Archive for the ‘税法全般’ Category

【国税庁発表】令和5年度査察の概要

2024-08-21
査察調査の概要

国税庁が発表した令和5年度査察の概要について、要点は以下のとおりです。

査察の概要とは

査察の概要」は、毎年国税庁が前年度の査察調査に対する取り組みや実績を報道発表するための資料として作成されているものです。
査察調査の件数や検察庁に告発した件数、起訴された事件での有罪事案の紹介、不正資金の留保・費消状況及び隠匿場所、告発の多かった業種などがまとめられています。
また、査察調査を行った事案については、その一部について事例付きで紹介されています。
令和5年度査察調査の概要は令和6年6月21日に公表されました。

令和5年度査察の概要

令和5年度の査察調査の概要としては、
1 査察の処理件数は151件、検察庁に告発した件数は101件、脱税総額(告発分)は約89億円
悪質な脱税者に対して厳正な査察調査を実施、1件当たりの脱税額は8800万円。令和4年度と比較して、告発件数及び脱税総額ともに微減し、告発率66.9%で平成18年以来の高水準だった前年度より7.2ポイント減少したが、引き続き高水準
2 消費税事案、無申告事案、国際事案のほか、社会的波及効果が高い事案を告発
3 一審判決83件全てに有罪判決が言い渡され、9人に対して実刑判決
実刑判決のうち、査察事件単独で最も重いものは懲役4年、他の犯罪と併合されたものは懲役6年
という3項目が紹介されています。

重点事案への取り組み

重点事案への取り組みとして、以下の内容が紹介されています。
① 消費税事案
消費税に対する国民の関心が極めて高いことを踏まえ、27件を告発
消費税の仕入税額控除や輸出免税制度を悪用した不正受還付事案は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い事案であることから、16件を告発
② 無申告事案
納税者の自発的な申告・納税を前提とする申告納税制度の根幹を揺るがす無申告事案について16件を告発
そのうち、不正行為はないものの、故意に申告書を提出しないで税を免れた単純無申告ほ脱事案は11件
③ 国際事案
経済社会のグローバル化の進展に伴い、国境を超える取引が恒常的に行われ、資産の保有、運用の形態も複雑・多様化しているところ、国際取引を利用した脱税への対策が求められている。このような状況の中、外国法人を利用して不正を行っていた事案や海外に不正資金を隠していた事案などの国際事案で23件を告発
④ その他の社会的波及的効果の高い事案
脱税のために虚偽の経費を計上するスキームを節税とうたって、広く納税者を勧誘し、納税者らが当該スキームを利用して法人税及び消費税を免れていた事案、インターネット上の物品の転売やそのノウハウの指南を業とする者が、架空の経費の計上や売上を除外することで、自身の所得税及び主宰法人の法人税を免れていた事案、半導体製造工場の建設が盛んな地域における工場内設備工事事業者が、架空の経費を計上することで、法人税及び消費税を免れていた事案などを告発

不正資金の留保・費消状況及び隠匿場所

脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保されていたが、脱税者が数千万円規模の費消をしていた事例も見られ、その使途としては、高級車両の購入、有価証券等への投資、暗号資産の購入などが見られた。
脱税によって得た不正資金の隠匿場所としては、天井裏、階段下収納、蔵に置かれた木箱などに現金を隠していた事案があった。

その他参考計表

① 税目別の告発件数
所得税14件、法人税59件、相続税1件、消費税27件
② 告発の多かった業種
1位:不動産業 18業者、2位:建設業 16業者、3位:人材派遣業 6業者、4位:小売業 5業者
建設業、不動産業はここ数年1位、2位を占めており、取り扱う金銭の額が多いことからも査察調査で狙われやすい業者といえます。 

申告・納付をしないと多くの税金を払わないといけなくなる

2024-06-19
追徴課税

確定申告や税の納付をしない場合に、ペナルティとしてどのような税金を支払う必要があるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1 附帯税とは

確定申告や税の納付をしない場合、本来納めるべき税(これを本税といいます。)のほかに、ペナルティとして附帯税を納める必要があります。
附帯税とは、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税のことをいいます(国税通則法2条4号)。
なお、このうち、利子税は、ペナルティというよりは、利息のような性質をもつものですので、延滞税と各種加算税がペナルティに当たります。

