構築することも必要になります。
免税購入対象者に該当するか否かはパスポートをきちんとチェックすることが大事ですが、中にはパスポートが偽造の場合もあります。
販売店にとっては、これらのチェック体制を整えるための人的物的システムの構築にかかる費用や労力の負担などがネックになるでしょう。
しかし、販売店にとっては、消費税が免税されることによる大きなメリットもあるため、メリットとデメリットを比較して、消費税免税店の申請をするかどうかを決める必要があります。
消費税免税で不安がある場合には、税理士や弁護士など専門家にアドバイスをもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回相談は無料です。
輸入と税金
貿易取引においても税金がかかってきます。今回は輸入にかかる税金について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
輸入品と税金
輸入品に課される税金として主なものは
①関税
②消費税
があります。
①関税には、法律に基づいて設定されている税率(国定税率)と条約に基づいて設定されている税率があります。
国定税率は、関税定率法と関税暫定措置法によって定められています。
②消費税には、国税としての消費税と、地方消費税があります。
税額の計算
①関税の税率計算
原則として輸入申告時の貨物の価格又は数量を課税標準とします。
課税標準額に対して、品目ごとに規定された関税率を乗じた金額が課税される関税の額となります。
物品の種類(素材や材質、製造方法)や輸入元の国・地域、用途によっても関税率が変わってきます。
また、無税とされている(関税率が0%)品目も多くあり、全体の約34%は無税品となっています。
②消費税の税率計算
消費税(10%)は、内国消費税(7.8%)と地方消費税(2.2%)に分けられます。
内国消費税は、CIF価格(端数処理前)と端数処理後の関税額の合計(千円未満切り捨て)に対して課税されます(100円未満切り捨て)。
地方消費税は、内国消費税額の78分の22に当たる額(100円未満切り捨て)です。
また、輸入品のうち飲食料品(外食・酒類を除く)については、軽減税率の対象となるため、消費税率が8%となるものもあります。
この場合には、内国消費税が6.24%、地方消費税が1.76%となります。
※課税価格が1万円以下の物品の場合
課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、一定の場合を除いて関税及び消費税が免除されます。
輸入品を引き取る際の手続き
輸入品を保税地域から引き取ろうとする者は、原則として品名等や関税・消費税の金額などを記載した輸入申告書を保税地域を所轄する税関長に提出し、輸入品を引き取る時までに関税と消費税を納付する必要があります。
あらかじめ税関長の承認を受けた特例輸入者又は輸入通関の手続きを認定通関業者に委託した特例委託輸入者は貨物を引き取った後に関税と消費税を納付することができます。
輸入事後調査
輸入された貨物にかかる納税申告が適正に行われているかを事後的に確認し、不適切な申告を是正し、適切な申告指導を行うことにより適正な課税を確保することを目的として、税関が行う税務調査を「輸入事後調査」といいます。
ここで不正が発覚した場合には、国税局の査察や刑事告発が行われることもあります。
また、税関とは別に税務署などが独自に税務調査を行うことも可能です。
まとめ
貿易取引においても、税金の問題は切り離せません。
しっかりと税金について確認し、申告をする必要があります。
万が一、間違った申告をしてしまったら、直ちに修正手続きを行いましょう。
金地金の密輸は告発されやすい?
金地金の密輸は告発されやすいのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
金地金の密輸
金地金を海外から日本に持ち込む場合、①重量が1kgを超える又は②他の物との合計金額が20万円を超えるときには、税関に申告して税金を納める必要があります。
金地金の密輸とは、この申告をしないために消費税の納付を免れることで、消費税分の利益を得ることができるという仕組みになっています。
具体的な例で考えてみましょう。
1kg当たり500万円の金地金を5kg(2500万円相当)を輸入する場合、本来であれば税関で消費税10%に当たる金額(250万円)を納付する必要がありますが、これを納付せずに国内に持ち込み、国内で消費税相当額250万円を上乗せして売却することにより、密輸入者は250万円の利益を得ることができます。
きちんと納税をして売却しても売却益を得ることができますが、消費税分の利益と比べれば微々たるものとなってしまいます。
そのため、金地金の密輸は後を絶たず、財務省は金地金の密輸に対して2017年以降「ストップ金密輸」という対策を打ち出しており、それに伴い、関税法や消費税法の罰則が強化されています。
金地金密輸の告発事例
令和4年11月9日に財務省が行った報道発表によれば、令和3年の告発事例として以下の2事例が紹介されています。
①航空機旅客による金地金の密輸
Aらが、シンガポールから入国する際に、金地金約18kgを税関長の許可を受けることなく輸入し、消費税等約649万円を不正に免れた事案の告発
②航空貨物を利用した金地金の密輸
Bらが、中国からの航空貨物(スマートフォンホルダー)により、金地金約7kgを税関長の許可を受けることなく輸入しようとし、消費税等約467万円を不正に免れようとした事案の告発
金地金の密輸は告発されやすい
金地金密輸の告発事例で注目すべきは、免れたとされている金額です。
一般的に、査察調査などを経て告発される事案では、免れている税額が3000万円を超えていることが多いとされています。
当然それよりも低い金額で告発されることもあり、2019年7月1日に仙台地裁で下された判決にかかる事例では、逋脱税額が約1500万円でした。