2 加算税とは

加算税とは、法律で定められた期限内に適正な申告や納付がなされない場合に、本税に加えて賦課されるものです(申告や納付をしなかったことに対するペナルティ)。
法律で定められた期限内に申告はなされたものの税額が過少であった場合に過少申告加算税、申告しなければならない国税でありながら申告すらしなかった場合に無申告加算税、法律で定められた期限内に納付がなされなかった場合に不納付加算税が課されます。
また、そうした申告や納付をしなかった場合において、隠蔽や仮装がある場合に、それぞれの加算税に代えて、さらに重い税率となっている重加算税が課されることになります。

3 加算税が免除されたり減額されたりする場合がある

こうした加算税は、「正当な理由」があるときには、免除されます。
この「正当な理由」は、かなり限定されていて、単に、自身が申告や納付をすべき立場にあったことを知らなかったとしても、「正当な理由」があるわけではありませんが、申告や納付をしなかったことについて、何かしら理由がある場合には、手続の段階にもよりますが、税務署等に交渉していくことが考えられます。
また、そうした「正当な理由」がない場合であっても、調査による更正の予知なくして申告や納付をした場合には、免除されたり、納付すべき加算税が原則的な金額から減額されたりします
調査による更正の予知なくして申告や納付をする場合とは、簡単にいえば、税務調査を受け、申告や納付をすべきであると指摘されそうな立場になる前に、自発的に申告(修正申告など)や納付をする場合です。
最終的には、事案ごとに個別に判断していくしかないですが、申告をすべきかどうかわからない、本来納付すべき税金を納付していないなど不安がある場合には、早い段階で、弁護士や税理士に相談することが必要になってきます。
また、ここで詳しく説明はしませんが、仮に、脱税をし、刑事事件化した場合においても、修正申告をしたかどうかなど一定の事情は、刑事事件においても考慮される対象になってきます。

4 延滞税とは

延滞税とは、法律で定められた期限を過ぎても国税を納付しない納税者に課されるもので、遅延損害金(遅れたことに対するペナルティ)としての性質を持っています。
延滞税にも、加算税とは内容が異なりますが、一定の場合に免除されることになっています。
また、延滞税については、本来納付すべき税金を納付することによって発生しなくなるものですので、こちらも加算税と同様、早い段階で、今後の対応を考える必要性が高いです。

5 最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、所得税法違反など多数の事件を取り扱っています。脱税をしたかもしれない、税務調査を受けることになった、国税庁から告発され刑事事件化するかもしれないなど不安に感じていらっしゃる方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

税務調査において黙秘することは許されるのか

2024-06-12
脱税捜査

税務調査を受けた際の対応、特に、税務署職員等からの質問に対して何も話さないということが許されるのかどうかという点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1 税務調査とは

税務調査とは、国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の当該職員が、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときに、一定の者に質問したり、事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、その提示・提出を求めることをいいます(国税通則法74条の2)。
所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税の調査において、実際に税務調査を行うのは、基本的に税務署職員です。
税務調査の対象となる者については、たとえば、所得税に関する調査においては、納税義務がある者(あると認められる者等を含む。)だけではなく、取引関係者も含まれます。
納税義務がある本人に対する調査を本人調査といい、取引関係者など本人以外に対する調査を反面調査といいます。

2 黙秘することはできない

税務調査においては、納税義務がある本人やそれ以外の者に対し、調査に必要な質問がなされます。
たとえば、帳簿上、雑費として計上されているものの、それに対応する領収書がない場合、どのような取引なのか、領収書があるのかないのか…などです。
それに対して、経費として認められない、私的な費消だったとしても、領収書がない以上、話しをしなければ、難を逃れることができるのではないかという思いが、頭をよぎることもあると思います。
また、日本国憲法においては、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」とされ、いわゆる黙秘権が保障されているので、自身に不利なことを話す必要はないのではないかという思いを抱く人もいると思います。
しかし、結論からいえば、税務調査において、自身に不利な事項だったとしても、黙秘することは許されません。
国税通則法128条2号においては、税務調査における、税務署職員などの「質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するとされています。

3 税務調査は任意ではないのか、求められる対応とは

税務調査は、裁判所の令状が不要であることから、刑事手続における逮捕や捜索差押えなどの強制処分ではなく、任意として行われるものです。
もっとも、先ほど説明したように、税務署職員による質問に対し、答弁をしない、つまり黙秘することによって、別途刑罰を科されるおそれがあることから、事実上(間接的であれ)強制的な側面があることも否定できません。
ですので、税務調査の場面において、必要な説明は、適宜していく必要がありますし、それに伴う資料の提示なども必要になってきます。
税務調査においては、依頼している税理士に立ち会ってもらうこともありますが、弁護士を立ち会わせて、適切な説明をしていくということも有益となってきます。
また、税理士のみを立ち会わせるとしても、税理調査における対応に十分な経験がある方が、より適切な対応をすることができるともいえます。
さらに、仮に、脱税をしているということになった場合には、その先の対応まで必要になってきます。

4 最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、所得税法違反など多数の事件を取り扱っています。税務調査を受けることになり、税務調査での対応や、刑事事件化する可能性があるのかどうか、今後のことを不安に感じていらっしゃる方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

税務調査において事前通知が行われない場合(無予告調査)

2024-05-15
脱税捜査

税務調査において、事前通知が行われない場合もあるのでしょうか、また、その場合、どう対処すべきでしょうか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

税務調査は断れない

納税者の中には、税金を払う必要があるのに全く納税申告をしていない人、あるいは申告はしているものの正しい申告をしていないおそれのある人がいます。課税庁には、こうしたケースの場合、必要に応じて、納税者などに対して質問をし、帳簿書類などを検査する権限が与えられています。このように課税に必要な質問や検査をすることを税務調査といいます。
国税通則法第74条の2~6は、このような質問検査権を定めており、また、同法128条は、質問に対する不答弁、検査の拒否・妨害等については、刑罰が科されることを定めています。したがって、税務調査自体を断ることはできません。
課税庁は、この権限に基づき企業における契約関係や資金の流れ等について詳細な調査を実施することから、本来は、法人税等の課税目的で行われる調査であるにもかかわらず、この調査の過程で、脱税事案のみならず、役職員による横領・背任・詐欺、贈賄等の他の不正行為が発覚することもあります。

事前調査なしの税務調査(無予告調査)

税務調査が行われる場合、課税庁は、納税義務者に対し、あらかじめ、調査を開始する日時・場所、調査の目的、調査の対象となる税目、調査の対象となる期間等を通知しなければならないとされています(国税通則法74条の9・1項)。このように、税務調査が行われる場合には、課税庁から事前連絡があるのが原則です。
しかし、事前連絡なしで、いきなり会社や店舗に調査官が訪れるケースもあり得ます。このような税務調査を無予告調査といいます。無予告調査は、一般的に現金商売の会社に入りやすいと言われています。たとえば現金商売の場合、事前に通知をすることで、その時だけ現金の調整をされてしまうと、税務調査に出向く意味がなくなってしまうからです。
この無予告調査は、法律で認められている調査であり(国税通則法74条の10)、国税庁が出している税務調査手続きに関するFAQ(一般納税者向け)には、「法令の規定に従い、申告内容、過去の調査結果、事業内容等から、事前通知をすると、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、又は、その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこともあります。なお、事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる税目、課税期間や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとしています。」と記載されています。
このように、「事前通知なしの税務調査もあり得る。」ということは頭に入れておく必要があります。

無予告調査の日程変更は場合により可能である

税務調査自体を断ることはできませんが、法律上、やむを得ない事情があれば、日程の変更は可能です(国税通則法74条の9・2項、国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係通達5-6)
ここでいう「やむを得ない事情」とは、典型的には、経営者や経理担当者の入院、家族の葬儀などが該当しますが、「顧問の税理士(あるいは、税法に精通した弁護士)に税務調査の立会を依頼しているが、その人の日程と会わないので今日はその人が立ち会えない。」「調査対応する税理士(あるいは、税法に精通した弁護士)を探す時間が欲しい。」などという事情もやむを得ない事情となり得ると考えられます。
調査のプロである調査官といえども、調査官が言うことが全て正しいとは限らず、事実認定や税法の解釈を誤っていることもあり得ます。このような場合、税務の専門家が立ち会っていれば、事実認定や税法の解釈について適切に反論してもらうことができるなどのメリットがあり、このような反論により税務調査の結果が大きく変わることもあります。
顧問税理士等と無予告で税務調査が入った場合の対処法をあらかじめ話し合っておくのもよいでしょう。

最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

脱税して逮捕されたら勾留を回避できるのか

2024-04-24
逮捕

脱税して逮捕された場合において、その後、勾留を回避することができるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1 逮捕後の流れ

脱税事件に限らず、逮捕された場合、釈放されない限り、検察庁、裁判所での手続があった後、勾留という手続に入ります。
起訴される前の段階において、犯罪の嫌疑を掛けられた人は被疑者と呼ばれますが、この段階での勾留を被疑者勾留などと呼ぶことがあります。
被疑者勾留においては、最初10日間、延長されて更に10日間、最大20日間の身体拘束を受けることになります。
この期間、被疑者や関係者への取調べや証拠物の収集などの捜査が行われます。
そして、勾留期間が満了になるタイミングで、検察官は、被疑者を起訴するかどうかを判断することになります。