しかし、上記で取り上げた告発事例では、逋脱税額が約649万円や約467万円と非常に少額にもかかわらず告発されているということになります。
この背景には、税関が金密輸への対策を強化していることに加え、国税庁も消費税事案を重点事案として積極的に告発している現状を踏まえたものと考えられます。
金地金の密輸については、関税法上の無許可輸出入罪、消費税の逋脱罪、地方税の逋脱罪の3つの罪が成立することが多いとされています。
この3つの罪は観念的競合となり最も重い刑により処断されることになるため、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科となります。
そして、罰金の上限額については、貨物の価格の5倍が1000万円を超える場合には貨物の価格の5倍、脱税額の10倍が1000万円を超える場合には脱税額の10倍まで上限を引き上げることができることになっています。
金地金の密輸事件については、告発されやすく、逮捕される可能性もあります。
不安な方は早めに弁護士に依頼をして、身体拘束からの解放や不起訴の獲得、実刑判決の回避などに向けた対策をとるのが有効です。
インボイス制度が一人親方に与える影響
インボイス制度が導入されることにより、建設業などの一人親方や小売店などの個人事業主にどのような影響が出るのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
インボイス制度とは
インボイス制度は、2023年10月1日から導入される新しい仕入税額控除の仕組みです。
インボイスとは、「適格請求書」という意味で、インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」といいます。
「仕入税額控除」とは、納付する消費税額を算出する際に、売り上げの消費税額(売上税額)から仕入れや経費の消費税額(仕入税額)を差し引くことができますが、この仕入税額を差し引くことをいいます。
仕入税額控除を受けるためには、現在は「区分記載請求書等保存方式」が採用されており、一定の事項が記載された帳簿の保存と区分記載請求書等の保存が必要でしたが、インボイス制度が導入されると区分記載請求書等の保存に代えて、適格請求書(インボイス)等の保存が必要になります。
そして、適格請求書(インボイス)を交付することができるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」に限られることになります。
つまり、買手は売手から適格請求書(インボイス)の交付を受けて保存しなければ、原則として仕入税額控除をすることができなくなるということになります。
仕入税額控除の具体例
A社(仕入先)から、B社(課税事業者)が本体価格10万円で商品を仕入れ、B社は消費者に本体価格20万円で商品を販売した場合を考えてみましょう。
消費税は10%(消費税と地方消費税を合わせたもの)なので、仕入れにかかる消費税額(仕入税額)は10万円の10%で1万円、販売にかかる消費税額(売上税額)は20万円の10%で2万円となります。
①A社が適格請求書発行事業者の場合
A社からインボイスの交付を受けたB社は、従来通り仕入税額控除が可能となるので、売上税額の2万円から仕入税額の1万円を差し引いた1万円を消費税として納付すればよいことになります。
B社が納付すべき消費税額=売上税額2万円-仕入税額1万円=1万円
※この場合、仕入税額の1万円については、仕入先であるA社が納付することになります。
②A社が適格請求書発行事業者ではない場合
B社はインボイスの交付を受けることができないため、仕入税額控除ができないことになります。
そうすると、売上税額=納付すべき消費税額となってしまい、B社は2万円を納付しなければならなくなります。
※なお、制度開始後6年間は、仕入税額の一定割合(令和5年10月~令和8年9月までは80%、令和8年10月~令和11年9月までは50%)を控除できます。
一人親方への影響
①取引先から契約を切られる可能性
インボイス制度が導入されると、適格請求書を発行できない事業者からの仕入れは「仕入税額控除」が認められないことになります。
仕入税額控除が認められないことになると、取引先(仕入れる側)が納めなければならない消費税額が増えてしまうということになります。
そのため、適格請求書を発行できない事業者との取引を取引先がやめてしまう可能性があります。
②課税事業者になる必要
①で適格請求書が発行できない場合には、取引先からの取引を切られる可能性があることがわかると思います。
そのため、適格請求書を発行するために「適格請求書発行事業者」となる必要性が出てきます。
しかし、適格請求書発行事業者になるためには、「課税事業者」である必要があります。
そのため、これまで年間の課税売上高が1000万円以下のフリーランスや個人事業主は、消費税の免税事業者として、消費税の納税が免除されていましたが、適格請求書発行事業者となるために、1000万円以下の売上高しかない個人事業主の方も課税事業者となる必要があります。
一人親方の方たちについても、課税売上高を1000万円以下に抑えることで、これまで消費税の免税を受けてきた方々も多いと思いますが、適格請求書を発行するためにその免税を受けられなくなる不利益が生じるということになります。
そのため、これまで消費税納税額の分だけ得をしてきた免税事業者である一人親方の方も、インボイス制度で適格請求書発行事業者になることにより納税義務が生じることになってしまいます。
インボイス制度の導入により、一人親方の方、特に免税事業者であった一人親方の方には大きな影響が出ることになります。
早めに取引先と取引内容の確認や交渉を行ったり、適格請求書発行事業者になるための申請などをする必要があるので、わからないことがあれば専門家に相談してみましょう。