2 勾留の要件とは

勾留の要件とは、勾留の理由と必要性に分けられます。
勾留の理由とは、①定まった住居を有しないこと、②罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること、③逃亡し、または逃亡すると疑うに足りる相当な理由があることをいい、いずれかに該当する場合であっても、勾留の理由があるとされます。
また、勾留の必要性は、勾留の理由があったとしても、身体拘束をする必要性と勾留により被る不利益を比較し、前者が大きい場合、認められます。
このように勾留の理由があり、必要性がある場合には、被疑者は、勾留されることになります。

3 勾留を回避する方法

被疑者勾留は、検察官が裁判所に対し勾留請求を行い、それに対し、裁判官が勾留するかどうかを判断します。
そこで、勾留の理由がないことや必要性がないことを主張して、検察官に対し勾留請求すべきでないと交渉をすること、裁判官に対し勾留すべきではないと交渉することが考えられます。
具体的には、既に収集すべき証拠は収集済みであることから、罪証隠滅のおそれがないことを主張したり、被疑者には身元引受人を申し出ている家族がいることから、逃亡のおそれがないことを主張するということが考えられます。
また、勾留された場合でも、一度、裁判所に不服を申し立てる手続もあります。

4 脱税事件の特殊性

脱税事件においては、まず、事件関係者が多いことが想定されます。
事件関係者とは、共犯者だけではなく取引先や従業員など、今回の脱税に関わる人が含まれます。
事件関係者が多いということは、仮に、被疑者勾留をせずに釈放した場合、そうした事件関係者に接触し、口裏合わせをする可能性が高く、結局、これが、罪証隠滅のおそれに該当することになります。
また、脱税した額などによっては、初犯でも実刑の可能性がある事案があります。
そうした事案においては、実刑を免れるために、先ほど説明したような罪証隠滅行為に及んだり、逃亡を図ると判断され、勾留されるという判断もあります。
一方で、脱税事件においては、可能な範囲で早期に税金を納めていくということが重要となりますが、それを実現するためには、逮捕されている被疑者が対応することが不可欠な事案もありますので、釈放の必要性もあります。
また、これは脱税事件に限りませんが、幼い子どもを抱える家族であったり、被疑者自身が持病を抱え、勾留すると大きな不利益を被る場合もあります。
先ほど説明したようなことからすれば、事件関係者が少ないような事案や、実刑を回避できる可能性が高い事案には、早い段階で検察官や裁判官に交渉をすることで勾留を回避できる可能性もあります。

5 最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、所得税法違反、法人税法違反など多数の事件を取り扱っています。脱税事件の容疑を掛けられ、逮捕された方、その親族の方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

脱税事件において刑事告発されても不起訴となる場合について

2024-04-03
起訴

脱税で刑事告発されたら必ず起訴されるのでしょうか、逆にいうと告発されても不起訴となる場合があるのでしょうか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

刑事告発と起訴

ここでいう告発とは、国税局が査察調査の結果、刑事罰を与える必要があると考えた場合に、検察庁に刑事裁判にかけること(起訴)を求めて訴え出ることです。
告発は、基本的に脱税をしてしまった人や会社が所在する地域を管轄する地方検察庁に対して行われます。
告発を受けた検察庁は、その後刑事事件として捜査を開始し、捜査が行われた結果、犯罪の嫌疑が認められれば、起訴されることになります。
起訴された場合には、刑事裁判が始まります。

※脱税事件の流れについてはこちらhttps://datsuzei-bengoshi.com/datuzei_nagare/

判決

国税庁が令和5年に発表した資料によると、査察事件の第1審判決の状況は、令和4年度中の判決件数61件全てが有罪であり、有罪率は100%となっています、このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いのが実情です。

脱税で告発された場合、不起訴となる場合があるのか

既に述べたように、告発を受け、検察でさらに捜査が行われた結果、犯罪の嫌疑が認められる場合には、起訴されることになるのですが、検察統計によると、租税に関する直接税(所得税法、法人税法、相続税法、地方法人税法)関係の犯罪及び間接税(酒税法、消費税法)関係の犯罪を合わせた起訴率は、平成30年から令和4年の5年間をみるといずれも80%を超える高率で推移しており、90%を超えている年もあります。
国税局の査察部が調査を遂げた後、検察官と国税局の間で会議(告発要否勘案協議会)が設けられています。起訴率が高いのは、同会議で告発するかどうかの判断がなされ、検察官によって告発を受理することが認められた事件だけが、実際に告発に至っているという実情があるからです。

どのような場合が不起訴になっているのか

検察統計によれば、少数ながら、告発されても不起訴となっている者がいることも事実です。
ただし、脱税の共犯者等が不起訴になることはあっても、納税義務者が不起訴となることはまずありません。納税義務者は、脱税の主犯であり、脱税によって利益を得ていると考えられるからです。
起訴されない場合とは、納税義務者以外の者で
①経理担当者として脱税に協力し、納税義務者との間で脱税の共謀が認められるものの、特別な利益(脱税に協力したことのボーナス等)は得ておらず、納税義務者の指示に従っただけである者
②領収書や請求書等を偽造して脱税に協力しただけの者、すなわち、幇助犯にとどまる者

等の場合が考えられます。なお、この①,②の場合、脱税に協力していたとしても、そもそも告発されない可能性もあります。
逆に、②の場合のように、脱税への関与が小さいと考えられる者でも、その報酬の額によっては、起訴されることもあり得るので注意が必要です。

起訴されないために重要なこととは

起訴をするかどうかの決定権限は検察だけが持っています。そのため、起訴されないためには、検察に意見書を提出するなどして、起訴されないように積極的に意見を述べる必要があります。
具体的には、犯罪の嫌疑自体がないこと、嫌疑があったとしても脱税への関与が小さく、報酬も得ていないなど、起訴すべき事案ではないことを検察に対して積極的に意見し、かつ、実際に説得することができるかが重要です。
そこでは、こちら側の主張を根拠付ける資料を可能な限り収集し、検察に提供できるか等も重要なことになります。

最後に

脱税事件によって刑事告発をされたら、すぐに弁護士に相談しましょう。
納税義務者でない場合、たとえ告発を受けたとしても、脱税事件に強い弁護士に依頼をすることで、不起訴を勝ち取れる可能性が出てきます。

【制度解説】予納とは

2024-02-07
予納

予納について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
税務調査がなかなか終了しなかったり、税務調査の結果、重加算税を含む多額の追徴税額が見込まれる場合、税務調査官より「予納しますか?」と聞かれることがあります。

そもそも予納とは何でしょうか

予納とは、調査等により近日中(おおむね6か月以内)に納付すべき税額の確定が見込まれる場合に、修正申告書等を提出する前であっても、その納付すべき税額の見込金額を、税務署長に申し出て、あらかじめ納付(予納)することができる制度です。
この点 期限内申告書においては、おおむね12か月以内に納付すべき税額が確定することが確実な国税について、あらかじめ税務署長に申し出ることで予納することができます。
この予納を活用するためには、事前に税務調査官に対し「国税の予納申出書」を提出することになります。

予納した時点で延滞税の計算がストップする

税務調査で問題点を指摘された場合、通常であれば、本税、加算税、延滞税、という3種類の税金を追加で納付することになります。
この点、実際には、税務署内での決裁手続を経た後に修正申告書を提出し本税を納付するのが通常の流れとなりますので、税務調査の結果追加で納付すべき本税額が早々に確定しているにも関わらず、実際の納付日が1か月~2か月後、あるいはそれ以上の日になってしまうことがしばしばあります。
延滞税については、法定納期限の翌日から実際に納付された日までを計算期間として税額が決まります。そのため、税務調査で重加算税が賦課されるような問題点が把握された結果、追加で納付すべき本税が生じてしまう場合には、追加の見込金額を予納すればその時点で延滞税の計算がストップするので、一日でも早く追加分を納付した方が延滞税が少なくなるというメリットがあります。

延滞税の税率

令和5年の時点で、2ヶ月以内:2.4%、2ヶ月超過:8.7%が延滞税の税率となります。
2ヶ月以内は低くなっており、2ヶ月超過すると一気に上がります。
2ヶ月以内の税率が低く抑えられている理由は、延滞税の早期納付を促すためです。
このように延滞税といっても、年利2.4~8.7%の金額(令和5年)の支払いになり、時期が経過するごとに雪だるま式に増えていきますので、延滞税の計算をストップさせ、支払い分を減らすことは大変重要です。

税務調査官より「予納しますか?」と聞かれることの意味

税務調査官によっては、「延滞税の負担を少しでも減らすために予納してはいかがでしょうか?」と納税者側に提案してくれることがあります。以上説明したことからすれば、この提案は正しい提案であり、このような調査官は気の利いた良心的な調査官ということになります。
そうであれば、税務調査官から「予納どうしますか?」との話が無い場合に、追加で納付する税金が多額な時はぜひこちらから予納申出書を提出したいと積極的に申し入れるべきでしょう。

予納した額が、修正申告等により確定した税額と異なる場合の処理

予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも少ない場合には、予納した額は修正申告等により確定した本税に充てられ、残りの本税、加算税、延滞税については、別途納付することになります。
予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも多い場合には、予納した額を修正申告等により確定した本税に充てた残額については、順次、他の未納の国税に充てられ、納め過ぎた額については還付されることになります。

最後に

多額の追徴額が見込まれる場合、不安を感じたときには、専門家にすぐに相談しましょう。予納という制度は知らない方も多いかもしれませんが、メリットの多い制度です。

脱税事件と刑事裁判。弁護士に依頼をするメリット

2024-01-31
弁護士

脱税事件で刑事裁判になってしまった場合、どのようなリスクを負うことになるのか、そして脱税事件において弁護士に相談・依頼することの意味を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

A株式会社は新型コロナウイルスが蔓延した影響を受けて、売上が大幅に落ち込んでいました。その後、地道な営業努力が功を奏してA株式会社の売上は回復していきましたが、今後もコロナ禍のような事態になった場合に備えられるよう、資金をプールしておきたいと考えたA株式会社の代表取締役は、経理担当と示し合わせて、架空の外注費を計上するようになりました。
A株式会社の所得隠しは数年にわたって続きましたが、最終的に国税局による査察調査が行われ、検察庁への刑事告発がされてしまいました。
(この参考事件はフィクションです)

脱税事件と刑事事件

本来支払うべき税金の納付を免れる脱税事件は、法人税法や所得税法といった各種税法に違反しています。各種税法は罰則を定めているため、脱税事件は刑事事件という側面を持っています。
もっとも、すべての脱税事件が刑事事件として扱われるわけではありません。申告内容に不自然な点が見られた場合、通常は税務署による税務調査が行われます。申告に不備があった場合でも、金額によっては税務調査だけで済み、修正申告を行うことで、それ以上の手続には進まないこともあります。
脱税額が多額にわたる場合や、虚偽の申告や隠蔽などが行われていた場合は、税務調査だけでは済まずに、国税局による査察調査が行われる可能性があります。参考事件のA株式会社が行った架空の外注費の計上は、典型的な不正の手段による脱税といえます。
査察調査は検察庁への告発を念頭に置いて行われるものであるため、国税局による査察まで手続が進んでしまうと、告発によって刑事事件となってしまう危険が高まります。もっとも、査察調査が実施されても告発がされないこともあり、その場合は刑事事件にはならないで終了することになります。

刑事裁判になってしまった場合

税務調査や査察調査で済んだとしても、調査に対応する手間がとられたり、会社の重要な書面が税務署や国税局に一定期間持ち出されたりといった負担が生じます。申告内容に不備があった場合は本税を納付する必要が出てきますし、延滞税や各種加算税の納付も求められます。重加算税も課された場合は、相当な経済的負担を被ることになります。また、税務調査の過程で取引先の会社や銀行に反面調査が入ることもあり、会社の信用に関わることもあります。
刑事告発を受けて刑事手続に移行してしまうと、さらなる負担を被ることになります。刑事事件となった以上、税務調査や査察調査と異なり、逮捕や勾留といった身体拘束を伴うこともあります。代表取締役らが逮捕・勾留されてしまった場合、経営に対してより深刻な影響がもたらされます。脱税事件による逮捕は実名報道を伴うため、会社への信用の影響も無視できません。
捜査の結果、検察庁に起訴されれば、脱税事件として刑事裁判を受けることになります。脱税事件の場合、代表取締役ら役員に対する自由刑と会社に対する罰金刑が併科されます。自由刑に執行猶予がつかなければ、刑務所へ服役することになります。

税理士だけでなく弁護士に相談・依頼をする意味

脱税事件を起こしてしまった場合、税務調査や査察調査の段階では、税理士による早期の修正申告予納を行っていくことになります。しかし、税理士だけでなく、弁護士へも早期に相談・依頼をしておくことが重要です。
先ほども説明したとおり、国税局による告発がされた場合は、刑事事件となります。起訴がされないよう検察官に働きかける、起訴された場合に裁判で弁護を行うことは、弁護士でなければできません。特に、脱税事件での刑事裁判では多額の罰金が求刑されることが珍しくなく、適切な弁護対応によって罰金額を減額させていくことに大きな意味があります。
実際に告発や起訴がされる以前に、刑事事件化するリスクがどの程度あるかについて、早期に弁護士から助言を得ておくことが重要です。税務調査や査察調査を受けている場合、弁護士にも相談をしておくことをお勧めします。

【制度解説】検察官による脱税捜査を詳しく解説

2024-01-24
脱税捜査

検察官による脱税捜査について、国税犯則事件の調査と比較しながら具体例を交えて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

国税犯則調査とは

国税犯則調査とは、国税通則法に基づき、各国税局の調査査察部等に所属する国税査察官等によって行われ、任意調査と強制調査がありますが、その目的は、国税に関する犯則事件の証拠を収集して、犯則事実の有無及び犯則者を確定することにあり、最終的には、告発等により終了するものです。
犯則調査は、あくまで行政調査であり、公訴の提起、つまり起訴を目的とした捜査ではありませんが、国税査察官らによる質問、検査のほか、裁判官に対し、臨検捜索差押許可状等を請求し、それらの令状により捜索、差押えなどの強制手段を取ることができることや、それらの強制手段によって収集した証拠によって犯則事実の有無及び犯則者の確定をし、検察官への告発を経て刑事手続に移行するという点で、刑事手続と密接な関連を持つ手続であるということができます。ただし、国税査察官らによる強制調査では、逮捕、勾留、身体検査、鑑定留置等の対人的強制処分は認められていません

告発要否勘案協議会

国税査察官らによる犯則調査は、国税通則法による独自の行政調査手続であり、検察官と国税査察官らとの間には、検察官と司法警察員との間のような刑事訴訟法上の指揮・指示関係にはなく、同法上の協力義務の関係もありません。しかしながら、前述したとおり、犯則調査は、最終的には犯則嫌疑者の刑事訴追を目的として行われ、告発によって検察官の捜査に移行するものですから、実質的には犯罪捜査と異ならないということができます。また国税通則法に基づく国税に関する犯則事件の告発要否は、そもそも国税当局がその責任において決定するところではあるのですが、原則的には、検察官は、国税査察官の告発をまって事件を処理している実情からすると、脱税事件に関して、検察権が適正に行使されるためには、国税査察官による告発が適正・公平に行われることが不可欠であることから、検察官と国税査察官らによって構成される告発要否勘案協議会が設置されています。
この協議会において、個々の直接国税犯則事件について、検察官が、法律上又は事実認定上の問題点等について意見を述べ、国税査察官らとの協議を行うことにより、国税査察官による告発が適正・公平に行われるのであり、結局、同協議会を経て告発相当と判定された事件のみが告発されています。
実際には、告発要否勘案協議会の相当以前から、事件相談という形で国税当局の事務方レベルから検察庁に連絡があり、何度もやりとりを重ねた上で、告発意思が形成され、勘案協議会へとつながります。
この協議会を経ての告発率は、6割~7割程度であり、一時、コロナ禍の影響などもありましたが、国税庁が発表した令和4年度の査察の概要によれば、告発率は74パーセントを超える高水準となっています。

検察官による脱税捜査

こうして告発要否勘案協議会を経て、国税査察官からの告発を受けると、いよいよ検察官による脱税捜査が始まります。脱税捜査は、東京地方検察庁などの一部の大規模庁では、特捜部が担当しますし、横浜、さいたま、千葉、名古屋などのこれに準ずる規模の庁では、特別刑事部と称する部署が担当します。そのほかの地方都市の地検では、通常の一般事件を扱う検事らがチームを組んで捜査をしますし、事件の規模によっては、東京地検などから応援検事が派遣されることもあります。
検察官による捜査でも、捜索差押えは徹底して行われます。直接国税の脱制捜査は、個人又は法人の一定期間における経済活動による所得等を対象とするため、捜査の範囲は極めて広範囲に及びます。
国税査察官らの臨検捜索差押えが先行していますが、個人や法人の経済活動が継続していることから、国税局の捜索時には他の場所に隠匿されていた重要な証拠物が移し替えられている可能性や国税局の調査以降に事業資金の動きがあり、簿外資産発見の手がかりをつかんだりするなどすることもあります。そうした場合も含め、検察官は独自に又は国税査察官らと共同で捜索差押えをする場合もあります。
会社社長と税理士が共謀し、税理士の専門知識を生かして脱税指南をした事案などでは、会社社長が、あとで税理士に言い逃れをされるのではないかと考えて秘密録音をしていた事実が、国税査察官らの捜索後に判明し、検察官による捜索差押えによりその録音体を押収して、税理士らの犯意を立証したといった事案などもあります。
また、検察官による脱税捜査で、国税査察官らの犯則調査と決定的に異なるのは、被疑者の身柄を拘束する逮捕、勾留ができるかです。国税査察官らは、司法警察員ではないため、被疑者の身柄を拘束する逮捕の権限は認められていません。前述したとおり、検察官は、国税査察官らの告発によって、脱税捜査を開始するわけですが、告発要否勘案協議会による告発率は非常に高く、したがって、国税査察官らによる強制調査が入ったということは、いよいよもって検察官による脱税捜査が始まり、逮捕勾留の可能性が高まってきたということができます。逮捕勾留というのは、身柄拘束を伴うために、まるでそれ自体が刑事処罰のような印象がありますが、これはあくまで刑事手続であり、罪証隠滅、逃亡のおそれのある被疑者について認められる対人的強制捜査です。
脱税で逮捕される事案は、一定の高額脱税の場合ですが、そのような脱税事案に関わる人は、会社経営者や医師など一定の社会的地位のある人達が多く、逃亡のおそれは認めにくいことが多いですが、事件関係者が多数いるとか、証拠隠滅のおそれがあるなどの理由が認められることが多く、その場合、逮捕勾留の可能性も高まってきます。
このような強制捜査に対応するためには、税理士だけでは対応できないので、刑事事件を専門に取り扱う弁護士による弁護活動は欠かすことはできません。
こうした事態に陥いる前に少しでも早く刑事事件を専門とする弁護士に相談した方がよいでしょう。

国外財産調書制度とは

2023-12-13
国外財産

国外財産調書制度とはどのような制度かについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

国外財産調査制度とは

この制度は、平成24年度財政改革において創設された制度です。

制度の概要

1 国外財産調書の提出
 その年の12月31日において、価額の合計額が5000万円超える国外財産を有する非居住者以外の居住者は、当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、翌年3月15日(令和5年分以後は翌年6月30日)までに、税務署長に提出しなければなりません。
 この場合、財産の評価については原則として時価ですが、見積価額とすることもできます。
 また、国外財産提出に当たっては、別途「国外財産調査合計表」を作成し、添付する必要があります。
2 過少申告加算税等の特例
 国外財産調書を提出期限内に提出した場合に、国外財産調書に記載がある国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときは、その国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税が5パーセント軽減されます。 
 逆に、国外財産調書の提出が提出期限内にない場合又は提出期限内に提出された国外財産調書に記載すべき国外財産の記載がない場合に、その国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れ(死亡した方に係るものを除きます。)が生じたときは、その国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税が5パーセント加重されます(ただし、相続国外財産について、相続国外財産を有する方の責めに帰すべき事由がなく提出等がない場合には、加重の対象になりません。)。
3 罰則
 国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合又は国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがあります。ただし、正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、情状によりその刑を免除することができることとされています。
(国外財産等調書法5条、6条、10条参照)

何故、国外財産調書制度が創設されたのか

「海外の資産は、税務調査を免れることができる」という話を耳にすることがあります。
実際、近年、我が国の納税者による国外財産の保有が増加傾向にある中で、国外財産に係る所得税等の申告漏れが増加している現実があり、国外財産に係る課税の適正化をいかにして図るかが喫緊の課題となっていました。
こうした背景のもとに、国外財産の状況を把握する方策として、課税当局が国外財産を把握する仕組みや、国外財産を保有している納税者からその保有する国外財産の状況を課税当局に対して自ら申告してもらう制度が創設されています。このうち後者の制度のひとつとして、国外財産調書制度が創設されたのです。
上記2で述べましたように、この制度は、国外財産調書が提出されていなかったり、本来記載すべき国外財産が記載されていなかったりした場合、その際課せられる過小申告加算税等が上乗せされるのに対し、調書を提出していれば記載のある国外財産に対して所得税・相続税の申告漏れが生じても、同様の加算税等が軽減されるという恩恵が与えられるという制度になっています。そうすることで、調書を確実に提出するよう促しているのです。

まとめ

売上の一部を海外預金口座に入金するなどして課税を免れようとしても、CRS(OECDが策定した共通報告基準に基づくもので、世界各国の税務当局が有する銀行口座の情報を交換する仕組みであり、各国の金融機関を通じて各国で情報交換されることになっています。)による金融口座情報によって口座を把握されるなどすれば、税務調査が入る可能性があります。
そして、税務調査が入った場合、国外財産調書を提出していなければ、上乗せされた過少申告加算税等を支払う必要があり、また、罰則まで課されることがあることにも注意しなければなりません。
更に、悪質性が高かったり脱税額が巨額になる場合には、査察調査に発展することもあります。
査察調査は税務調査と違い、強制的に調査をすることができ、最終的には刑事告発に至る場合が少なくありません。実際、査察調査から刑事告発される割合は約70%と言われています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。
初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

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